3 哀しみの明生少年
伊賀海栗様が明生とるりのFAを描いて下さいました!
挿絵として、最後に入れさせていただきました。
いえね。
耽美な話が書きたかったのですよ、身の程知らずにも。
元々ギャグのセンスに乏しいし、性格も暗い。
明るく爽やか、あるいは青春真っただ中のキュンキュン話(ラブコメとか)なんか、私には絶対書けない。
昔々に『みんなのうた』で『まっくら森のうた』を聞いて以来(もっと明るい歌、いくらでもあるだろうに)、谷山浩子にハマってるところからして、明るい性格とは言えないでしょうよ。
でまあ、谷山浩子を聴きながらお話の構想をいじくりまわしているうちに
『耽美な話、書いてみたいな』
と。思ったのですよ。
うん。
憧れの先輩にキュンキュンするきゃわいい女の子の話とか、血沸き肉躍る(この言い回しがすでにセンスのかけらもない)冒険譚とかは、私には無理。
だったら、徹底的に暗くて救いのない、だけど見ようによっては至福の、そういうゆがんだ愛のお話、どうでしょう。
おー、いいんじゃない。パチパチパチ。←全会一致。
とでもいう脳内会議を、谷山浩子のアルバム『歪んだ王国』の冒頭『王国』をリピートで聴きながら行い、構想を練る若き日のかわかみれい。
夢で出会った後、リアルで出会って恋に落ち、結ばれたカップルがいたよね?
ああ、公募で鼻汁も引っかけられなかったあのお話(泣)。
あれ、設定はいいよね。
あそこから持ってこようよ。あの人たちの子供世代の話、どうでしょう?
おー、いいんじゃない?……以下、脳内会議は続き。
特殊な血筋の美形な兄妹による、ゆがんだ恋のお話が一応、出来上がりました。……が。
書けませんでした!
すみません。
私は暗いくせに?前向きな、そして思っていたより?常識的な人間だったようで。
愛の為に何人殺しても気にも留めない、その愛で愛しい者をがんじがらめにして窒息させるような愛し方をするダークヒーロー、他人様がお書きになる作品なら喜んで読みますけど……自作の中ではどうやら無理のようです。
彼に対する共感、なくはないんですよ。でもつい、
『迷惑なヤツ』『甘ったれてるなあ』『それは愛じゃねえ。質の悪い執着だ』
などなどのツッコミがわいてきましてね。
彼の恋(というか執着)を、肯定してあげることが作者なのに出来ませんでした。
そりゃ、書けませんよね~。
結果、明生くんは結木(正確には一角のミコト)に成敗される、かませ犬に。
哀しいなあ。
元々は君がヒーローのお話だったのに。
……ごめんね、明生くん。
『この度は完結おめでとうございましたぁぁああああ』と、
伊賀海栗様がFAを描いて下さいました。
この章にピッタリですので、挿絵としてこちらへ入れさせていただきます。
伊賀海栗様、ありがとうございました。