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6、悲哀

戦いの足音が、すぐそこまで来ています。

それに飲み込まれていく人たち

あ、おっさん、また出てないや(汗)

次回からは、活躍するはずです、多分

チャオ、西の砦、守備隊16番隊。

この辺境の土地で過ごした3年半、俺の家族たちだった。


今はもう()ない。


俺以外、全て死んでしまった。


俺は、必死に馬を走らせている、砦に、この異変を知らせるために。


だが、死の影はすぐそこに来ている。

幾多もの獣の足音、獣の咆哮が、すぐ後ろから聞こえて来ている。

後ろを振り向くな、ただ、馬を走らせるんだ。

それしか、今の俺には出来ないから・・


だが、俺の意志とは違い、馬は限界を超えていた。

ブルブルと震え、急に前のめりになった馬から、俺は、宙に放り出され、

地面を転がった。幸い、かすり傷程度であったが、馬は足の骨を折っており、

俺は途方に暮れた。

そして、見てしまった・・幾多の獣人たちが、こちらに来るのを・・

その数、およそ3万位か、最前線を、狼の獣人たちが四つん這いになり、

こちらに向かって走ってくる。

馬が無い今、俺は、逃げる事は出来ないだろう。


「あと、半年余りで、故郷に帰れたのにな・・」


「ユン、もう一度、君に会いたかった」

「リーン、ユンの事を頼む、出来れば生き延びてくれ・・」


そう呟くと、守備隊16番隊、最後の生き残り、ロクエイは、自分の長剣を抜き、

迫りくる獣人たちと対峙した。


一刻の後、ロクエイは、獣人たちの波に飲み込まれていった。


守備隊16番隊の巡回は、夜の巡回及び、

小休止の後の朝の巡回までは、何事もなかった。

部隊が引き返そうとしたとき、

また、その場所は、砦より一番遠い確認ポイントであったことも

この部隊にとって、不幸であった。


一番最初に、獣人部隊10名の内、豹の獣人が気づいた。

“魔族の国の森の奥がざわめいている、何かがこちらに向かっている”

