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23、暗黒の国 スペロ 1

シュウとバルチャーム姫は、

ついに、テネブリス神がいる

暗黒の国スペロへとたどり着いたが・・

人族の国・チャオから、北へ向かい、1週間が過ぎた。

目の前には、大きな河があり、その向こう側は、空は黒い雲に覆われ、

大地は、怪しげな木が茂り、先は全く見通せない。

禍々しい空気が漂っていた。


「姫さん、見るからに妖しい雰囲気だね」

「さて、どうやって渡るかな、向こう岸まで50m位はあるよな」


河の表面は、透き通っており、流れはなく、

どちらかというと湖の様にも見えた。


「普通に見ると、綺麗そうなんだけど」

「でもなあ、さっきから、河の方からも、変な感じしかしないんだよなあ」


「シュウさん、私もこの国の事は詳しくありませんが、

こちらから向こうへ渡れるのは、1割もいないそうです。」

「そして、表面に騙されるな、本質を視ろと言われています」

「帰ってきた人は、1人もいないそうです」


「やっぱ、そうだよな。」

「姫さん、ちょっと待ってて」


そう言うと、シュウは、近くの木の所に行き、刀を出すと、その刀を一閃。

更に、何度か、刀を振るうと、長さの揃った丸太になった。

その丸太を揃え、(ツタ)で結んでゆく。

不格好ではあるが、2人くらいなら乗れる(イカダ)が出来上がった。


おっさんは、昔読んだ〇ムソー〇の冒険で、筏で川を下る場面が好きだった。


筏の後ろに短い丸太を立て、()の様な物を取り付けた。


「う~ん、あまり出来は良くないが、しょうがないか」

「さすがに泳いでいくという選択肢はないからなあ」

「姫さん、申し訳ないが、これで向こう岸へ渡ろうと思うけど、良いかな?」


「はい」

姫さんは、微笑みながら、返事をしてくれた。


シュウとバルチャーム姫は、筏に乗り、スペロへ向け、筏を漕ぎ出した。


「シュウさん、水が透明で、底が見えますよ」


「姫さんっ 覗かない方が良いよ なんか変な感じがする」


バルチャーム姫が、顔を引っ込めたところに、河の中から、

蟹のハサミの様な物が飛び出て、鋭く、空間を切り裂いた。


シュウは、刀を現下すると、素早く、そのハサミを切断した。

切断された断面からは、青黒い血が吹き出し、透明だった河は、

あたり一面が、青黒く染まった。


「はあ~ 姫さん、危なかったな 綺麗だとずっと覗いてたら、

あのハサミにやられるところだった」


「シュウさん、有難うございます」

「気を抜くとだめですね」


「姫さん、また来るよ、この櫓を持ってて」


そう言うと、シュウは、姫さんに、筏の櫓を渡し、筏の一番前で、刀を構えた。


筏の正面の海面が、渦を巻き、盛り上がると、そこから・・

身体は魚で、両脇に、蟹のハサミの様な物が生えている物が飛び出てきた。


両脇に腕ハサミは2本ずつあるが、そのうちの1本は、

先程、シュウに切られ、青黒い血は流していたが・・

その魚・・魚と呼べるかどうかわからないが、

その口を開くと、鋭い歯が並び、眼は、黒く淀んでおり、大きさは3mはあるだろうか。


ハサミのついた腕(?)をシュウたちの方へ向けてきた。

シュウは、一瞬、眼をつぶり、次の瞬間、眼を開くと、刀は金色に輝き、

その刀を振りおろすと、金色の光の刃が、その異形のものへと届いた。

光の刃は、バターを切るナイフの様に、真ん中から切断した。

2つに切断されたものは、静かに河に沈んでいった。


「ふう どうにかなったかな」

シュウは刀をしまい、大きく息を吐いた。


「シュウさん、今の生き物 何だったのでしょうか?」

「初めて見ました」


「変な化け物だったな、蟹とサメをくっつけたみたいな感じだったな」


「蟹? サメ?」


バル姫の頭には、?マークが浮かんでいるのが分かったシュウは、

苦笑いしながら、

「こっちの世界にはいないのかな」

「とにかく、無事に渡りたいよな」

「姫さん、替わるよ」


シュウは、バルチャーム姫と代わり、再び、櫓を漕ぎ出した


その後、何もなく、筏は、向こう岸へたどり着いた。

シュウは、筏を引き上げ、バルチャーム姫に、

「姫さん、もう、日が暮れる。今日は、ここで野営しよう」


「そうですね、夜、動くのは危険ですね」


「しかし、この森からは、なんか禍々しい気配がするな」


「シュウさん、私も感じます」


「また、河から変な(・・・)が、出て来たら困るが、

あまり、森に近づくのもどうかと思うがな」

シュウは、河と森の間、どちらかというと森に近い方で野営することにした。


「さて、まずは今晩だな、無事に過ぎるといいんだけど、

首の後ろがさっきから、ピリピリしてるんだよな」


シュウは、筏をバラし、その木に火をつけた。

赤々と燃える火は、冷えた身体を温め、心も温めていく。


「姫さん、俺が火の番をしてるから、横になるといいよ

何かあったら起こすからさ」


「シュウさん、有難うございます

 でも、この禍々しい感じだと、無理でしょうね」


「やっぱ、そうだよな それじゃ少し話をするか」


俺は、周りに注意を払いながら、姫さんと話をすることにした。


「こうやって話してると、なんか、娘と話してるみたいだな」


「シュウさんの娘さん、確か、香織さんって言いましたよね、

どんな娘さんなんですか?」


「そうだね、香織は・・」


その時、森の奥から、何かが近づいてくる気配を、俺は感じた。


「姫さん、俺の後ろに 何か来るぞ」


森の奥から出てきたものは・・


死人、そうゾンビだった。


お読み下さり有難うございます。

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