校外学習という名の遠足
感想、活動報告コメントありがとうございます。
イヤッホー!!初っぱなからハイテンションでおおくり致します。
やって来たぜ!USO !!
何乗る!?何乗っちゃう!?
えっ?最初に何乗るか決めてないのかって?
はっはっはっ……オバチャンは何時でも何処でもノープラン!風に身を任せる行き当たりばったりな女なのさ。
なーんてのは言い訳で、オバチャン抜きでクラスの皆がUSOコース巡りプランを決めてました。
べ、別に寂しいなんて思ってなんかないし!ちょっといいなぁーとは思ったけど、ちょっと、ほんのちょっとだし……………すいません。めちゃ羨ましがってました。
んで?何処に行くんだい?
「パスもありますし、せっかく通常開園前に入場出来ましたから予定通りパスにないアトラクションを先に乗りませんか」
おお!馨子さんの上級テクさすがです!
そして私服姿も麗しい!
あのパッツンパッツンのズボンに膝上ワンピース!清楚で品があるのにアウトドア!今日は簪で髪をまとめていて、またそれが良し!
「候補、恐竜ジェットコースター」
いきなりそれっすか紗智ちゃん!
セーラーにショートパンツ+ニーハイの可憐な水兵さんスタイルなのに初アトラクション候補がハード!いや、水兵さんだからハードでいいのか?
「ではその後にパスを使用して同じエリア内の恐竜パークに行きましょうか。恐竜パークのアトラクションは濡れますのでレインコートがない方は購入された方がいいですよ」
レインコート?ああ、カッパね。カッパ。
勿論、事前準備バッチリですよ。副担。
うん、副担。担任ではなく、副担任先生。
担任ー!!!!!!
「早く行こうぜ!」
「入場前だけど俺等だけじゃないからな」
「ちょっ、待ちなさいよ!」
「普通に並ばないと乗れないから早く行かないとな」
「これ乗ったら後は全部パスが使えるアトラクションだからほとんど並ばないしな」
「もうっ!だからって走らなくてもいいじゃない!」
担任なんて気にもせずに続々と走り始めるクラスメイト達。
さすが運動部を凌駕した驚異の文化部一同の走り。(第22、23部参照)
それでもさすがは最新人気アトラクション。既に長蛇の列。でも待ち時間30分だから良かった。
先に着いていた男子に場所を譲られクラスの先頭へされたけど、あ、あの前の方が私を見てぎょっとした顔になった。
走って来たから息もたえたえですが、何か?
「ど、どうぞ!」
クラスメイトじゃない、知らない一般人に順番を譲られた!!
そんなに私の形相が酷かったのか!?
「あ、いえ、あの、皆と乗る予定なので」
私だけ先を譲られてもねぇ。
そもそも全員では乗れないから半々ずつかな。
「皆さんでどうぞ!!」
何これ、えっ、そんなに怖いの?確かに普通のジェットコースターと違って落ちるっつーか飛びますってな感じの新感覚が売りの乗り物だけど、それを体験したいから並んでるんだよね?ジェットコースターの試運転見てるうちに怖くなったのかね。
まっいっか。待ち時間が少しでも短縮してラッキー。
「ありがとうございます。お言葉に甘えます」
「「「「「「ありがとうございます」」」」」」
お礼は丁寧に!を心掛けて言ったらクラスメイト達+副担も笑顔で一斉に私に続いて礼を言ったから前に並んでる人達が何事かとこっちを見てるよ。は、恥ずかしいわ。
余りの恥ずかしさにどう反応していいか分からず、曖昧に笑って前の方々に会釈したら、人垣がザッと割れた。
ええ、何処かでほぼ毎日見ている光景ですよ。
ここでもか!ここでもなのかっ!?
「皆さん譲ってくれるそうです」
いやいや。何言っちゃってる馨子さんや。
おい、こら!先に並んでた一般人も何頷いているんだ!!
「さすがにそれは………」
かなり悪いよ。
待ち時間なしで乗れるのは嬉しいがそれ以上に罪悪感が半端ないよ。
「乗る!」
無表情なのに声だけテンション高めな紗智ちゃん。絶叫系好きなのね。可愛いわぁ。
とうとう、いつでも乗れる状態で客も並んでいるのに誰一人さえ乗り込もうとしないから訝しげ思った係員がこちらを見に来たが、係員よ。何故そうも堂々と当たり前の様に人垣の間を私達が通る様に誘導する。お前が誘導しなきゃいけねぇのは最前列に並んでる客だろうが。
「せっかく譲って頂けたのです。後続の方の為にも早く乗ってしまいしょう」
確かに副担の言う通りだよ。此処でグダグダしてるだけで他の客に迷惑だよ。
でもさ、普通に考えて?
30分の待ち時間がノータイムにするって可笑しくね?
もうラッキーどころの話にならないからね。
異常なはずなのに大多数が揃えばそれが正常となる恐怖をアトラクションに乗る前から感じながらもオバチャンは流されるままジェットコースターに乗りました。
「恐竜より人間のが怖いわぁぁぁぁぁああああああっっっっっ!!!!!!!!!」
「「「「「「キャアァァァァァァアアアアアッッッッッ!!!!!!!!!」」」」」」
私の心の底からの叫びは周囲の悲鳴に書き消された。
た、楽しかった!!!!
