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初友達!

入学式も終え、新たな幕があがった。

そう、私は今までと違う。

心機一転。

私は生まれ変わる。


その名も『高校デビュー』


友達が欲しいくせに、何もせず動かなかった私とはお別れです。

今の世は正に肉食系女子が暗躍する時代。

狩られるのをただ待つばかりの草食動物の時代は終わった。

生き残りを賭け、狩るか狩られるか。


つまり絶対に友達をGETしてやる!


そんな野望を胸に私の戦いは火蓋をきった。








「次は移動教室ですね。可世さん、紗智(サチ)さん御一緒しても?」

「うん。音楽室、一緒、行く」

「勿論」


勿論バッチコイさっ。何処までも、この際音楽室までと言わず地の果てまでお供しますともっ。


あっ、すいません。

展開早いって?そんなのどうでもいいんだよっ!

それより聞いて下さい。奥さん。

私、ついに、ついにやりました!

と、友達ですよ。女友達。しかも美少女!


来た、これ、美少女(トモダチ)


移動教室へ誘ってくれたのが伊集院(イジュウイン)馨子(カオルコ)さん。まさに大和撫子な美少女。和風美女きた、これっ。

黒髪ロングストレトヘアーの色白美人に品のある口調。もうご馳走さまです。


「音楽、楽しみ。ピアノ、弾きたい」

「紗智さんのピアノならぜひ聴きたいです。私は琴くらいしか充分に奏でられないので羨ましいです」


口調が独特のローテンションマイペース美少女の真中(マナカ)紗智(サチ)ちゃん。無表情が完全装備だが小柄で可愛い。ショウトヘアーでさらに小顔度UPに大きなバンビの様な瞳。もう拐っていいですか?


「紗智ちゃんと馨子さんの演奏か。二人とも上手だよね。私は手習い程度でピアノも琴も聴かせる代物ではないから二人が羨ましいわ」

「そんなこと、ない」

「そんなことないです」


二人の美少女に即座に否定された私。

はい、凡人な私です。

二人よりはあらゆる楽器を扱えますが、特出した演奏が出来ない私です。二人の様に誰をも惹き込む演奏など出来ません。せいぜい間違えないように演奏出来れば良い方です。

いいんだいっ。音楽とは字の通り、音を楽しむものさ。技術がともわなくても音は楽しめるものさ。


そんな私なのに即座に否定してくれる君達の優しさに乾杯。チン。


「二人にそう言って貰えると手習い程度の腕でも嬉しいわ。ありがとう」

「謙遜は美徳ですが……」

「可世、無自覚」


えっ、何故そんなに怪訝そうな顔をする。

まさか心の声が表情に駄々漏れですか!?

私の変態思考が顔に…………

待って、行かないで!私を捨てないで!!って音楽室に行くんでしたね。はい。


そんなこんなで移動ですよ。移動。

教科書持ったし、筆記用具も持った。忘れ物なし。

それではレッツラゴー!


そうそう、この二人ですがヒロインの友達ポジションの子ではないですので悪しからず。

何故かって?

遠くのクラスの美少女より、近場の美少女(クラスメイト)だろうがよ。

第一、ヒロインの名前さえ忘れたわ。

そんなんで父とて調べようがないわ……いや、調べられたかも。否定出来ない自分の父が恐い。

ちなみに忘れなかったのは消臭剤と消臭スプレーのみ。翌日、各トイレに設置され、何故か私専用トイレまで建設する話までいったのは御愛嬌…………になるわけないだろ。勿論全力で阻止しましたよ。


そんなこんなで、いざ出陣じゃあ!

廊下では既に教科書と筆記用具を持った美少女二人が私を待って、壁の華。

そして私が教室から出て二人に歩み寄ると、出迎えるのは百万ドル×2の笑顔。

グハッ………鼻血が出てまうだろうがよっ。

だが、意地でも出しません。絶対に出しません。私の粘膜頑張れっ!


私は鼻を咄嗟に手で押さえ、鼻を啜る。私の命の(ハナヂ)よ。出て行っては駄目。帰って来なさい。

美少女にドン引きされ、変態の烙印回避よ。ここで欲望のまま出したら、獣畜生。私は人間。理性ある人間。ここで負けたら美少女(トモダチ)が離れていく。阻止せねばーっ!!!


