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「恋はそうだな。空を飛ぶような感じかな?」
あごに指を当てて、ゆずきは言う。
そんなゆずきの言葉を思い出す。
「二人で空を飛びたい。どこか遠い国へ行きたい。ここではないどこかに」
ゆずきはバルコニーからいおりを見る。
いおりはゆずきを迎えにいこうとする。
「私がいく。そこでまってて」
ゆずきはいう。
「私の中には、今、震えるような思いがある」お姫様は言う。
強い愛がある。
未来が見える。
いおりは思う。
バルコニーにいるお姫様に王子様はお屋敷の庭から告白をする。観客の生徒たちから声があがる。(恥ずかしくていおりの顔は真っ赤になる)お屋敷の庭には大きな木がたっている。その木の枝をつかって、お姫様は王子様のところへいこうとする。
「あ」
でも、途中で木の枝は折れてしまう。
いおりはゆずきをきちんと受け止める。(舞台用にちゃんと補助をする生徒がいる)
明るい光が見える。
希望の光。
とても、温かい光だ。
(生徒たちのコーラスがはいる)
二人は抱きしめあう。
「王子さま。私たち幸せになれますよね?」ゆずきはいう。
「もちろんだよ。ぼくたちはきっと幸せになれる」いおりはいう。
二人はキスをする。(本当にするわけではない)
周囲は真っ暗になり、二人にだけにスポットライトの光があたる。
そのシーンを見て観客の生徒たちから大きな歓声の声があがった。
二人は手と手をとって(舞台の外に)駆け出していく。
幕がゆっくりとおりてきて、『折れた木の枝』の演劇は終わる。
(ぱちぱちぱちと観客の生徒たちの拍手がなる)