開示
昼休みの教室
「なぁ~カズこの封筒(手紙)どう思う?」
カズこと双葉和也ふたばかずやは保育園から
現在に至るまで一緒の学校で高校生になっても
こうして蔓んでる幼馴染で大親友、ちなみにクラスも同じで席も隣だ。
「まぁ~一見する限りは単純な郵便物、イベントの出席確認ってところか、
ただこれがもし郵便物ではなく下足に入っていたらよく漫画とかでよくある
ラブレターに見えるかな?現実では見た事ねぇけど」
まぁ一見する限りは確かに誰もがそう思うだろうな……
「内容は?」
「ん?」
「いや手紙の内容だよ! 俺に聞いてくると言う事は
なんか書いてあったんでしょ?」
「あぁ、手紙が2通入ってて内容は……」
と、俺が封筒から便箋を出して見せようとした瞬間
「ちょっと待ったぁ~~~~~!!」
俺とカズの間を目がけ教室の端から、髪を高い位置で一つ結びにした
元気活発を絵にかいたよな女子が走ってくる。
そう、この女子もまた保育園から一緒である幼馴染の西村詩みしむらうた。
「おいおい、私を差置いてラブレターをもらったとは
聞捨てならないぞお二人さん!」
二人でウタを一別
「まっ、こいつの事はおいといて…」
「ちょいちょいちょいぃ~、恋バナに女子は紅茶にスコーンぐらい
必要でしょうが!」
「今日は一段とテンション高いな、そもそもお前
紅茶を飲みながらスコーンなんて食ったことねぇだろ」とカズ
「わわかってんだよ!そんな事~、紅茶よりほうじ茶、スコーンよりすのこが
似合うことぐらい!! わかってんだょ……」
毎度絡んでくるときはテンションの高い詩であるが今日は特にめんどくさい。
俺とカズはあきれたように詩を見ながら
「お前変な薬でもやってんのか?」と俺
「薬なんて飲んでないよ~、飲んだのは翼を与えてくれるやつくらい。
まぁそんな話どうでも良いじゃんそれよりその手紙の話をしようよ。」
(エナジードリンクって結構効くんだなぁ~)と少し感心しつつ
お前が話の腰を折ったんだろうがと言いそうになるのをグットこらえ
封筒と便箋2通を机に置く。
「これが今回届いた手紙で、封筒には松本南7月1日の消印と
我が家の住所・俺の氏名しかなく、封筒の中には
差出人と思われる斜木奈々の氏名で〆られた
便箋が2枚とドライフラワーのしおり??が入っとたわ」
そう言って二人に見せ便箋に書かれた内容を読んでもらう。
(清々しい初夏を迎え、先輩がこちらを去られた時には葉さえなかった
木々も今では緑が日増しに深くなってまいりました。
あの時お伝えした時間もあと残すところ2ヶ月たらずとなり、
時の流れの速さを感じます。
先輩にはもっと早くお便りを出そうと思っていたのですが、
突然のお別れとなってしまいましたので、
新しいお住いの方をお聞きする事もできず、
電話もお変えになられた様子で、このまま連絡をとる事も
叶わないだろうとあきらめておりました。
そんな矢先、先日高山の方でありました、
マラソン大会に出場されていたことを人伝いに知りました。
どうしてもお会いしてお話ししたい一心で、やってはいけない事と分かりつつも
関係者の伝手にて連絡先を入手し、今回お手紙を送らせて頂いた次第です。
本当は今こんな事をお願いすれば先輩に迷惑がかかることも
分かっているのです、でも私は終わるにあたりどうしても先輩会って
あの時の真相を伝えたいです。
私も抗わない覚悟できました。
先輩もう一度会いたい、話したい 愛してます。
斜木奈々)