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ギャルゲーには無限の選択肢がある

初レビュー&初イラスト&コメント&感想ありがとうございます。

プリンちゃんが自称トイレの、あっ違ったわ。自称乙女ゲームトリップヒロインだとしてだぞ、じゃあ私は何だ?


これまでを振り返ろうと思い出そうとしたがプリンちゃんとの邂逅なんぞ、さっきのオネェ会長との遭遇場面とドッペルゲンガー疑惑とトイレのヒロインしか思い浮かばなかった私の記憶力……どうしようもねぇな。


まぁ、いいか。

乙女ゲーム的場面に役割を振るとプリンちゃんがヒロイン、んでオネェ会長が攻略対象者でしょう。


私はぁ………………


あの時の私。

ただ会釈して通りすぎた通行人A 。


あ、あれ?

乙女ゲームの背景のモブキャラはヒロインと攻略対象者が接触中は行動停止中だよ。私めちゃくちゃ動いてたよ。


えっ、私モブでさえないの?

乙女ゲームなのに?

そういや修羅場の時にガンミして野次馬に混ざってたわ。


つ、う、こ、と、は…………


私は背景の騒音ですか?

あのガヤガヤザワザワしている?

会話どころか誰の声だかも判別出来ない、声優さえつかわれるか不明の効果音ですか?


乙女ゲームの世界と知っているのに、モブでさえない背景効果音の役かよ!


いや、その前に私あの時、一言も声さえ出してなかったよ!もう、画面からも音響さえも私の存在がフレームアウトだったよ!!


えっ、ここ本当に乙女ゲーム世界なの?

私の存在意義が乙女ゲームに存在しないってよ、おい。

………知りたくなかった。


「どうしたんだい?」

「どうかしましたか?」


ガックリと項垂れた私は今は理事長室にて父と校長とランチタイム中。

心配そうに此方を伺う二人は食後の珈琲を優雅に飲んでいます。

マグカップじゃなくソーサー付きカップなのがまた優雅です。


ちなみに珈琲は校長が淹れてくれてます。

父は校長が淹れてくれる珈琲が好きなのは勿論のこと何より校長が好きだ。

校長の不摂生な食生活を心配して、こうして昼休みの食事を一緒に摂るくらい好きだ。

しかしそこは父。ボッチ親子のコミュ症は心配の仕方は人として駄目だった。


初めて校長を交えた昼食。

私もだが父も昼食の誘い方等知らない。

校長は遠慮がちな性格だから押せ押せで行けとアドバイスした私、そして拉致された校長にまだ昼食を食べてもいないのに「珈琲を淹れろ」と命令する父。

拉致された校長には驚いたが、父のお誘い文句には笑った。珈琲を淹れてくれる代わりに食事を提供するとは考えたな、父よ。←(普通に誘う考えがない親子)


今、思うといくら栄養価が高いとはいえ野菜果物ミックスオレを校長にジョッキで提供して良かった。当初ピッチャーサイズだったからな。

さすがにピッチャーサイズはないよ←(普通にジョッ キサイズもありません)


そんなランチタイムが今はお悩み相談教室に早変わり。


「知っていても、どうしようもないことってあるなぁって、お父さんや校長先生は違うだろうけど」


二人とも美形で役職豪華だから攻略対象者だろ。それがなくても何かしらの重要登場人物扱いだろ。

どうせ私は背景のモブどころか音響にさえ使われないフレームアウトしたただの乙女ゲーム知識うろ覚えなオバチャンですよ。


「何を差すのかにもよりますが、私だって大半は可世さんと同じでどうしようもないことがありますよ。世流は………知っていてもどうにもする気がないだけです」

「巽、訂正しなよ。私は可世の為なら何でもするよ」


美形に言われても説得力なんてないやい。

そして父はぶれない。


「プリn、じゃなくて、えっと名前なんだったかな?うーん………あれ、あの頭が可笑しい子居るじゃない。前にお父さんと話した」

「ああ、あの異物ね。名前は………」

「美空姫歌ですよ。問題ある生徒の氏名くらい把握して下さい」


あっ、頭の毛がだわ。頭が可笑しい子じゃあ精神病んでる子扱いだわ。

それでも話が通じるプリンちゃん話題。

しかも父からは異物扱いで、良識ある校長でさえ問題児扱いとか………プリンちゃんよ、本当に乙女ゲームヒロインなのか?

いや、そもそも乙女ゲームの世界とここはまったく同じ世界か?ほら、何だ、あれだ、あれ、えっと…………


平行世界(パラレルワールド)!」


思い出せてスッキリした!

想わず声を大にして言ってしまったがスッキリした!


「未来は過去、現在の選択により様々に変わるからね。確定された未来など存在しないよ。例え確定された未来でも異物がある時点で異物込みの現在が過去になり、現在が未来に繋がるのだから」


父、父のお話は難しくて解らんよ。

なんであんな一言で哲学?っぽくなるんよ?

しかも父は私に生暖かい視線込みで微笑んでますよ。

はい、どうせ私はお馬鹿な子ですよ。


「世流が言っているのは当たり前のことですが」


ゲフッ………とんだ伏兵がいた!その当たり前が解らず哲学?で誤魔化した私の心に校長の攻撃がクリティカルヒットした。


「異物にとっての当たり前が確定された未来なんだよ。与えられた選択肢を選ぶだけの閉鎖された世界だと思って選択肢を増やす事も選択しない事も考えられない残念な脳みその持ち主だね」

「……………」


うん、さすがの校長も父のお話が解らず困ったように微笑してますな。

ちなみ私は今度のは解ったよ!


父が言ってるのはまんまギャルゲーの選択肢だよ。

「キスする」

「抱き締める」

「ホテルへGO 」←

これが閉鎖世界でしょ!

これに選択肢を増やすなど破廉恥な!もっとやれ!!

んで狙った子以外との選択肢は全消しで安定ルートへ進めると。


父よ、やるな!


うんうんと深く何度も頷き肯定する私に、校長は呆れたのか溜め息をつき、父は嬉しそうに微笑む。


プリンちゃんがそれを知らずに選択から選ぶギャクハールートなんて損してるよ!もっとエンジョイするか一途に攻めればいいのに。


「教えたほうがいいかな」

「可世は本当に優しいね。でも異物との接触は禁止だよ。それに……そろそろ気付き始めてるよ、現実に」

「それは今後態度が改善すると解釈しても?」


接触禁止令発動かいな。まぁ確かに人の恋路をああだこうだ言うのもな。

その前にプリンちゃんは恋より生活態度を改めた方がいいよ。校長マジで切実に父に聞いてるぞ。


「さぁね。それこそ神のみぞ知る、だよ」


そこで神頼みかいな!

そして私は神ではないが知っている。

そろそろ昼休み終了のチャイムが鳴り父との攻防になることを、そして勝つのは私だ!




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