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ラ=ヴィアローグの花嫁達

転生令嬢は婚約者を幸せにすることにした。

作者:

初投稿です。


同一世界のお話も書きました。

宜しければシリーズからどうぞ。

 


 あら? もしかしてここはあの小説の世界なのかしら?



 私、マグリーズ辺境伯が第五子マリ=レーネ7歳は婚約者となった第一王子シャル=ドーサ5歳との初顔合わせの席で前世の記憶を思い出し、それをサラっと受け入れた。






 まぁ、これはあれだ、いわゆる転生物というやつだ、ちまたでは悪役令嬢やらヒーローに興味の無いヒロインが鉄板だが私はモブだ、それも殺されるモブだ、この目の前に居る婚約者・・・に。



 不機嫌な顔を隠す事無く側妃とその兄である公爵と会話する父と長兄との間で私は正面に座る婚約者の様子をそっと観察する、右隣に座る母をじっと見つめるその顔は、うん、この寒々しい美貌、あの小説の口絵で見た氷雪公シャル=ドーサだ、幼児でもこの美しささすが悲劇の悪役王子。



 さて、私が転生したと思われるこの世界、ここは多分『ラ=ヴィアローグの花嫁皇女(元メイド)』の世界だ、ある少女小説レーベルで出版されたこの小説はその後歴史小説で結構なヒットを出した作家のデビュー作である、王宮を舞台にしたちょっとタイトルからは想像出来ないシリアスで重い話だった、ヒロインとヒーローの恋愛模様より、ヒーローと異母兄ーー目の前の彼だーーとの確執と死の間際の和解、そして兄の亡き殻を抱いてのヒーローの決意シーンにページと熱意を注ぎ込んでいた、ヒロインないがしろだった、この作家さんは三冊でこのレーベルから去った、他二作もヒロインないがしろだった。


 この子死んじゃうのか~、でもその前に私が彼に殺されちゃうのか~、恥ずかしそうにうつむく振りをし思考する。


 ……よしこの婚約破棄しよう、元々向こうから是非にって話だし、うちの家族は嫌がってる、別に問題無い、側妃一派に睨まれても領地に引きこもっていれば別に問題無い、両親も兄姉も歳の離れた末子の私には甘々だし別に問題無い、よし泣こう、泣いて怯えて嫌がろう、それで私の死亡フラグは折れる、後は領地で過ごし王宮とは関係の無い旦那様に嫁ごう、家族にも小説の時期には王宮に近寄らない様に言おう、それで全部解決だ平穏無事な人生を送れる。


 私は決意した、父と兄に泣いてすがろうと顔を上げた、そうしたら彼と目が合った。


 ぞっとするほど綺麗な赤葡萄色の瞳は色硝子の様に透明で人形のそれよりも空っぽだった。


 ……あぁ、これはダメだこんな目を5歳の子供がしてはならない、私はこのまま彼を見捨てられる? いや無理だ、こんな目をした子供を見捨てられない、見捨てられるわけが無い、幸せにしなければ、幸せを教えなければ、……もしここで彼を見捨てたら私は絶対に幸せにはなれない、……ならばそう、そうだ、共に幸せになろう。



 マリ=レーネは新たなる決意を抱き婚約者となったシャル=ドーサに微笑みかける。



 これは後に、白の守護王と呼ばれる王子とその伴侶の出会いの物語。


お読みいただきありがとうございます。


ここからは補足というか蛇足というか。


マリ=レーネさんは少女小説ファンでは無く、歴女でした。


シャル=ドーサ君は微笑みかけられた事にこの後、凄く動揺します。


ヒーローは小説では隠れブラコンでしたが、この世界では普通のブラコンになります。


ヒロインは皇宮から誘拐され、その後侯爵家にメイドとして拾われます。


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