切実に友達が欲しい
ピカピカの一年生♪
テンション高く叫ぼうか。
私は赤いランドセルがトレードマークの小学一年生になりました。ヤホー!
なんて、嘘です。すいません。
高校一年生になりました。
展開早いなっ!と、言うツッコミはスルーです。今後、大人社会を生きる為にはスルースキルは重要です。
ですが、私は優しいオバチャンなので小、中学生時代の思い出話をしてあげます。
そう、それは昔、昔の事です。
幼き少女の泣くも涙の物語り。始まり、始まり~
小学校入学。
念願の一人時間ですよ。
父が理事長になったのは予想外でしたが。
そう、一人時間。
父が居ない。いや、登下校と昼食は一緒だけどね。でもさすがに授業中は居ないよ。そこは何とか食い止めたさ。代わりに何故か私の教室の窓から理事長室が見える位置に存在する。新しく作られた理事長室と私の教室が互いに丸見えになる構造なのは偶然だよ。うん、父が双眼鏡片手に見てる何て事ないよ。私の席が窓際なのも偶然だよ。席替えしても窓際になるのも偶然だよ。そう、思いたいと思います。
そんな私は読書中です。
こう、文学少女って奴です。
教室、窓際、セーラ、三つ編みはフルコンボです。まぁ、眼鏡なしの平凡顔ですが雰囲気は出ているはずです。つーか出ろっ。
確かに、一人時間が欲しいとは思いましたよ。思いましたし念願達成ですよ。でもね…………
ボッチはないだろっ!!!!!!!
虐め、駄目、絶対。
そうです。私が一人寂しく文学少女(仮)になっているわけは友達がいないからです。
友達が100人出来るとは思わないし、確かに一人時間を欲しがったさっ。でもさ、まさかボッチになるとは思わなかったさ。そんな私の友達は本。君、一人?だけだっ。
だいたい、初登校からやらかした。
父=理事長と登校。
お昼休みの昼食は理事長室で。
父の車で下校。
しかもオバチャンさ、クラスの皆が緊張しながら不安と期待でいっぱいです。と、言わんばかり態度を微笑ましく見てました。
そう、保護者気分で見ていただけ。
で、気付いた時には既に遅く、クラスの皆は仲良くなった友達同士とグループ結成。
取り残された私。クスン(泣き)
休憩時間に会話する友達がいない私は文学少女(仮)になるしかなかった。
友達ってどうやって作るんでしたっけ?
オバチャン、コミュニケーション不足とブランクがありすぎて忘れましたよ。
もう、誰でもいいから友達プリーズ。
ガールズトーク、ウェルカム!
バチコンとウインクを女子グループに視線を向けるも、ウインクは失敗。両目まばたきになりました。オバチャンにはウインクは高度な技だったよ。だから視線の合った女子に聖母オーラー(仮)で笑顔を送る。
私は無害で優しい女です。
可愛らしいガールズよ。カモンッ!
そんな邪な心が聖母オーラ(仮)をうわまってしまったのか、視線のあった女子に顔を背けられ無視されました。
………………私、オワタ。
ただしグループ学習時限定で仲間にはなれました。良かったよ。ハブられなかったよ。
皆、ええ子や。
そんな、こんなの小学一年生。
授業はさすがに簡単です。
私は優等生。
でも、友達はいない……………
今日はクラス委員長を決める日です。
「クラス委員長を決めますが……………桜木さん、どうかな?」
はい、先生よりご指名入りました。
だが断る!
理事長の娘だからって気をつかわないでいいのよ。
つーかクラス委員長なんてただの雑用係りじゃん。やりたくねーよ。
皆、私に注目してるし。『えっ、こいつがクラス代表?って言うかこんな奴いたっけ?』みたいな視線ですね。
分かります。オバチャンはボッチで影の薄い、凡人ですよ。
いい加減オバチャン、マジ泣きしていいですか?
「私ですか?私よりクラス委員長には藤堂君が相応しいと思います。私は委員長に藤堂君を推薦します」
クラスメートの藤堂君にパスしました。
藤堂君は若いのに眼の悪い眼鏡少年です。
委員長=眼鏡。
これだけは譲れません。
「ぼ、僕っ!?で、でも僕が委員長なんて………」
「藤堂君以外に委員長になるべくして、誰がなるのですか?」
藤堂君以外に眼鏡キャラが居ないんです。クラスで眼鏡装備は君だけだ。
「でも、僕はか、か、か、可世ちゃんみたいに勉強や運動が得意なわけじゃないし………委員長なんて出来ないよ………」
おい、何故、私の名前をどもる。そんなに名前を呼びたくないのか。こらっ。
「勉強や運動が得意、不得意は委員長の素質に必要ありません(大事なのは眼鏡です)。藤堂君は真面目(眼鏡)ですし委員長の仕事(雑用)をしかっかり責任を持ってやって頂けると思います」
「…………そ、そうかな。うん、か、可世ちゃんがそう言うなら僕、やるよっ」
藤堂君のやる気発言に皆が盛大に拍手を贈る。
それでこそ、君(眼鏡)だ。委員長になるべくして生まれた者だ。
クラス委員長、否、雑用係りよ。恨むなら己の視力の悪さを恨んでくれ。私は悪くない。私は所詮、視力Aの文学少女(仮)だ。
こうして無事に委員長フラグを押し付けたが、少し後悔している。
何故かって?
