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昇りゆく朝日

自由都市ウィンダの朝は早い。仕事が終わった後、俺たちは別れを告げて帰路についたが、既に空は明るさを見せ始めていた。郊外にある自宅に戻ると、朝までの僅かな時間床に着いた。


朝の日差しが、殺風景な部屋を彩る。


「おはようございます。リーダー」


寝癖のついた頭のエスカが、重いまぶたを擦って歩いてきた。


「俺は仕込みの為にもう出る。朝飯は置いておくから適当に食べておいてくれ」


「行ってらっしゃ〜い」


朝に弱いエスカのあくびをしながらの見送りを背に、俺は商業地区へと繰り出した。


「よぉショウイチ!」


商業地区の中央通りを歩いていると、後ろからカムイが声をかけてきた。


「昨日は全然寝られなくってよぉ〜って寝たの今日だったな。」


眠いのか、今日のカムイは少し元気が無いようだ。


「それにしても今回のターゲットも賞金が安過ぎないか? まぁ金目的じゃねぇからいいけどよ。お前は今日もミヤウチで仕事か?」


「そうだ」


「俺もアマノガワで仕事だよ。ジンさんにこき使われる未来が見えるぜ・・・」


東方流通機構"アマノガワ”はタカマガハラと呼ばれる大昔の転生者が作り出した都市とウィンダを繋ぐ貿易会社だ。タカマガハラ出身のカムイは、そこの副社長として働いている。


「昼にはミヤウチに行くからよぉ。そん時はよろしくな」


「あぁ、待っている」


カムイと別れを告げた俺は、ニホン食堂"ミヤウチ”へと足を運んだ。


ミヤウチとは俺の経営する定食屋だ。異世界転移者である父の話を元に、母と俺で編み出したメニューを提供している。異世界転移者たちには、味がオリジナルとは違うだの、オヤジくさいメニューだの言われて転移者が経営している店に行くが、この世界出身の俺と母の作ったメニューのため、ウィンダ出身の人々によく馴染むようで、ここの人達にはよく親しまれている。


昼も過ぎて、店内に人の姿が見えなくなった頃、見知った顔が入ってきた。


「よぉ、ショウ」


そう言って入ってきたのは、長い黒髪を後ろで束ね、見るだで威圧感を覚えてしまう大柄の男、ジンさんだ。その後ろにはカムイとエスカの姿がある。


「ショウイチ〜腹減ったぁ〜なんかくれ〜」


「リーダー、カツドンを所望します」


「エスカちゃんいつも食べてるよねぇ。 おれもそれにしようかな。ショウ、 カツドン1つ!」


3人は、好き勝手言ってカウンターに座った。


「まいどあり」


それだけ言って厨房に入る。カムイの注文は聞いていないが、別のメニューを作るのも面倒なので、カツドンにしておこう。


「そういやジンさんってショウイチの事何で知っているんですか?」


カムイが話を切り出す。


「ん〜、あぁそれはアイツの親父が俺の戦友だからな。」


「マジっすか! そりゃギルド長が務まる訳だ。」


驚くカムイを他所に、エスカは不思議な顔を浮かべていた。


「リーダーのお父さんですか。そう言えばリーダーの話って聞きませんね。」


「そうそう。アイツって自分の話をしないからなぁ。ナタリアはアイツの幼なじみらしいけど、聞いても適当にあしらわれるし」


「そうか。・・・まぁショウの仲間のお前らなら、アイツの過去は知っていた方がいいかもな」


そう言って話を始めたジンはどこか暗い顔をしていた。

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