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クリス牧師が辞めさせられる

 りさは、前の恋人龍一と別れたり戻ったりを繰り返しながら、

この年の2月14日は龍一とは別れている最中だった。


5年ぶりの恋人のいないバレンタインズデーだった。


シルバーエイジの多い合唱グループを教える日だったので教会に行き、オフィスのクリス牧師に挨拶をするために覗くと、牧師のことが好きな医者の妻で、二人の子供がいる教会メンバーの佐和子さんが手伝っていた。


最近はいつも彼女はオフィスにいる。


フルートの曲をオフィスで流していて、そのフルート奏者の話をしていた。


クリス牧師が好きなのだなと思った。


私がオフィスの中に入ると、佐和子さんがいた。

佐和子さんに聞かれた。


「あらりささん、なんかいい事がありましたか?」


りさは答えた。

「彼と別れたばっかりで良い事なんかありませんよ」と答えた。


クリス牧師はにこにこ聞いていた。


「では、また」


りさは2階のピアノのあるホールへと向かった。


そのような日々が続いて、教会の大きなイベントがあった。

イースターだ。


キリスト教徒にとってイースターはクリスマスと同じくらい大切な行事だ。クリスマスはキリストの西端を祝い、イースターはイスラエルのゴルゴダの丘で十字架につるされて槍で突かれて一回死んだキリストが、復活したという日のお祭り。


因みに一回目に亡くなった日はブラックフライデーと言ってイースターサンデーの直前の金曜日には特別礼拝が行われる。


復活祭には、近所の子供たちが教会の礼拝後にエッグハントに集まり、クリス牧師がフルートを演奏するというのでりさは伴奏に呼ばれた。


通常の教会メンバーだけでは無く、エッグハント狙いのたくさん人が来る。


 医者のご主人がいて、教会メンバーの佐和子さんはかいがいしく、写真を撮ったり、ゲストのお世話をしたり、奥さんのいないクリス牧師にとって奥さんの役割を果たしていた。 

 

クリス牧師は彼女が好意を持っていることをもちろんわかっているだろう。

うまく彼女を使いこなしているなと思った。


 しばらくして事件が起こった。


 佐和子さんの友人が教会のピアノが貸してほしいと頼みに来て練習をするようになった。

なんと佐和子さんのライバルになったのだ。

少しきれいだったせいか、クリス牧師は次の人妻、裕子さんと仲良くなったらしいのだ。


りさはケアホームに行くときにクリス牧師から話を聞いた。

佐和子さんが騒ぎ立てて、同じ宗派の教会の牧師先生に抗議を申し立てたというのだ。


クリス牧師は裕子さんという人妻と付き合っている、そんな牧師はいらないと。


りさは聞いた。

「付き合ってなかったの?」


クリスは答えた。

「付き合ってないですよ」


「でも、キスしたの?」りさ


「キスしていませんよ」クリス


「手はつないだの?」りさ


「手はつなぎましたけど」クリス


「手は繋いだんだあ、じゃあ付き合い始めみたいな感じじゃない」りさ


たまたま、そこで佐和子さんが騒ぎ立てたからストップしたものの、ほっておけばどうなっていたか。とりさは思った。


クリス牧師は、相当プレイボーイだな。


フランス人と日本人のハーフだから人によってはすごくハンサムだと言われていた。


りさをお姉さんのみたいに思ったのか、又は気を引くためか、何でも正直に答える。

歳の離れたりさのことも、彼の恋人ターゲット内だと言っていたなと思いだした。

誰にでも気を持たせるのではないかと。


この事件はクリス牧師にとって教会に残れるかどうかの深刻な問題になったようで相当心配してがっかりしていた。

でも、なんとか騒ぎは収まり、クリス牧師は教会に引き続き居られることになった。



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