その時、森の奥より、獣の咆哮と、幾多の足音というか、地響きが聞こえてきた。


守備隊16番隊隊長、クローデンは、優れた兵士で、部下からの信頼も厚かった。

この異変を、砦に知らせる事を第一に考え、5名の伝令兵を送ることを決めた。


その中に、ロクエイも含まれていた。

「いいか、お前たち、必ず、砦までたどり着き、この事を知らせるのだ」

「後ろを振り向くな、前だけを向いて走れ!」

伝令兵5名は、装備を全て捨てて、身軽になり、すぐに馬を走らせた。


クローデン隊長は、残りの皆に、

「いいか、お前ら、ここが死に場所と心を決めろ」

「俺たちが時間を稼げれば、それだけ砦の準備ができる」

「歩兵は前へ3列、盾を構えろ。騎馬隊は一団となり、動き回り、相手を混乱させろ」

「魔術兵は何人だ、スクロールの数は?」


「魔術兵は、今回5名 スクロールの数は5枚ずつ」

副長が答えると、

クローデン隊長は、

「だから言ったのだ、魔術兵は減らすべきではないと」


出発する時、スクロールの補充が間に合わなかった為、

通常20名の魔術兵は、4分の1に減らされ、スクロールの数も半分であった。


「魔術の威力は?」


「中魔術2つに、小魔術3つずつ」

魔術兵の一人が答える。


その時、森林より、豹、狼、熊、虎等の姿をした獣人たちの集団が現れた。

獣の咆哮は、その大地を揺るがし、守備兵たちに絶望を与えた。


「魔術兵たちよ、一番前に出、中級魔術を打つのだ、その後、歩兵の後ろに下がれ」

クローデンが叫ぶと、魔術兵5名は、歩兵の盾の前に出、スクロールを広げ、

詠唱を始めた。

5つの中級魔術が放たれた。今回の魔術は、火と風の魔術、ファイヤーストーム。

風の力によって、拡大された火炎の渦が、獣人たちを襲った。

同数の敵、いや倍の敵であっても、

この中級魔術であれば、戦いになったかもしれない・・

が、相手の数は、あまりにも多すぎた。

2度目の中級魔術を放った魔術兵たちは、歩兵の後ろに下がった。


「騎馬隊は、俺に続け」

クローデンはそう言うと、

騎馬隊の一番前に出、愛剣を抜き、獣の群れに突っ込んでいった。

騎馬隊100騎は、勇敢に戦ったが、あまりにも相手の数が多く、

クローデンが、虎の獣人の一振りで、

上半身を飛ばされた後、騎馬隊は殲滅された。

歩兵部隊も、熊の獣人を食い止める事が出来ず、粉砕された。


そして、獣人部隊は、何事もなく、行進をはじめた。



エルフ国親善一行は、人族の首都・マグナに到着した。

マグナ中央にある王宮に向かっていた一行であったが、その表情は冴えない。

また、マグナも首都であるが、活気が無く、幾多の兵士が街を巡回していた。


王宮の入り口では、マルーン宰相自らが、一行を迎えた。


「エルフの王・クペランテどの、このマグナによく参られた」


「これは、宰相みずからお出迎えとは、恐れ入ります」


「今日はゆっくりとお寛ぎ下さい 明日・我が王・アプスタット王がお会いになるでしょう」

マルーンはそう言うと、女官たちが出てきて、エルフ一行を案内していった。


質素ではあるが、整えられた部屋に通された後、

クペランテは、アミシャスに、

「明日の会談で、メディオクリスの行く末は決まるであろう、


アミシャスは、

「王よ、本当にバルチャーム姫を差し出すつもりですか?」

と尋ねた。

「アマール神の加護もなく、国力で劣り、

魔法でも、互角となった今、逆らうことはできまい」

「その気になれば、エルフの国を滅ぼすことは可能であろうよ」

「どのような結果になろうと、アミよ、私に付いて来てくれるかい」


「王、いや、クペランテ、貴方とは、子供の頃より、ずっと一緒だった

これからも、命ある限り、お仕えするよ」


「ありがとう、アミ」



「マルーン宰相か、得体の知れない人物であったな、魂の揺らぎが見えなかったが、

アミはどう思う」

と、クペランテが尋ねると、

アミは、

「確かに、果たして人であろうか? 私の第3の目には、黒い靄しか見えなかった」

数は多くはないが、エルフ達には、アマール神より、

エルフに成るときに、スキルを与えられている者たちもいた。

アミシャス副王には、“第3の目” 相手の本質を見ることができるスキルが与えられていた


「アミのスキルで、見ることができないとなると・・」


「それに、この国は妖精たちがいない。それで見えないかもしれないが・・」


エルフの魔法は、妖精の力を借りて現下する。

妖精が居なければ、魔法自体が使えないのである。


「アミよ、妖精が全く居ないというのはおかしい、何処にでも、少しは居るはずだが」


「確かに、それも、あの宰相と関係があるのかもしれないですね」

「でも、不思議です。なぜ、スクロールで、魔法と同じ事が出来るのでしょうか・」


次の朝、クペランテとアミシャスの2人だけが、アプスタット王の謁見の間に通された。

エルフ国・メディオクリスの存亡を賭けた会談の幕は開けられようとしていた。



ここは、チャオの首都より、馬で1日ほど走ればつく農村である。


「ユン、牛から乳を搾っておいてね」


「分かったわ、お母さん。この、洗濯物干したら、すぐにやるね」


あと、半年したら、ロクエイとリーンが帰ってくる。そしたら、

どっちか選ばないといけないのね。

小さい頃から、ずっと3人一緒だったのになあ、難しいなあ

でも、ちゃんと決めないとダメだよね

でも、お嫁さんか、実感わかないな


ユンはまだ知らない、ロクエイは既に命を落とし、

リーンにも、死がすぐそこまで、足音を立てて近づいていることを・・

平和な日常は崩れようとしていた。


読んで下さり、有難うございます。

年末・年始は仕事が忙しいので、更新は不定期になります。


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