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体操服は好きですか?

青い空!輝く太陽!まさにスポーツ日和な今日!


宝林マラソン大会の開催です!


いやー暑いわ。

照りつく太陽が半端なく暑い。


宝林学園年間行事にも球技大会と記載されていたのに今年からマラソン大会に変更されたのよ。


せっかく楽しみにしてたのになぁ~

ドッチボールやりたかった。


球技大会といえばドッチボールだろ。

球技大会の種目にはバレー、バスケ、サッカー、テニス、卓球などもあったが断然出るならドッチボール一択しかない。


だから、だからっ!クラスで出場競技を決める時に獲られる前に獲れ精神で直ぐ様立候補したのに!!


クラス全員+先生が反対した。


何故だ!?


外野ならいい?

いや、私は内野希望です。

えっ駄目?

いやいや、そこをなんとか。


そんなやり取りの果てにホームルームは終了し、気付けば球技大会自体が無くなりマラソン大会へとクラスチェンジを遂げた。


もう一度言おう。

何故だ!?


不満な私は直訴しましたよ、担任に。

そしたら職員会議と生徒会と保護者会で話し合った結果、満場一致で球技大会はなしの方向になり代わりにマラソン大会へと今年度より変更されたらしい。


理由は怪我などし今後勉学に支障する可能性やクラス団体戦での勝敗は連帯責任で個人個人にプレッシャーやストレスを与える恐れがある為と説明された。


協調性や団結力は文化祭で発揮しろと?

おいおい、そんなのどうでもいいんだよ。

私はただドッチボールが、やりたいんだよ!


ドッチボールの当たるか当たらないかのスリル感と人にボールを全力でぶつける爽快感をマイナスで捉えるとは現代の若者は軟弱過ぎていかんね。


何より公然と咎められずに人にボールを全力投球でぶつけても許され、それが称賛される最高の球技なのにな。

理解者がいないのが残念で仕方がない。


まぁ決まってしまったものは諦めるしかないか。

納得はできんが、なっ!


そんなんでマラソン大会ですよ。

女子は5㎞、男子は10㎞野外コースです。

野外といっても校庭でないだけであって学園内の陸上部のランニングコースだから正しくは野外ではないけどね。


どんだけ広いんだよ、この学校。


「んっ、準備万端」


タオルとスポーツドリンクを3人分持った気配り上手な紗智ちゃん。


「日焼け止めと汗拭きシート、制汗スプレーに救急セットは用意しましたし、あとは………」


女子力高い馨子さんが何か足りない物はないか確認している。


そして私は走る前の準備体操しかしてません。


ヤベェー

私何もしてない。

タオルさえ持って来てねぇーよ。


走った後は水道に頭から水浴びてそのまま着ているジャージで拭くつもりだったから手ぶらだ。水分補給も勿論水道で済ます気でいた。


日焼け止めすら塗ってない。

だってうちの体操服UV カットだしな。


そんな二人に私が出来ることは柔軟体操で背中を押すくらいしか出来ませんでした。

二人とも喜んでいたが二人とも柔らかいからぶっちゃけ必要なかったよね。

役たたずで申し訳ない。


それにしても………………

……………ムフフフフ(悦)。


馨子さんがいつもは下ろしている長い髪をポニーテールしてるから白い肌のうなじが最高。艶やかな黒髪とのコントラストが素晴らしい。


紗智ちゃんは小さい。もう体操服もちっさい。食べちゃいたいくらい小さ可愛い。あんよもおてても小さい。


体操服っていいな!

いや、制服姿も甲乙つけがたいが!


うちの体操服ってヤボったいジャージではなくどこぞのスポーツブランド並に洒落ている。

しかも色は白でズボンの片側に縦に英文字で学校名が刺繍されている。


汚れる前提の体操服が白ですよ。

模様が2本線ラインじゃないのよ。


しかも洒落ているだけでなく機能性抜群の品です。

UVカットだけでなく肌触りのいいストレッチ素材だから動きやすしドライ+抗菌+消臭効果もあるのだよ。


しかしそんな素晴らしい体操服には素晴らしい故に残念な結果がある。


下着が透けないっ!


由々しき事態だ。ブラジャーの紐の色、形さえ見えやしない、だとっ!!


わかってない!わかってないよっ!!

いくらデザインや機能性に拘ってもそこに手を出してはいけない禁止領域なんだよ!


あのドキッと感とマジマジと見たいが見てはいけない背徳感、そして振る活性した想像力により形、柄までも透視するかのごとく頭の中でそれを手にする充足感を理解出来ないとはデザイナーよ、男として終わっている!


まぁ、私は女だがね。

そしてそんな私が着用しているのはブラトップなのだから女として終わっている。


あれそのまま寝れるし楽なんだよ。

ブラは胸の形が綺麗に見えるけど締め付け感がどうしてもね。

私のブラトップはオーダーメイドだからかなり良い品なのだよ。ブラも良い品だから着やすくはあるけどわざわざ寝るときに外して起きて着けるのが面倒だしな。


まぁ私の底辺女子力の話は置いておいて、色々不満はおおいにありますが頑張って走りますかね。











スタート地点では全校女子が集まるもけして狭くは感じない。

肌と肌がぶつかり『あっ、ごめん!』なんて展開に発展しないほど、ゆとりがある。


おんにゃの子に囲まれてウハウハだがボディータッチする隙がないとは………

侮れないぜ、進学校。


紗智ちゃんと馨子さんも準備万端。あとはピストルの音さえ鳴ればいよいよスタートだ。


「先に行ってね」


でもゴール付近で私がゴールするの待っていてくれると嬉しいです。


「ん、一番、とる」

「可世さんも紗智さんも無理なされないで下さいね」


やる気十分な紗智ちゃんに労る気持ちが優しい馨子さん。

二人とも勉強も出来るが運動も出来る。

そんな二人に私が付いて行けるはずがないし、私の走るペースに合わせて一緒に走るのは心苦しい。

二人は最初渋っていたがどうにか説得しました。


だって格好良くないっすか?

