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エピローグ
長い、夢を見ていた。
真っ暗な空間を、光り輝く道に沿って、ひたすらに歩く夢。
でも、その道は、途中で途切れてしまう。
引き返そうとすると、そこには既に道はなく、ただ闇が広がっているだけ。
このまま闇に飲まれてしまうのではないか。
私という存在が消えてしまうのではないか。
怖い。
誰か。
誰かたすけて。
誰もいないのはわかっている。
しかし、口からは、無意識にその言葉が発せられた。
すると、光の道が、闇の彼方から、再び延びてきた。
その光は、今までと違う、柔らかくて、温かな光。
それは、私にある人物を想起させた。
不器用だけど、優しくって、
辛い時に、一緒にいてくれた人。
私を救ってくれた人。
世界中の人があなたを忘れても、私だけは覚えている。
あなたが私を忘れても、私だけは覚えている。
たとえそれがどんなに辛くても。
それが私にできる、ただ一つのことだから――。