プロローグ
この世に平等なんて存在しない。容姿、出自、環境、魔力、世の中には様々な差が存在する。その事実にわずか5歳でエーハは理解する。神によって決められ、生涯向き合い続ける才能『スキル』。上からオーロラ、ゴールド、シルバー、ブロンズ、ホワイト、レッド。5歳になった時、全ての人間は教会の神具によってスキルカードを発行される。その文字の色で優劣がつけられるのだ。
平民の少年エーハがこの日もらったスキルカードの文字の色は赤。スキルの名は『小石操作』。期待に胸を膨らませていた分、エーハは落胆していた。
「エーハ、気にすんな!レッドはオーロラと同じくらいレアじゃねーか!噂でしか聞いた事なかったぜ!お前は特別な人間なんだよ!」
「パパの言うとおりよエーハ!なにもスキルが全てじゃないわ。ママだってスキルの力を使わず、パパとエーハと幸せよ。」
「うん!ありがとう!父さん!母さん!」
今まで、スキルによって家族関係が悪くなった一家を見てきたエーハは両親の言葉に安心する。
エーハはスキルカードを持つと同時に頭の中に浮かんできたイメージ通り、落ちている石に意識を送る。小指の第1関節ほどの石が宙に浮かんだ。そして悟った…小さな石をたった1つしか動かすことができないということを…
「すごいわ!ネイブ!ゴールドなんて!さすが私の子よ!」
興奮した様子の女性の声が聞こえる。
「お母様の期待に添える結果が出てよかったです。」
年齢にそぐわない返事をするネイブと呼ばれる少年。彼はエーハの住む平民の村の村長の息子である。紺色の短い髪にキリッとしたつり目に高い鼻。容姿は整い、性格も優れ、頭脳明晰、村の中では1番大きな家に住んでいる。極めつけには0.01%の人間しか持たないゴールドスキル。
ゴールドスキルは持つだけで貴族と同じ待遇になるのだ。将来を約束されたも同じである。
「ゴールドスキル。『アンリミテッドシューター』どうやら、飛び道具を専門とするスキルのようです。」
ネイブが右手をかざすと矢を3つ出現し、近くの木へ一直線に刺さった。刺さった矢は木に穴を残したまま。光の粉となって霧散した。
エーハは彼の母の声と目の当たりにした彼のスキルを見て、やはり劣等感を感じた。
「スキルカードの発行は終了したようなので、スキルカードと王国民証の紐付け登録を行います。順番に並んでください。」
教会のシスターのおばあさんの指示に従い順番に並ぶ。
「エーハ、父さんと母さんはお前の味方だからな!」
父さんに背中を押され列に並んだ。出遅れたエーハは1番後ろに並ぶ。すると後ろにはネイブが並んできた。
ゴールドスキルに続きシルバースキルは1%未満、ブロンズスキルは10%未満なので大半はホワイトスキルであり、どうやら9つの村の5歳の18人のうち16人はホワイトスキルの様だ。
そして、エーハの番が回ってくる。
「レッドスキル…あなたのようなモノがこの世に存在するなんて信じられない…お願いだから私に関わらないで頂戴…」