「どうかされました?」

「んっ。あっち」


心配そうに私を見る、馨子さん清らかな瞳に私の心はもはやノックアウト。

そんな私をそっちのけで紗智ちゃんが顎で指す方向には…………おお、懐かしや。いつぞやのクラス委員長の申し子。眼鏡君ではないか。


久しぶりな眼鏡君登場に名前が思い出せないぞ。何しろあれ以来クラスが一度も同じにならなかったからな。不可抗力だわ。


しかし、眼鏡君よ。中々の知的美形にご成長されましたな。お母さんは嬉しいよ。眼鏡がなかったら誰だが判別出来ないくらいに成長されましたな。視力は成長せんかったのは残念だが、素敵ですよ。眼鏡。


「ああ、またですか」

「臭い、邪魔」


えっ、臭いっ!?私、臭いの!?しかも邪魔って私じゃないよね!?お願いだから否定して紗智ちゃん!!


「早く、音楽室、行く」

「そうですね」


左右の手を馨子さんと紗智ちゃんに引かれ、廊下を歩かされる。良かった~私は臭くも邪魔でもないみたいです。えがった。えがったよ。


眼鏡君の横を通り過ぎようとした際にようやく、女の子の存在に気が付いた。

なんかスゲー髪色だな。オイ。


茶髪の髪は天然に見えない。根本が黒いよ。校則くらい守れよ。しかもこの年齢で化粧だとっ。いや、化粧も染色もお洒落な女子高生なら普通だよ。

でもさ、ここ一応、進学校なのよ。

ナチュラルメイクみたいな装いだがオバチャンの女の勘がビシビシと告げている。あれはガチメイクだと。


両隣の天然美少女と比べると雲泥の差だ。


まず常時、頬がピンク色なのは人間にはあり得ないよ。感情によって染まる頬がいいのであって、あれは邪道だ。睫毛も下睫毛までマスカラしてデカ目意識バリバリですな。しかもカラコンまでしてるし。あの唇もグロスか…………素材はいい。素材は。だが天然素材(美少女)には負けてるな。


「………日…図書館…行………ません…」

「………君も図書……行…ん…………数学で解らない………あったん…………一緒に行っ……」


途切れ途切れではあるが、もしやデートのお誘いですか?ここ廊下なんですが。しかももうすぐ授業始まりますよ。

今の子はルーズだわ。青春だね。眼鏡君。ただ、時と場所を選ぼうぜ。TPOは大事ですよ。


生温い視線を送りつつも素通りしようとしたら、眼鏡君と視線が合いました。


眼鏡君は私の両隣の華を見ると私を睨みつけてきた。


KO・WA・I


えっ何、羨ましいの。羨ましいか。羨ましいだろ。だからってそんなに睨むなよ。男の嫉妬は醜いぜ。

はい、すいません。だから睨むなよ!眼鏡が反射して目が見えないほど光らせないでよ。

いいじゃないか。私だって女の子とウハウハしたいんだから!

はっ、もしやクラス委員長に推薦したのを根にもってるのか!?積年の恨みですかっ!!


どうする?どうすればいい!?闇討ちなんてされたらどうすればいいの!?た、助けて~お父さ~ん!!!

はっ、ここで父に頼れば眼鏡君の命はない。そんな、私のライフカードは『父』『保護者』『理事長』カードしかないだとっ!?全部同じ最強カード三枚とか………………って冗談はさておき、ここは私の実力を見せるか。


喰らえーっ!

秘技、長いものに巻かれろ。

笑って誤魔化せ作戦。


似非聖母オーラを出しながら微笑を浮かべて、通り過ぎる。


………………ふぅ、乗り切ったぜ。


我ながら最終奥義を出すことになろうとは………眼鏡君、恐るべし。


「お知り合いでしたか?」

「前にクラスが同じだったの。眼が、コホンッ、彼は覚えてないかもしれないけど」


ヤッバー。あと少しで『眼鏡君』って呼ぶとこだったよ。クラス委員長に推薦しといて名前忘れたとか言えないわ。まぁ、眼鏡君も私のことなんて眼中にないからオアイコだよね。


「鼻、喉、痛い?」

「大丈夫」


誤魔化した鼻血と咳を心配するよう伺う紗智ちゃんの上目遣いに吐血しそうになったのは秘密だ。


何やらハプニング?があったが無事音楽室に着いた。


音楽室で先生が来るまで紗智ちゃんがピアノを演奏して、馨子さんと私で合唱したりした。

何故か私までピアノを弾くことになり、しかも歌までリクエストされた。

美少女二人におだてられれば、私は木だって登る。


そんな私の一人プチコンサートは生徒だけでなく、いつの間にか来ていた先生の拍手で終了した。


誰か止めてくれよ!!




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美少女友達いいね!実際主人公は美少女かどうか分からんか、まあ人は普通自分の顔が見えないからどうでも良いか。美少女に愛さればいい
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