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りさの状況

 牧師のクリスと初めて夕食を食べに行った頃は龍一と付き合っていた。そのあと、りさにはライアンという詐欺師が現れ、龍一とは、5年にもに及んだ関係を、きっぱりと終わりにした。


そして、1か月間ライアンと関わった。


偶然のアクシデントでライアンとは体の深い関係に及ばなかったのが、幸いにりさの心の傷にはならなかった。


詐欺師だとわかってから、再度龍一と寄りを戻していた。きっかけはなんだったか思い出せない。


 年末に再会して次に会う約束をしていた日曜日に連絡がなく、りさはずっと待っていた。

夜一〇時になっても連絡が無いので、シャワーを浴びているときに友人の真理子から電話がかかってきた。


「今、あうんにいるんだけど、誰がここに居ると思う?龍一よ」

私は驚いた。


りさ「誰と?」


真智子「若い女の人よ」


(うわーやられた、そういう事か。私が詐欺師とデートしている間も連絡してこなかったのは!)


二日前には龍一と同じベッドで愛し合っていたのだ。


すぐシャワーから飛び出してマカレーショッピングセンター一階中央にある、BAR  あ・うん へ向かった。


中に入ると真理子が手招いてくれてカウンターに座った。


りさは、以前あうんの常連だったから、店内をすぐに見渡せる。


あうんは日本で言うスナックっぽいけど飲食料金は明瞭会計で普通の値段、女の子も置いていないし、結構ご飯も種類が多く美味しい。


龍一は三〇代の女性と奥のカウンターに座ってニコニコ話していた。

りさには気が付いていなかった。

りさは写真を撮った。

龍一の顔がこちらに向いていて女の人の顔は見えない。証拠写真。


龍一が女を口説こうとしている姿を見るのは本当に腹立たしいし、別れた後に寄りを戻したと思った矢先だ。


つかつかとそばに行き


「あなたは何をやっているのよ?」


とりさは龍一に威厳のある言い方で話しかけた。


隣の女は少し驚いたようだったが隣の女に言った。


「あなたは誰ですか?」

と聞いた。


「私は裕子ですけど」女は答えた。


「あなたは何で龍一といるの?」

りさは聞いた。


「私は誘われたから来ただけ」

裕子はシャーシャーと答えた。


そうなんだろう、少しきれいな若い子に付き合ってくれるかと龍一がモーションをかけまくっている最中なんだろう。


祐子にしてみれば、

(羽振りのよさそうなおじさんね、少し払わせちゃおう)

くらいな軽い気持ちで付いてきた。


のだとその時は思った。


「私にはボーイフレンドもいるし」


聞いてもいないのに裕子が話だし、携帯の写真を見せてきた。


あー、まったく龍一は相手にされていないんだ。すぐにわかった。

結構用意周到。龍一は踊らされているだけか。


龍一に

「外に出なさいよ」と告げた。


あ・うんの重い扉を開けて外に出ると路面の駐車場になっている。


11時過ぎのこの時間は人がまばらだった。


「あんたは何をやってるのよ」

と言ってビンタをくらした。


龍一は抵抗しなくてただなぐられた。


龍一はけんかに強く相手が手を上げると戦闘態勢に入り、普段は手が当たることはなかったが、既に酔っていたのだろう。手が龍一のほほに当たった。


「もういいだろ」

と言って龍一は中に入った。


りさは興奮していた。

一日中待ちぼうけを食らって会いたい気持ちが高まっていたその日にこうなった。


それから真理子にお礼を告げてりさは家に帰った。


龍一もりさを追って帰るものだと思った。謝ってくるのだと思った。


10分足らずで家に着くとケイタイが鳴った。

以前知り合ってから、何度か会ってご飯を食べたりしていた要君が電話してきた。


りさに好意を持っている一人だ。


「あんた、何をしでかしたの?ワイキキ中の噂になってるよ?!」

りさは驚いた、もう知ってる!


「あいつは止めた方が良いよ、中国マフィアと繋がっている噂もあるし。大体、あんたなんかのお嬢さんが付き合う相手じゃないのだよ。あんただって変な噂が立ってしまう。一緒に居た女が言ってたよ、あれが、おれのビジネスを買った女だよ。おじさんが付きまとってくるから困るって。大体あんた、変な帰り方したよね」


「えっ、どういう意味?」

りさは聞いた。


「今、家に帰ってくる帰り方だよ」

要は答えた。


(うわっ、なんで私の帰り道が分かったんだろう。GPSか、後ろを尾行していたのか。。。要くんはまだ私に興味があるから仲違いさせたいのだ)


まあとにかく、落ち着いて考えてみると龍一の愚かなところを表わした滑稽な一晩だった。


りさが詐欺師に引っかかっている間に、龍一も詐欺師に引っかかっていたのだった。


次の日、なんと言訳しようかという表情で龍一はりさの家に帰ってきた。


「よく帰ってくるよね、ここに」

りさは言った。


「友人だよ、助けてほしいって言うから」


何を言ってるのだ、このおやじは?!


「あんたは、あの女に相手にされていないのよ、良いカモなのよ。寝てないでしょ?あんたとは寝ないと思うよ。」


りさは龍一のことは良く分かっていた。

彼女は東大の大学院を卒業していると言っていた。


龍一は2つの大学に行っていて、どちらも中退している。

学歴に弱いところがあるのだろう。

その何日か後に、彼女からの伝言が携帯に残っているのを聞いた。


「猫のえさとお米飼ってきてくれますか?あっお水もね」


私が別れている間、龍一はこの女に貢いでいた。

そりゃ急にりさに振られたのだから、他の女が来たら頼ってしまうのもわかるけど。


龍一は女が居ないと生きていけないタイプ。奥さんはいるのだが。ママではあるけどもう女ではないのだろう。

と理由を付けて、りさは今回の事件を許してしまった。


その後に解ったのだが、祐子に三百万円貢いだらしい。


龍一とは五年付き合って、一ヶ月別れて、また戻った。

だけど、龍一も私の別れには傷ついたらしく、前のようには会わなくなった。

そんな時にクリスが登場していた。


クリスに初めて会ってから3―4ヶ月の間はりさはこのようにいろいろあったし、クリスは眼中になかった。


3回も言うが、顔が好きなタイプではなかった。


龍一には家庭があった。付き合い始めたころは奥さんとも記念日くらいには夜の営みがあったのだと思う。

それをなくしてしまったのはりさのせい。


でも、りさの前にも龍一にはJALのフライトアテンダントの彼女がいたし、りさを好きになったのは彼の方。


りさは離婚をした後、3ヶ月間一人で慎ましやかに過ごした。

週末は時間をもてあました。


りさはお散歩相手がほしかったし、寂しかった。


その後に龍一と付き合うことになってそのさみしさは消えた5年間。


一回別れて、今寄りを戻したが、前ほど龍一は寄りつかなくなり、一人の時間も増えた。


夕方や夜のお散歩はハワイと言っても少し注意が必要、だってアメリカだもの。


りさは小柄だから、後ろから見たらティーネイジャーに見える。


その話を、散歩相手が欲しいという話を、クリスにケアホームへ慰問に行く車の中でクリスに話した。


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