お寺の本堂で蚊に刺されない理由
お寺に行った時に、境内全般では蚊が多いのに、本堂の中では不思議に蚊に刺されない。
本堂は扉も窓も開けっぱなしなのに、なんでかな~?と、不思議に思った事はないだろうか。
いや俺様は、どこに居ようと全身刺されまくりよ、おととい来やがれコノすっとこどっこい!と言いたい人もいるかもしれないが、そういう人は、少しの間だけ黙っていて欲しい。
念のために言っておくと、この項には、怪異現象は登場しません。
原因があって、結果があるという、科学レポートみたいな話です。
だから、分類は「その他 実用」か「ノンフィクション エッセイ」にすべきなのだが、実話系怪談が好き!という奇特な人以外には、全く興味が湧かないようなネタなので、何かの参考になるかと「ホラー」分類で書いてみる。
けれど、怖くも何ともない内容なのですよ。
元・大工さんから聞いた話である。
お寺の中では殺生は禁じられているから、蚊や羽虫といった小動物も出来る限り殺生をしたくない。
かと言って、本堂の中に入ってくれば、やっぱり邪魔だ。
そのために、虫などが入ってこれない工夫がある、という。
線香を焚いたり、護摩を焚いたりして、煙で燻すんですね、と聞いてみると、
「それも、そうだが、建立の時に行う作業に、意味がある。」
のだそうだ。
魔法陣とか結界とか、何か儀式でも?と身を乗り出すと
「そんな非科学的な方法ではない。虫や何かが忌避する成分を含んだ薬草を埋めておくのだ。」
とのこと。
具体的には、本堂の床下に当たる部分に、数メートル間隔で穴を掘り、薬草を埋めるのだ、という。
その間隔によって、効果と施工価格に違いが出て来るのだそうだ。
それに加えて、屋根まで葺きあがった後、雨の降る日に屋根に登り、粉末にした薬草を大量に屋根に撒く。
雨に流された薬草粉末が、隙間隙間に流れ込み、効果を発揮するのだそうだ。
粉末の散布は、合間に晴れの日を挟んで、複数回行われる。当然、散布回数の多い方が、防虫効果とその持続性も高い。
ただし、散布量と回数によって、コストは変わってくる。
実に何とも科学的というか合理的な方法なので、本堂で蚊に刺されない理由に納得がゆくのだが、
「薬草は何を使うのですか?除虫菊とか、ヨモギとか、ドクダミとかですか?」
と、聞いてみたが
「薬草とその配合は、秘伝だから教えられない。」
と、最後まで教えてもらえなかった。
ホラー要素皆無の作品なので、実用・豆知識の類です。
もし、ホラー要素があるとすれば、最後まで教えてもらえなかった「薬草の配合」でしょうか。