だって委員長ってクラスの宿題集めやら、書類配りやらやるじゃん。それってクラスメートとそれだけ話す機会があるって事じゃん。
そう、ボッチの私にない社交の場が、委員長になれば強制イベントをおこせたわけさ。
私は雑用係りは間逃れたが同時に、友達を作れるきっかけを自ら無くしたのあった。(泣き)
そして私は未だにボッチ人生です。
季節は春から夏へ。
夏場のプール。
水泳授業。
スクール水着は破廉恥です。
その思考が破廉恥ですがね。
そして、私は現在、何故かクラスメイトの叶君に水泳対決を挑まれた。
何故だっ!?
確かに水泳は習い事でやってたよ。でもさクロールで25メートルしか泳げないし、私は速くないよ。
それなのに何故に勝負?
はっ、まさか私に恥をかかせ『こんなことも出来ねーのかよ』と、言い出すつもりですか。
さらに孤立させる気ですか。
叶君。何て恐ろしい子!
そして、体育の先生も注意するどころか、ノリノリで『ほら、早く位置に着け』等とほざいています。
誰か止めろやっ!
勝負結果は歴然。
私はマイペースにクロール。
当然、負けた。
負けたが別に悔しくはない。だってオバチャンだしね。水泳は体型維持のダイエット。クロールより水中エアロビ対決なら何が何でも勝ってやったんだけどさ。
ただし悔しがる代わりに、叶君をべた褒めしてやりました。
ゴマスリです。
だってただでさえボッチなのに、授業のグループ行動までハブられたくないです。
叶君や。お願いだから私の悪口は言わないでくれ。
そしていつの日か、是非とも私の悲願のバタフライを取得して頂きたい。
えっ、友達になれたかって?
ふっ、愚問ですな。叶君は『私の友達』<『水泳』に傾いたさ。私より水泳に夢中です。水泳授業中もあれ以来、勝負を挑まず、ずっと泳いでますよ。
えっ、私、意地でも勝てば良かったの?そしたら水泳ライバルの熱い友情が成立したの?私、選択を間違えたの?
そんな感じに少女の小、中学生時代は終わった。
そうさっ、ずっとボッチだったよっ!!
高校こそ友達。いや、ここはレベルを上げて彼氏をつくる!
高校生は思春期&反抗期の待った中。
彼氏の話題でガールズを釣る作戦です。
好きな男子は?
え、父です。
好きなタイプは?
父です。
どこかにファザコン仲間が落ちてないかな。
女子がいいが、この際、男子でも可。
今度こそボッチから離脱してやるー!!
そんな私は現在、戦っております。
……………トイレで。
食事中の方が居たら失礼。
すいません。いい訳だけさせて下さい。
私はボッチの凡人です。
なので高校デビューを果たそうとしたのですよ。
だけど私には特に秀でるものがなく、なら肉体だけでもと、思いいたった訳であります。
何も筋肉質になる為にトレーニングやら、鳥のササミやプロテインを試したわけではございません。
私が試したのは『巨乳計画』です。
ほら、よくあるじゃありませんか。身長伸ばしたくて牛乳飲んだら、乳がでかくなっただけだったって。
父には『身長計画』と偽り、毎日バストアップ体操&毎日牛乳を飲みました。
父も付き合ってくれました。牛乳だけよ。牛乳だけ。
そしたら何とっ、大きくなりました!
何故か父がね。
父だけに乳………………すいません。
父よ。貴方の成長期は何次成長期まであるんだ。
ちなみに私は背も胸も効果なし。
そして、自棄になって牛乳をがぶ飲みしたのが入学式前日。
あとは皆様、お分かりですね?
今ほど連れション仲間が居なくて良かったと、思ったことはない。
寂しいけど、私の気持ちも分かるでしょう。
学校のトイレに消臭スプレーはないんだよ!
そして私は入学式が終わり次第、人気のない女子トイレで今なを戦っています。
しかも誰が来ても私が入っているのが分からないように、私が入っている個室のドアに『故障中』の貼り紙も張りました。
ふっ、完璧な工作です。
そんな、私はここで気付くのです。
ここが乙女ゲームの世界だと。
そう、現場はトイレでおきているっ!!