次は!?次は恐竜パークだったよね!!
ふふん♪ちゃんと濡れんようカッパの準備は万端だぜ!用意したのは父ですけど何か?
100円ショップで売ってる様なカッパを300円で購入するなんてナッシングですわ。
ガサゴソとバックをあさり取り出したるは真っ白のフリルに飾りボタンが可愛らしいトレンチコートみたいなカッパ………………カッパ?
なんじゃこりゃぁああ!!!
おま、こんなんじゃ防水されんがな!防御力がいかにも紙じゃないか!
カッパったらな、ズボンと帽子付き上着ファスナーだろうがよ!私の望んだあの学生が自転車登校時に着用しているくすんだ白のカッパと色しか共通してないんだがどうゆうことだ!あんっ!!
「可愛いらしいです」
「ん、可愛い」
お二人さん、可愛いだけじゃ乙女は水から守られないのよ。
「濡れる。確実に濡れるよね」
でもカッパがあるのにカッパを買うなんてしたくない。なんでカッパを持ってきたんだ私は………これでなければ仕方なしに買ったのに。父ぃ!!
そして此処でも待ち時間ノータイムで乗れました。パスがあってもなくてもノータイム。うん、もう常識に囚われるのはやめたよ。今を楽しむのさ!それを人は現実逃避と言う…………。
いざ、行かん!恐竜パーク!!
はい、濡れました。
そして何故か私だけスタッフに誘導され関係者以外立ち入り禁止通路を通され居室に案内されると待ち受けるは父。
……………父ー!?
「ああ、やっぱり濡れたね。シャワールーム借りたから浴びてきなさい。本当は浴槽で温まった方がいいけどホテルは園外だし此処だと浴槽を入れるスペースがなくてね」
仕方なく妥協しましたな感じで言うが違うからな!
「お父さん………なんで此処に居るの?」
「ほら、冷えるといけないから」
詰る暇なく、あれよあれよとシャワールームに連れて行かれタオルと着替えを渡された。
即効浴びて、即効出たら、ドライヤー片手に櫛を持った父に捕獲され乾かさせられた。ついで顔の手入れまでされました。
「じゃあ、いってらっしゃい」
整えるだけ整えられ有無言わさず退場させられた私はまたもやスタッフに誘導され皆の元へ帰還。
クラスメイト全員+副担が何故か片手にターキーを持って頬張っていた。
「校長先生が理事長からだと」
「っんく、美味」
えっ、父から頼まれて校長がターキーを配布した?校長ー!!すいませんっ、うちの父が本当にすいません。こんなしょうもない頼みをする父ですがマジに友達やめないで!!見捨てないで!!後で父には説教しますから!
そして父よ。私のはないんかーい!!!!
恐竜エリア名物を逃した私は今、魔法のエリアにいます。石造りの城とか壮大だな。
ここでトイレも済ませたがトイレの花子さんならぬ永遠の十代泣き虫幽霊少女の泣き声を音姫代わりに聞きながら用を足す時代に変わったとは………
城内は待ち時間を客が退屈しない様に様々に工夫を凝らした造りになっていて楽しいのだが、出来ればゆっくり立ち止まりながら見たいのだが!
前に並ぶ客達が花道を作るからゆっくりなんて見てらんねぇよ。おい、せっかくの魔法学園の校長の歓迎挨拶を最後まで聞くことなく素通りかよ。
魔法の国に来てちゃんと?最後まで聞いたのがトイレの幽霊の方だなんて………本物だけでなく紛い物にまで幽霊を推される私は何なんだ。
あっという間にスタッフに眼鏡?を渡され馨子さんと紗智ちゃんに挟まれて乗り込む。ついでに副担も一緒です。
そしてここでも幽霊に追われて生還。
マジで幽霊推しやめてくれんか?
原作読んだからトイレの幽霊と城内徘徊幽霊とは別物なのは判るけどさ。まんまオバケやんけ。
そして幽霊に追われて生還したはずなのに副担よ、何故にそんなに清々しい笑顔を浮かべているんだ?そんなにホラー系が好きだったのか?
城内アトラクションの後は鳥馬ジェットコースターに乗って、ここで魔法の国エリア名物バタービール!これを飲まなければ魔法の国に来た意味がない!
さぁ、それでは皆さん御一緒に。
片手を腰に、いっき!いっき!
「まずい!もう一杯!!」
「青汁かよ!」
「甘いのね」
「子供ビールに似てるな」
「それより薬液シロップに似てるって」
泡髭をわざと付けたりして互いに笑い合いながら飲む皆を微笑ましく見ながら中身のない空の重たいガラスジョッキに切ない溜め息が自然ともれた。
ビール飲みてぇ…………
「私が口を付けたの物でよろしければどうぞ」
「んっ、あげる」
心優しい二人は私がまだ飲み足りないと思ったのか自分のジョッキを差し出してくれたが、違うんだ。
「ううん、それは二人が飲んで」
うん、本物のビールの味を知っている私にとってバタービールはビールに分類される味ではない。
見た目がまんまビールだから一気飲みしたが騙された感が半端ない。
あの苦味を未成年にも飲めるバタービールに期待した私が悪い。
「また、皆で飲みたいね」
出来れば四年後にアルコール入りバタービールで。黒ビールを瓶で飲むのもいい。
私の言葉に何故か先程まで子供が大人の真似をしてノンアルビールを楽し気に飲む微笑ましいクラスメイト達の姿から、TVで見た選挙の当選議員が決意表明するの姿と被ったのが謎だ。
微笑ましさは何処へ?
