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我ら!天使応援団!(天使会メンバーside)

【A地点救護班員視点】


よっしゃぁぁぁああああああ!!!


数多の救護班希望者を押し退け救護班へのチケットをもぎ取ったぜっ!


敗者の恨めしい視線など塵のごとく気にならない!

とは言えない。

真中と伊集院のゴミを見るような軽蔑された視線は恐い。美少女だから尚更恐い。


しかーし!だからと言って救護班へのチケットは譲らないし、渡さない!


これで、これでっ天使様の走る姿を拝める!


ゴール付近で見ればいい?

馬鹿めっ!

スタート地点もゴール付近もきっと女子共で埋め尽くされて天使様が見えない様に壁になるのは必須。しかも男子は女子がある程度ゴールしたら走るから見れないんだよっ!


なんたって天使様のジャージ姿だぜ!

しかも半袖だ!

白チョイス最高に似合ってます。

デザイナーさん、あんたは神だ!


しかしまさか球技大会で天使様がドッチボールを選択するとは思わんかった。

いや、あの時はクラス一団で断固反対したわ。


女神様にボールをぶつけられるなんてご褒美だよ。だけど逆は駄目だろ。もし、仮に、けしてない、あってはならないが、女神様に当たったらどうする!?

もう、そいつは自害しても許されねーよ。


このことは勿論生徒会に報告し球技大会はなしの方向にもっていってもらった。

生徒会=天使会メンバーだからな。











【B地点救護班員視点】


おっ、先頭は真中、次に伊集院か。その後にうちの女子達かよ。

二人はともかくお前等運動苦手な文芸部だったよな。

まさに字のごとく必死だ。

荒い呼吸に汗はダラダラで今にも死にそうに走っている。

正直恐い。めちゃくちゃ恐い。

すんっげぇー疲れているはずなのに目だけはギラギラしているのがめっちゃ恐い。

女の顔じゃない。


だが気持ちが凄く判る。

俺だって天使様のお菓子は欲しい。何がなんでも欲しい!


そう、あれは真中と伊集院が天使様と一緒に走るとごねていた時だった。

ごねる二人に天使様が頑張ればお菓子をあげると言ったのがことの始まり。


その瞬間。


ガタッ!

ガタッ!

ガタッ!

ガタガタ!!

ガタガタ!ガッタン!

ガッ!ガッチャーン!!

ガタッ!ガタン!ガッ!バッターン!!!


教室中がコントになった。

ちなみに倒れたの何を隠そう俺だ。


(お菓子!)

(お菓子!)

(お菓子!)

(まっ、まさか手作り!?)

(天使様の手作りお菓子だとっ!)

(て、て、手作り!!な、な、な、なんだとー!!)

(手作りー!あっ!ぐぁっ!うぶっぅえぇぇぇ!!!)


これが皆の心象だ。

そして最後は俺だ。


その後、天使様と記念すべき初会話は緊張して単語しか話せなかったが天使様はそんな俺達にも優しく微笑み手作りお菓子をくれると約束してくれた。


判る、判るぞ!女子達よ!

お前等の必死さが俺には判る!!

俺もお前達に負けないつもりで走るからな!!


俺は熱い気持ちで同士達を見送った。











【C地点救護班員視点】


なんだ、あれ。

ダラダラ歩く美空。

あいつ走る気ねぇーだろ。


なんたって格好が格好だ。

学校指定ジャージなのにサイズが合っていない。

あれ、どう見てもLLサイズだろ。

学園一小さいであろう真中でさえサイズの合うジャージがある。つーかジャージも制服同様にオーダーメイドなんだから合わない奴はどんだけ入学してすぐに激太ならぬ激痩せした。


あんな指先も見えない、ファスナーを上までしめてるのにジャージが肩からずり落ちそうにダボッとして着ている意味があるのか。

そもそもマラソンでしかも暑いのに何故半袖にならない。


確かに彼シャツ的なものは男子たる者なら大半が好ましく感じるチョイスだが、あれは自分の上着だからいいのであって、こんな暑い中自分でチョイスするものではない。

なんかイラッとする。イラッと。


あ、あいつ、ショートカットしやがった!!