運動部でもない二人が上位入賞とか。


………のは三割近くが建前で、本音は全力疾走で乱れる呼吸、服に張り付く汗であらわになるボディーライン、火照った顔が見たいだけだっ!


ただしその為には私も全力で走らなければ見れない。

二人がゴールして体力が回復する前に私もゴールするんだ。

煩悩の限り全力で挑みますともっ!


そんな邪な想いを胸にピストルの音が清々しい青空に響きわたった。











二人とも速いわぁ。

二人だけでなく同じクラスの女子も速い。

既に前方に親友二人の姿はなく、同じクラスの女子も遠くに背が見える程だ。


スタートダッシュであっという間に出遅れましたよ。

うちのクラスすっげぇ。

序盤から張り切り過ぎでないかい?

あれで体力持つのかしら。

ああ、若いから大丈夫か。

ちなみにオバチャンはランニングよりウォーキング派だから体力には自信があります。

スピードはないけどなっ。


今は体力を温存し後半に盛り返す計画です。

形振り構わずゴールしてやるぜ!

待ってろよ!私の桃源郷!!


そういや全然関係ないけど、先に行くのを渋っていた二人に説得として菓子の配布で釣ったところ、二人のやる気が急上昇した。


しかし菓子は某10円棒菓子か某20円チョコでいいかな?

安すぎるかな。なんなら玩具ならぬハグのおまけ付きなどいかに?

いや、それは私が嬉しいだけだしな。


それを聞いていたクラス全員が椅子や机を倒しながら、中には倒れた生徒もいたが私以外が全員立ち上がりすんごい形相で菓子を要求された。しかもカタコトで。

余りの勢いにひきつった笑顔で頷くしかなかった私は悪くない。


親友二人以外との初めての個人的会話がそれってどうよ?

しかも怒濤の勢いでクラス全員だよ。

一対多数はもはや脅迫だよ。

あれでYES以外になんと答えればいいんだよ。


菓子目当てとか皆現金だな。

私みたいな不純な動機で結構だが。


二人だけなら某70円アイスやらプリンとかでもいいけどさすがに全員分は高いからやっぱり超低価駄菓子で我慢して頂こう。そうしよう。


はっ!

そもそも買えねぇーよ!!

ブラックカードで買える駄菓子なんて駄菓子屋にねぇー!!

ネット通販で駄菓子は買えるが送料のが高いわ。

いくらカードの請求先が父でも損な買い物はオバチャン心が許さない。


そんなことを考えながら黙々と走っていたら前方にはある意味見慣れた頭が。


んっ?あれ、あの頭は間違いないプリンちゃんではないか。

スタートダッシュをきめていたはずなのに走らないで歩いてますね。

いいんかね?

余りに遅いタイムだとやり直しにされるけど。


「……んで?……球技だ…のに……原作とちが………バグ…………」


歩くプリンちゃんをゆうゆう追い抜かしてみたが、何やらぶつぶつ独り言を呟いてます。


暑さで頭でもやられたのかしらね。

暑いなら長袖ジャージなんて脱いで半袖で走れば良かったのに……そんなに日焼けするのが嫌なのかしらん。

それにしても随分とぶっかぶかなジャージですこと。

サイズ申請でも間違えたのかしら?

やるならここはYシャツ一択だろうがよ。

そんなんだから体調が悪いんだよ。まぁ救護班(男子保健委員と有志)もいるし何かあっても大丈夫だろ。


ちなみに救護班の男子生徒は女子が走るコースの随所ポイントに居るよ。

勿論、女子の後に走るからここまで来るのも車での送迎あり。


馨子さんと紗智ちゃんが言うには救護班有志希望者が殺到したらしい。

体調悪い生徒がいないとただつっ立って暑い中見てるだけなのにね。

私なら断然ゴール付近で乱れたおんにゃの子を見てる方がいい。


いい青少年が多いな、この学校。

それなのに馨子さんも紗智ちゃんも不純だの最低だの有志希望者を貶していたが何でだ?


そんなことをツラツラ考えながら走っていたらやっと折り返し地点に到着。

走りながら差し出した手の甲に先生がポンッとスタンプを押してくれました。


スタンプを押すさい先生が優しくしかもプルプル震えながら押したせいでスタンプが薄くブレブレですやん。

紙に押すわけではないから難しいのかね。


疑問に思うがそれよりもっと重大な現象に腰をぬかしそうになった。


抜かしたはずのプリンちゃんが前方に居る、だとっ!?


「えっ………あれ?」


慌てて走りながら後ろを見るがその姿はない。


ぷっ、プリンが消えた…………

いや、前に居るよ!!

じゃあ抜かしたプリンは何なんだよ!?


うっ………………ぅぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!!


幽霊!?幽霊!!蜃気楼!?座敷わらし!?透明人間!?幻覚!?UFO !?幽霊!!


ど、ドッペルゲンガー!!!!!


死んじゃう!いや、死んじゃうのはプリン!?プリンは双子黄身ならぬ双子プリン!?


可世は混乱した。

可世は顔面蒼白冷や汗ダラダラで全力逃走した。


前方に居るプリンなど一目と見ずに追い抜かし、体力温存の言葉など彼方へ忘れ、可世は一心不乱にゴールまで走りぬいた。


結果、上位入賞。

ちなみに桃源郷は最高であった。

ドッペルゲンガーの存在を忘れるほどに。




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