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間違い続ける男

作者: シキ



 俺こと大西(おおにし) (まこと)は昔から人付き合いは苦手だった。

高校生になった今でも空気を読みたくても読めないし、間が悪いし、鈍感だし、カッコつけだからそんな情け無い自分を晒すのが嫌であまり親しい友達を作ってこなかった。

狭く浅く無難な人間関係を築いてやり過ごす毎日。

だから年に数回、困った事になる。


 今回の困った事は、昼休みの居場所がない、だ。

選択授業の美術は課題作品を提出しないと評価されない。

いつも昼休みに一緒にいる奴らは昼飯を食べると提出期限ギリギリになった作品を完成させに行ってしまった。

選択授業が違う俺は美術室に入るのを先生に拒否されてしまったのだ。

まあ仕方がないとは思う。

思うが俺の狭い交友関係では学内に居場所がなくなった。



 美術室の前で独りポツンとしていても仕方がないと更に人気の少ない方へ歩き出す。

目指すは校舎の端の4階の階段踊り場。

教室から遠くて時々教員が通り溜まり場には適さない。

だからこそ独りになれる場所。



 ちくしょーと思った。

着く前から嫌な予感がしていたんだ。

可能性はあるから階段を上がる際に息を潜めて物音を立てずに上がった。

そして発見してしまった。先客を。


 人が少ない場所は見回りの意味を込めて教員の通り道になっている。

そして溜まっている生徒がいれば「何故ここにいるのか」と移動するまで質問責めされる。

なので基本的に独りになりたい奴以外こういうスポットには来ない。

 だから先客が女子1人だろうと変ではない。

静かにボーっと涙を流していようと、だ。



 地べたにぺたん座りをしてただ静かに泣く女子には見覚えがあった。

同学年の大人しいグループの中でもさらに大人しいタイプ。

何度かそのグループと話した事があるが、この子とは直接会話した事がない。

 まだ俺に気付いていない。見て見ぬふりはまだ出来る。

それでも俺はやはり間違った答えを出すんだ。



 独りで泣いている女を放っておけない。

そんな空気を読めない独りよがりなカッコつけから俺は黙って彼女の隣に座った。

ビックリしてこちらを向く彼女を見ないように前を向きながら言う。


「俺は何も見てないし聞いてないし聞いてもすぐに忘れる。

邪魔だったらそう言ってくれればすぐにどっか行く。」


泣き顔を見ないようにしているからどんな表情なのか分からない。

もしかしたらめちゃくちゃ嫌そうな顔をしているかもしれない。


「人って落ち込んだ時って独りでいたり夜だったりするとどんどん後ろ向きに考えちゃうじゃん。

だから、その、俺今暇だし、ここにいなかった事にするし…」


話しているうちに着地地点を失い尻すぼみになっていく言葉。

それでも彼女は何も言わず前を向いた。

 多分俺はここにいることを許された。



 昼休みが終わるまでの途中2回、教員が通った。

何もせずただ無言で前を向いて座っている男女(片方泣いている)を見て驚いたあと少し固まるが、俺がお口チャックのジェスチャーをしたら質問責めをする事なく通り過ぎて行った。

 予鈴が鳴って俺は無言のままその場から離れて教室に帰った。

彼女もすぐ後から教室に入ってきたが、俺は決して彼女の顔を見なかった。



 夏休み目前、7月に入ったあたりから彼女のいるグループと話す機会が増えた。

自惚れじゃなければあの時の彼女は俺に惚れている。多分。

周りの反応が()()なのだが、思春期特有の勘違いの可能性もかなりあり得るよなぁ…とも思う。

しかし周りが露骨に2人で勉強会(どちらかの自宅)を勧めてきて彼女も拒否していない現状、これは対応を誤るとなけなしの俺の学校での居場所を失うだろう。

 結局次の休みに俺の家で2人きりのお勉強会となった。

共働きで一人っ子だから…とやんわり断ろうとしたらオススメの勢いが良くなったから、やっぱりそういう事なのかなぁ。




 俺の隣で一生懸命に数式と戦っている彼女の名前は小西(こにし) 香純(かすみ)

「大小じゃん!」と小学生かって思うほど予想通りのイジりをされたよ。

まあ身長も俺は173センチで彼女は152センチらしいから、並べばほんとに大小かって俺でも思ったが。

 そして数学が苦手らしい。

公式は覚えて文章問題も持ち前の文章理解能力でなんとか解ける。

だけども応用やひっかけは全然ダメでかなりの頻度で俺に質問してくる。

 最初対面に座っていたのが横になり、隣に座るほどに近ずいた。

そして質問されたのをきっかけに香純の肩に顔を置くほど密着してみた。

香純の質問は途中でとまり、かすかに手が震えている。


「どしたん?

