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あの日見た満天の星空を見に  作者: 滝山雅文
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 俺はすぐに橋の下へ降りた。スマホのライト機能を起動し、川を照らす。

 何処だ、何処いった。

 見つからない。

 焦るな、こういう時こそ客観的に状況を読み取れ。

 川はそこそこ大きく、ライトで照らしても照らし切れない。周りの闇が暗過ぎたのもあって栞ひとつだけを見つけるのは現実的に考えて厳しい。

 とはいえ諦めるのにはまだ早い。落ちたと思われるところをライトで照らし、そこから捜索範囲を徐々に広げていく。

 捜しながら左手を浸けて川の流れを確認する。どうやら左が下流のようだ。俺は下流へ少しずつ移動しながら捜索を続ける。

 諦めるな、諦めるな。

 特に取り柄のない俺が出来るのは諦めない事だけだ。

 心だけは、折れたら駄目だ。

 そう自分に言い聞かせる。

 しかし時間は残酷に、刻々と過ぎていく。時間が進むに連れ、絶望が心を染めていく。

 捜索を始めて10分。

 流石にこれだけ時間が経てば捜しても見つからないーー諦めが胸から湧き起こってくる。

 いいや、まだ、まだ、まだ。

 まだーー諦められない。

 両極端の思いが俺の中で交錯する。自分が引き千切られるような感覚があった。

 流奈……。

 身体が熱いーー吐きそうになりながら、泣きそうになりながら捜し続ける。

 心だけは、折れちゃ、駄目…だ……。

 それだけは絶対……。


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