表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/16

佐和子さんが買ったシャツ

りさは食事に限らず、クリスに洋服も買った。

もちろんクリスがりさに買ってくれたり、おごってくれたりもする。


基本的にはりさは男性と付きあった場合、男性が全て払うものと思っている。

その代わり、相手が喜んでくれるお礼やおもてなしをする。


今回の場合は相手の懐状況がわかりすぎたのと、りさが人生初と言っても良いくらい稼ぎ始めたのが重なり、クリスに自分の好みの洋服を買って着せた。

中には半ズボンなど着るのを嫌がっていたのも少なくない。


そのころAbercrombie & Fitch通称アバクロが流行っていた。

りさはこのブランドが好きだった。


クリスとアラモアナショッピングセンターにあるアバクロに行った。

田舎顔のクリスには似合わなかった、体系も合わなかった。


がっしりはしているが背が高く細身用のこの店の品は、サーファー御用達し観たいな店なのだ。


クリスにはしっかりしたラルフローレンのボタンダウンのシャツがたくさんあることを不思議に思っていた。

他の持ち物と比べたら、お坊ちゃま風だ。

今はお金がないとしても、留学もしているし実家は裕福なのだと思っていた。

ラルフローレンは子供とおじさん御用達しの店でもある。

クリスにはちょうど似合う。


りさはクリスと付き合ってからはずっと、それらのボタンダウンのシャツとアロハシャツにアイロン掛けをしていた。

りさは日本人の中でも小柄だ。でも、クリスはハーフだからサイズも大きくて毎回大変だった。


クリスの貧相な一戸建ての家は夕方は西日で暑く、汗を流しながらがんばってアイロンがけをした。


彼にパリッとしたシャツを着せたかったから。仕事の行きと帰りに彼の家によって洗濯をしたり、そうじもしていた。


だからこのヌウアヌアベニューには一日に3往復することもよくあった。


ある日、嫌な人からもらった品物はその人のエネルギーがしみ込んでいるから持っているべきではないと先輩に言われたそうで、クリスはその良い品質のボタンダウンシャツを何枚も処分した。


ポロのボタンダウンのシャツはみんな佐和子さんからのプレゼントだったのだ。

私がアイロンをあてていたポロのシャツが全て無くなっていた。

りさは驚いた。


クリスが自分で買った安っぽい生地の薄いYシャツが残った。


同じ女として、佐和子さんが可哀そうに思った。

そんなに貢いでいたらその人の気持ちを察していたのだと思う。


もらう物はもらってあとはポイか。それで、品物もポイ。


私が買った物もポイされる日が来るのかな、と思った。



それが2回目の彼のずるさと弱さを感じた出来事だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