…家で男女2人きりって、ある程度覚悟してきたんじゃないの?」


 朝9時にウチに来て、まだ1時間ちょっと。

部屋に入ってすぐ雑談もあまりせずに勉強道具を広げて勉強し始めた。

最初は真面目に勉強していたが彼女のペンが止まっているのに気付き「数学俺得意だから分からないとこあったら遠慮なく質問していいよ」と言ったらドンドン質問してきた。

そして普通に勉強に集中している彼女にちょっとムカついた。

家に俺ら以外いなくて、ベッドのある部屋で、2人きりで意識してるの俺だけかよ?てな。

 だから、イタズラのつもりだった。

ちょっとだけ脅してやろうとしただけだったんだ。

でも身体をちょっとだけ密着させて、彼女から良い匂いがして、固まってはいるけど避けもせず抵抗もしない香純に、どこまでして良いかって思ってしまったんだ。



 後ろから抱きしめた。

「ぁ…」と小さく声をもらすだけでそれ以上何もしない。

心臓がバクバクして手が震える。

それを誤魔化す為にギュッと抱きしめている腕に力を入れる。

……………。


「なぁ、抵抗しないのか?

このままだったら、どうなるか分かるだろ?」


それでも香純は動かない。

 俺は意を決して胸を触る。

柔らかい…!

ハグの時点で女の子の身体柔らけーと思ったけど、おっぱいも柔らかい!

ブラのせいか思ってたほど柔らかくないけど、それでも柔らかい!

でもさ…


「抵抗しろよ⁉︎

いや、勢いでおっぱいまで揉んじゃった俺が100パーセント悪いんだけどさ、このままだったら最後までヤラれちゃうぞ⁉︎」


「えっと…キスしてからがいいなぁって…」


「受け入れちゃってた⁉︎

え、待って?

キスしたらこのままエッチしていいの⁉︎」


遠慮がちに頷く香純にビックリだよ。

 横に座り直して片手で肩を抱く。

「こっち向けよ」と言ったら恥ずかしそうに躊躇いがちにこちらを向く香純。

顔を近付けるとギュッと目を瞑る香純に静かに笑ってしまう。

力が入っていて柔らかくなさそうな唇にチュッとかわいいキスをする。

案の定固いしキスしてもまだギュッと固まったままなので何度もチュッチュしてみる。

身体がプルプルし始めたから一旦離れてあげる。

すると香純はプハァァっと止めていた息を再開した。


「鼻呼吸忘れてたでしょ。

長いキスの時は鼻で呼吸するんだよ?」


「えっ⁉︎」と驚いて顔をあげる香純にまたキスをする。

身体に力が入りビクッとなるが構わず香純の唇を舐める。

離れそうな香純の首に腕をまわして逃げ場をなくして口内に舌を挿れると、香純の鼻息が荒くなっていく。

俺はもう片方の手で香純のおっぱいも揉みながらキスを続けると、次第に香純の身体から力が抜けていき舌を出してきた。

キスってこんな気持ちいいモノだったのか…。


「なあ、ベッド行かない?」


鼻息荒く舌を出したまま頷く香純が、めちゃくちゃエロく見えた。



 香純をベッドに転がして覆い被さってから自分の失敗を悟る。

寝転がせたら香純のワンピースをどう脱がせればいいのかわからない。

とりあえず予定通りみたいな顔をしてキスをする。


「俺さ、このままいったらファーストキスと童貞卒業同じ日になるわ。」


ふと考えていた事が口から出た。

わざわざ言う事でもないし言うにしても今じゃないだろってセルフツッコミ。


「わ、わたしも、そうだよ?」


ちょっと笑いながら言われた。

なんだこのかわいい生物は。


「なあ、香純。」


「なに?」


チュー寸前まで顔を近付けて名前を呼ぶと、かわいらしい笑顔のまま答える。


「俺のものになれよ。」


「…………。」


違うよなぁ⁉︎

俺もこのセリフは違うと思うもん!

「俺の彼女になって」とか「付き合って」とかセリフ迷いながらもエッチな思考してたら何故かこうなった!

