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16、希望

蹂躙されるエルフの国

希望はシュウに託された。

マグナに戻ったシュウ達を待ち構えていた人は・・

エルフの森は燃えていた。

赤い炎が立ち上り、ごうごうと音をたてて燃えている。

何十年、何百年とこの地を見てきた木たちが、焼失しようとしていた。

マルーン率いる人族の部隊は、森につくとすぐに、魔術で火を放った。

エルフ達は、森を守るために水魔法で消火をしようとしたが、メティオ率いる

第2部隊に、刈り取られていく。

エルフ達は、森を味方にして戦うつもりだったが、火を放たれ、逆に、炙り出され、打ち取られていた。


「祭壇の無い森には興味がないのだよ」

マルーンは、一人呟いた。


エルフの長老、ヨークは、戦えない者たちを森の奥へと逃がした。

戦えるもの、役2,000人足らず、その内、すでに半数以上は帰らぬ人となっていた。

火にまかれるもの、消火をしようとして、打ち取られたもの・・

ヨークは、残っている者たちに、

「お前たちは森の奥に逃げなさい、このままでは、全滅してしまう」


「ヨーク様はどうされますか?」


「私は、もう長いこと生きた この祭壇の木と一緒にね」

「私のスキルは結界 この木を守ろう ただ、このスキルを使うと、私はこの木と混合することになる」

「バルチャームとシュウ殿が帰ってきた時、この祭壇の木がなければ、エルフの国に平和は来ない」

「いいか、お前たちは、生き延びるのだ」


「ヨークさま・・」


「シュンバはいるか」


「は、ここに居ります」


「シュンバ、苦労を掛けるが、皆を逃がすのだ お前のスキル、探知が役に立つであろう」

「さあ、早く行きなさい」


「ヨークさま、必ず、皆を逃がします」


シュンバは、そう言うと、皆に向かって、

「私の後について来てくれ」

生き残っているエルフ達は、森の奥へと、消えていった。


「シュウ殿、貴方は、私たちの希望 お願いしましたぞ」


ヨークの周りに、妖精たちが集まってきた。

「アマール神よ、どうか、この祭壇の木と皆を守り給え」

ヨークの身体が白く輝いたかと思うと、その祭壇の木の周りに白い繭のようなものが、まとわりついた。ヨークの姿は消え、祭壇の木は、大きな白い繭で包まれた。



「メティオ」


「は、ここに居ります」


「私は先に戻っているよ、後のことは任せた」

マルーンは、そう言うと、スクロールを広げた。

黒い靄が現れ、消えた後、そこにマルーンの姿はなかった。


俺と姫さん、ルトとセレティスの4人は、また、チャオの首都マグナ近くの森に戻ってきた。

俺たちを乗せてきたペガサスは帰って行った。


マグナ近くの平原には、戦いの跡があった。


「シュウさん、どうやら戦いがあったようですね、マグナが無事と言うことは、人族が勝利したのでしょうか」


「姫さん、そうかもしれないね とにかくあの王宮に行くしかないよな

 姫さんたちはここで待っててくれないか どんな危険があるか分からない」


「シュウさん、私も一緒にいきます そうしないといけないのです」


姫さんの眼からは、強い決意を感じた。

「このまま、私があの街に入っても、魔法は使えません、でも、一つだけ方法があります」

「ルトとセレティス、2人にお願いしたいことがあるの、私に力を貸して下さい」


セレティスは、まだ眠ったままだが、ルトは姫さんの言葉に、しっかりと頷き、

「姫さま、混合だね」

ルトはそういうと、バルチャーム姫に近づき、

「僕らミスセンティスでも役に立てるのなら・・」

そう言い、姫の手をしっかりと握りしめた。

「ありがとう」

姫がそう言うと、

3人を淡い光が包んだ。

光が消えた後、そこには、バルチャーム姫だけが居た。


「これで、私は、あの街でも魔法が使えます」

「ありがとう、ルト、セレティス」

姫は、胸に手をあて、頭を下げて、そっと呟いた。


「私の中の父が教えてくれました、アプスタッド王は、強いものが大好き、必ず、シュウさんとの戦いを希望するはずです」

「そして、そこには宰相のマルーンが必ず、居るはず」


「姫さん、わかったよ」

俺はうなずくと、姫さんと一緒に、マグナに向かった。


正面から堂々と行こう。

門は開け放たれていて、そこには、宰相のマルーンが居た。


「探し物が向こうから来るとはね」

「ようこそ、バルチャーム姫、そして異界の人間よ、アプスタッド王がお待ちだ」


マルーンに連れられて、俺たちは、王宮の謁見の間に通された。


そこには、赤いREXを被った、アプスタッド王が一人、王座に腰かけていた。

その眼は赤く淀んでいる。

但し、その威圧感は半端なものではない。

普通の人間なら、その威圧感だけで、気を失ってしまいそうだ。


「俺の名前は、海斗 修 貴方との勝負を望む、俺が勝ったら、そのREXを頂きたい」

俺が叫ぶと、

いつの間にかアプスタッド王の側にいたマルーンが、

「海斗修と言われたか、異界人よ、我が偉大なるアプスタッド王に挑む前に、この試練を乗り越えてもらおう」


「どういうことだい」

俺が尋ねると、


マルーンは

「この2人に勝てば、アプスタッド王は戦いを所望されるであろう」

マルーンが、杖を振ると、黒い靄が現れ、

そこから2人の男が現れた。

1人は、俺の良く知っている男、

「フォルティなのか?」

もう一人は誰だ?

バルチャーム姫が、呟いた。

「シュウさま、あの人はアミシャス副国王、フォルティの父親です」


お読みくださり、有難うございます

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