まだ中間地点でないのに勝手に折り返しやがった。

馬鹿じゃねーの?

バレないと思ってるのか?

何が『内緒』だ?

そんなポーズで誤魔化せるほどの魅力はお前にはねぇーだろーがよ。

そもそもマラソン始まる前の説明で中間地点でスタンプを貰うよう言われてたよな。


あいつ馬鹿だろ。

さぁ、先生にでも報告するかぁ。











【中間地点保健委員視点】


先生が緊張で震える手で天使様にスタンプを押した。

あの、先生、そのスタンプ僕にくれm………


先生はスタンプを懐にしまった。そして天使様以外に使ったスタンプを僕に渡してきた。


あとの走者には僕がスタンプ押せ?

えっ、先生、待って、先生がスタンプ押したのって天使様だけだよね!!

そのスタンプよこせっ!!!ふざけんなよテメェー!お前それでも教師か!さんざんスタンプ係をやらせといて、おいっ、それを、よこしやがれっー!!!


教師の胸ぐら掴むスタンプ係の生徒とけして天使スタンプを渡すまいとする二人の攻防に中間地点のスタンプはセルフサービスとなった。











【D地点救護班員視点】


走っているはずなのに天使様の顔は赤くなるどころか白く涼しげな表情で流れる汗が光輝いている。

そのスピードは速く、まるで羽があるかのように軽やかな走りだ。

中間地点を過ぎてから一気に追い上げて、僕の前でまた一人抜き去って行った。

黒い髪が舞うように風に乗り去って行く。


天使様が通り抜けた道には爽やかな、それでいて甘い香りがした。


僕は変態じゃない。

これは、そう!ただの深呼吸だ!

掃除機の吸引力にも負けないほど深く息を吸い込み……………………………………………………………………………………………………バタッ!!!!!


息を吐き出さずに止めていたら僕は倒れて、気が付いた時には他の救護班に運ばれていた。











【ゴール地点男子生徒視点】


ああ、なんだアレ?


『どうして!?なんで私だけまた走らなくちゃならないのよっ!!』

『さっきから同じことを言わせるな。完走していないにもかかわらず時間内に走りきれていないからだと何度言えばわかる』


うわぁっ、あいつ御崎先生や校長とはえらい違いな対応だな。

先生に対してタメ口はないわー


『ちゃんと走ったじゃない!!』

『ならなんで手の甲にスタンプがないんだ?』

『そんなの汗で消えたのよ!教師が生徒の言葉を疑うなんてサイテー!』

『その生徒から美空が中間地点でない場所で勝手に折り返して走っていたと報告があったんだがな』

『そんなのその生徒の見間違いでしょ!』


いや、最低なのはお前だから!

周囲に居た美空以外の者は内心異口同音で思った。


『どのみちタイムオーバーの生徒には再度走ってもらう。日程が決まり次第伝えるので………………はぁ……』

『ううっ……ひっく……』


怒っていた美空が今度は泣いた。

いや、あれは嘘泣きだな。

本当に泣くと目は擦り過ぎて赤く腫れ上がって、鼻水はズルズルでやっぱり擦って赤くなる。俺の妹がそうだ。ちなみにギャン泣きだ。

それに比べ美空はなんつーか見せる泣き方つーの?

涙は流れるが擦りもしないで下を向く姿はドラマの観すぎじゃねぇの。

先生も呆れて言葉も出ないよな。


先生は嘘泣きする美空を放置して疲れたように救護テントへ行った。

マジに疲れたんだな。

今の先生には救護が確かに必要だ。精神的に。


『もう、信じらんない!泣いてる女の子に走れだなんて!!それでも教師なの!まったく次は雅樹と玲二と要が走るから早く応援しなくちゃいけないのに!先生に捕まったせいで巽さんと斎さんには会えなかったしもう、さんざん!』


美空は先程の嘘泣きの欠片も残さず、文句を言うだけ言って男子生徒(ターゲット)の応援に向かった。


……………………………


もう何も言えない。

ただ思うのはただ一つ。


御愁傷様です。




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