ヤバい!ここ一番で間違えた!


「えっと…召し上がれ?」


ちょっと笑ってから香純が言う。

なんなら香純はちょっと脚を広げた。

…もうこのまま突っ走ろう。



 おっぱいを揉みしだきながら舌を絡ませ合う。

香純は大の字になって俺からされる行為を全て受け入れる体勢だ。

でも俺は次にいけない。服を脱がせるタイミングがわからないから。

もうムスコはギンギンだし我慢の涙も出てるのが分かる。

けれど次にいけない。

チューとおっぱいが気持ち良くてもっと味わいたいしいいかなとか思い始めている。


「あの…脱ぐ?」


ついにキスの合間に提案されちゃった。

香純がもう完全にウェルカム状態になってから長かったもんね、分かっちゃうよね。


「昼メシどうしようか。」


ハイ、また間違えたぁ。

もうそろそろ昼メシ時だからって絶対今言うセリフじゃないぃぃぃ。


「…食べよっか?」


ズボンの上から元気になったモノを摩りながら言う香純。

香純さん、あなた普段大人しいのにかなり積極的!


「口で⁉︎」


「…お股で。」


そりゃそうだよな。

なんで俺口でとかいっちゃったんだろ…


「…お口はまた今度。ね?」


落ち込んだ俺を慰めようと頭ナデナデされながら優しく言われちゃったよ。

そして今度ならお口でしてくれるって言われて元気になる俺も俺だな。



 服をお互い脱いで仕切り直し。

香純の提案で腰の部分にバスタオル敷いてベッドが汁で汚れないように対策。

仕切り直しでムスコは大人しくなったのでゴムを手の届く範囲に置いたら香純さんが「えいっ」と言いながら部屋の隅に投げました。


「私結構痛みあるから、ピル飲んでるの。

だから、ゴム買わなくていいよ?」


 もうそこからはピロートークをはさみながらも3回戦しました。

1回戦目はすぐに終わってしまったのだが、「もっと汚して?」と言われて頑張ってハッスル。

汗とか色々でベトベトだからシャワー行こうとなって風呂場でイタズラしたら「エッチな気分になっちゃう…」と煽られてそのままバックスタイルに挑戦。


「俺は後ろからってそこまで燃えなかったなぁ。」


「私も、恥ずかしかった…」


お尻の穴が見えている事を言ったら結構ガチめに抵抗された。

「一回だけ!一回だけお試しで!」とヤラせてもらったが身長差で俺もガニ股なるし腰は振りにくいし「犯してる感」があってシチュエーションは良いけどやりにくい。


「おっぱいとかおマンコ見られても平気でお尻の穴はダメなんだ?」


「恥ずかしいの種類が違うよ。」


そういうもんかととりあえず納得しておく。

それよりもベッドにバスタオル等妙に手慣れた感があったから本当に初めてか聞いたら悲しい顔された。

チューして謝ってハグして謝っておっぱい揉んで謝ってようやく「もういいよ」と言ってもらえた。

そしてレディコミックをよく読む友達から今日に向けて色々話をされたからだと、初めてだから失敗したくなかったと言われておっぱいを揉む手が止まった。

「ごめんなさい…」と真面目に謝ると小さくため息した後許してもらえた。



 許してもらってから素麺を湯掻いて遅めの昼メシの後は真面目に勉強した。

あまり質問してこなくなったと思ったら近くに来てほしくてワザと質問してたらしく、数学は苦手ではあるけどそれでも平均点以上は取れているらしかった。

手の平コロコロされてたことにちょっとムカついておっぱい揉みしだいたら「勉強中でしょ」と怒られて、シュンとしたらキスして励まされた。




 「それで、うまくいったのかよ?」


よく話す奴らにニヤニヤしながら言われた。

そういえば「好き」とはお互い言ってないし「付き合って」とも言ってない。

俺のモノになれと言って「召し上がれ」だから俺のモノで良いとは思うが、彼氏彼女で良いのか?


「ちょっと確認が必要、かな。」


そう言って無理矢理誤魔化した。




 確認の際「お前は俺のモノだよな?」と言ってしまい「学校でスルのはちょっと…」と誤解されたり、デート場所がほとんど俺の家で怒られたり間違い続ける俺に根気強く付き合ってくれる香純に頭が上がらないとは思うが絶対に手放せないと奮起してまた間違える俺だった。




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