23歳幸子とやっていた
クリスとカイルアビーチに来た。
水曜日がクリスの休みの日で、この日はりさも仕事がオフだった。
カイルアビーチには、りさの誕生日に元彼と来て、海の中でじゃれ合ったのを覚えている。
りさの心にはまだ龍一がどこかにいた。
パーキングに車を駐車したとき、クリスが言った。
「前もこの辺に。。。」りさは聞き漏らさない。
「えっ?前って誰と?」
こういうところが愚かだと思う、クリスが話し出した。
「ほら、ちょっと前の。。。」歯切れが悪い。
「ああ、23歳の子ね」
そこでりさが思ったことを口にした。
「寝てないよね?」
「えっ、大人だし」クリスが答えた。
「寝たの?」りさ
「まあ」
「どこで、彼女のホテル?コンドームは?」
りさと初めてベッドに横になった時はコンドームがなくて止めたクリスだった。
「向こうが持ってた」
「あなたは、独身男性のところにコンドームの用意までして寝る覚悟の娘の罠にはまったのですか?
あー、情けない」
りさは頭に血が上り、一気に言い放った。
クリスは青年だが、牧師である。
そんな簡単に寝て良いのか?
私との時は避妊具が無かっただけで、あったら寝ていた。そういうことだ。
聞かれて白状してしまうところが特に愚かだ。
クリスは言った。
「大人の付き合いだからって前に言ったじゃ無いの?」
りさは寝ていると知っていれば付き合わなかったと思う。
そんな小娘と競い合うほどクリスのことが好きなわけでは無かったし、りさは人を好きになると痩せる。
付き合って数ヶ月は好きの気持ちで、胸がいっぱいになって食べる量が極端に減って痩せる。
でも恋愛幸せ女性ホルモンが分泌されるので、その上美しくなる、輝くのだ。
でも、クリスと付き合ってから痩せなかった。
それほどりさに取って緊張感のない恋人だった。
クリスとは、本当につまらないカイルアビーチの思い出になってしまった。
マカプウ灯台のウォーキングの次の日朝食で、クリスがこれ以上こうやって二人で外出するのはやめようと思うと言ったとき、寝ていたとは思わなかった。
りさも不覚だった。あの時知っていたら、そこで終っていたのに。
この時は、数日経ってから、もう忘れることにした。どっちみち、りさを選んだのだから。