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まだ幼い《魔女》との出会い

 時系列にそって話すなら、まずはこいつとの出会いを挙げることになるだろう。


 こいつこそ、俺を自分の実力以上の修羅場へと導いた原因。

 そして、俺にとって最高の相棒だ。


 出会ったときはわからなかったが、相棒は魔法使いだった――いや、魔法使いの素養を持っていた、と表現するのが正確だろう。


 相棒との出会いは、《魔族》の住処での出来事だった。


* * *


 当時、俺は単独で冒険者ギルド――力を持て余していたり、自分の強さを誇示したがるならず者が寄り合って金のやり取りをする場所――で依頼を受けて、それを達成するために剣一本とその他もろもろの装備品を携えて戦い魔物を倒す、という仕事を生業にしていた。


 そのころから、討伐対象の魔物に与えられる《魔族》といういかにも強そうな称号は「誇張が過ぎるのではないか」と思っていた。


 《魔族》の称号は、冒険者ギルドが付与しているもので、いわば内輪だけに通じるものだ。

 具体的には特定の魔物の与えた被害が十年以上に渡り続いている場合、その脅威度を指し示して、認識しやすくするために与えているに過ぎない。


 つまり、長く人間に迷惑をかけている、ある程度強い魔物を指しているのだ。


 ともあれ、強そうな称号のわりに大して強くもない討伐対象を倒した俺は、生活費の足しになる金目のものがないかと拠点を探索した。

 その最中に、地下牢で見つけたのが相棒だった。


 成長してからも貧相――もとい、痩せた体の相棒だが、この時はもっと酷かった。


 彼女を発見したときは、すでに死んでいると思った。


 服とさえ呼べないぼろ布で大事な部位を隠しており、そこからはみ出した部分には余分な肉が一切なかった。

 いわゆる、骨と皮だけの様相というやつだった。


「……たす、けて」


 という相棒の声を、その時よく聞き逃さなかったものだと考える。


 その時の俺は、早く街に帰って報酬を受け取って、酒場で酒を飲み肉を食い、いい女を見かけたら口説いて一晩過ごそう、なんて思考に支配されていたのだから、聞き逃してもおかしくなかったのだ。


 そのあと、残念ながら魔物の住処に金目のものは無いとわかった俺は、「今にも死にそうだけど、まだ生きている人間を見捨てるのは寝覚めが悪くなりそうだ」と考え、身にまとっていた外套を彼女に着せて水を飲ませ、そのまま街の冒険者ギルドへ預けた後、クエスト報酬を懐に入れて酒場へと繰り出した。

 うまい酒と料理を味わった気がするが、その時に好みの女を抱けたのかはわからない。


 なぜなら、目が覚めたらなぜか冒険者ギルドの床に寝かされていたからだ。

 そして何が起きたのか、受け取ったばかりの報酬も無くなっていた。


 もしかしたら誰かに盗られたのかもしれないが、盛り場で起こした失態は自分に責があると考えて、頭を切り替えた。


 当面の金に困っていた俺は、最近ギルドに入ったばかりの胸の大きい女職員に声をかけた。

 危険の少なくて、なるべく実入りのいい仕事はないか、と。


 その時紹介されたのが、昨日の討伐依頼中に魔物の住処から連れてきた身寄りのない少女の面倒をみる仕事だった。


 俺は、ただ子供の面倒を見るだけの一時的な仕事だと思い、請けることにした。面倒を見ている間にかかった住居費を含む必要経費までギルドが負担してくれるというから、おいしい仕事だと思ったのだ。


 俺はその後、自分が救出した少女と数時間越しに再会した。

 彼女は汚れていた顔や髪を整えられ、清潔な衣服に着替えさせられていたが、たったひとつだけ少女らしくない物を身にまとっていた。

 それは、俺が彼女を運ぶ際にその身をくるんだ外套だった。


 少女は、俺の使い古したそれを、握りしめて離さなかった。

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