あれから様々なアトラクション巡りをしました。
魔法の国名物その二、ビーンズを買おうとしたらスタッフにバラ売りのビーンズをすすめられ、変な味のビーンズが購入出来なかった。あ、カエルチョコは買えたよ!ついでにミニカエルミントチョコも買った。
そして杖とローブを買ってないのにスタッフに杖とローブを渡され呪文を唱えると台に置かれた羽がふわりと浮き上がり観客から歓声あがりましたよ。杖とローブは何故かデモンストレーション代にタダで貰いました。この主人公杖も主人公寮ローブも一万円以上なんだが。いいんだろうか?
魔法の国エリアを存分に満喫して蜘蛛人間、タクシータイムスリップ、人造人間、鮫、音楽機能付きバックジェットコースター等のアトラクションを制覇し最後にパレード。
パレードから長いジャラとしたネックレスをスタッフが観客に向けて投げていたが、私だけ恭しく手渡しで渡された。これをどうしろと?
「取れたか!?」
「こっちは無理だった!」
「すいません」
いい年した、と言っても同い年くらいの男三人組が必死になってパレードをストーカーしてネックレスを取ろうと奮闘していた。
「もう諦めようぜ」
「スタッフも投げる物がもうない様ですしね」
「ああー!せっかくセーラが喜びそうな物だったのに」
「妹さんにはお土産をこれでもかと買ったでしょう」
「同じ様な物が土産屋に売ってるんじゃないか?」
「あれはパレード限定だから土産物にはないんだよ」
よく見たら男三人共々イケメンだな!なんか見たことある様なない様な………眼鏡君っぽい?でも眼鏡じゃないから違うか。水泳少年っぽい子はこんな声じゃなかったし、図書室憑かれ少年はこんなハキハキじゃなくてオドオドウジウジだったし。
まぁ似てる人間が世界に三人居るつーからな。
「あの、良かったらどうぞ」
私はいらんからやるよー
「「「………………ぅえ!?」」」
なんじゃい、その反応は?
「いらない?」
「あ、いや、その……」
「も、貰うのはなぁ……」
「貴女に悪いですし、その、あの……」
知らん人から物は貰ってはいけませんてかっ。
別に食べ物じゃないし、そもそもネックレスを投げてたスタッフ自体が知らん人やわ。
「妹さんにあげて」
もうグチグチ言っとらんで受け取りやがれ。
図書室憑かれ少年と同様に妹が居るらしい図書室憑かれ少年似の男の首にネックレスを無理矢理ひっかけて、何故やらこちらを妬ましく見つめるクラスメイト達+副担が居る所へ足早に戻った。
そんなに皆もネックレスが欲しかったの?
ネックレスはないが魔法の国エリアで買ったミニカエルミントチョコを待たせた詫びに一人一匹ずつあげたら皆喜んで鞄にしまった。
喰えよ!
そして今度は男三人組から妬ましい視線が。そしてドヤ顔のクラスメイト+副担。
もうあげるミニカエルミントチョコはありませんよー欲しかったら土産屋にあるので買って下さい。
「てん、あ、いや、女神様!ネックレスありがとう!!」
「か、か、可世さん!ありがとうございます!!」
「桜木、サンキュー!」
な・ん・で・私の名を知っている!!
え、何、同じ学校の子なの!?
つか女神って何?ネックレスあげたくらいで人間から女神に昇格するの?昇格試験ぬる過ぎるだろ!
つか、えっ、マジに誰ですか?
相手は自分を知っている。しかも何やら交流もあり気な様子。そんな相手に今さら『どちら様ですか?』と聞く様な失礼な事も出来ずに曖昧に笑いながら手を振りそそくさと戦線離脱私は悪くない、はず。
こうして私の校外学習は幕を閉じた。
《帰還後のUSOスタッフ 》
「ミ二カエルミントチョコはお一人様3袋まででお願いします」
「主人公の杖とローブの御購入ですね」
「バラのビーンズがなくなる!?」
「カエルチョコにはまだ、個数制限はありません」
「なんでミニカエルミントチョコ!?」
「申し訳ございません。パレードでのネックレスは販売しておりません」
「ミニカエルミントチョコって原作にも映画にも登場しなかったよな?」
「カボチャジュースと狼先生の板チョコより売れてる!!こっちは両方に登場してるんですけどー!!」
「人気商品の在庫はまだあるけどミニカエルミントチョコの在庫なんて今あるだけよ!なんでこんなに売れてるのよ!!」
開店史上類を見ない売り上げを更新していた。