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逃した魚はでかかった

クレープは美味しゅうございました。


あの後も私は懲りずに父におねだりしました。

一度の失敗で諦めたらそこで終わりだ!を合言葉にスポ根魂を燃えさせた。

スポーツなんてしてませんけどね。


次はゲーセンですよ。ゲームセンター。

プリクラが撮りたいです。

前世は格ゲーと麻雀と駄菓子のクレーンゲームしかオバチャンはやっていなかったので初プリクラ体験だね。

父と、だけどさ。


ああ、麻雀やりたいなぁ。

水着ギャル最高だよね。和服美人も捨てがたいが水着ギャルをリーチで脱がせたい。あの見えそうで見えない映像が堪らないんだよ。

でも父と一緒に水着ギャル脱がせ麻雀ゲームは出来ない。つーか無理だろ。そしてそれを学校の奴等に目撃されでもしたらドン引きされる。行くなら変装が必須か。世知辛い世の中になったもんだわ。


まぁ、今のところは麻雀は諦めてプリクラだよね。

確か写真がシールになるんだっけ。

そんなのどうすか用途不明だけど、若い子にはゲーセン=プリクラだった気がする。


だからさ、父よ。

私はゲームがしたい。

言ったよ!

私、はっきり、くっきり、ゲームがしたいと言ったよね!!











カコンッ…………


父が私を覆い被さるように手を添え、持っている棒で玉を突く。玉同士がぶつかり合い、数字が書かれた一つの玉が穴へと落ちていった。


わぁ、落ちたぁ。

じゃないっ!


私はゲームはゲームでも私が言ってたのはゲームセンター!

なんでマフィアのドンが集結しそうな地下のビリヤード場に私は居て、キューを片手に父に手取り足取り腰取り指導されてんじゃーいっ!


確かにゲームだよ。娯楽だよ。ビリヤードは日本語で玉突きだよ。そんな豆知識いらないよ。

私は水着ギャル脱がせ麻雀…ではなくプリクラが撮りたかったんだよ。


なんだよ。ビリヤードって。

小気味の良い音とポケットに吸い込まれるボールの爽快感、逆回転させたり跳ばしたり思考しながらゲームを進める技と頭脳を駆使するプレー。


正直、めちゃっ楽しいです。はい。

目的忘れて存分に楽しんじゃったよ。おいっ!


もう、次だ。次っ。

ゲームなんて多種多様なものがある。

ゲームセンターと直球で言わなかった私が悪かったよ。

ただ私は学習する女ですよ。


次はカラオケだ!

カラオケしながら夕飯。

これでどうだっ!!











薄暗いホールに歌姫の声が響き渡る。

某有名ソロ歌手のコンサートデイナーショー。

そのSS席に座り、有名シェフのフルコースを食べている私は何を間違った。

しかも特別ゲストとして歌姫様にマイクで呼ばれ、歌姫様とデュエットした私は歌姫様に抱擁されサイン色紙まで頂いた。

歌姫様イイ匂いがした。お胸の柔らかさは天国。サイン色紙は家宝にします。


そんな歌姫様にデレデレな私は満足した。


うん、歌聴いた。私歌った。夕飯食べた。

カラオケか。カラオケ?


混乱した脳では正常な判断出来ずにいた。

こんな時は落ち着こう。











そう、公園で。


本日、本物の公園でブランコに乗っています。

本物の公園て何だよ。そう表現するほど公園です。そう、表現してしまう程に私の思考回路はどこか可笑しくなってます。

ちなみに母に父が案内された思い出の公園らしい。さすが我が母。チョイスする公園は一般的な公園だね。そして父とデートしたであろう母の心境がすごく分かります。


私は昔懐かしブランコにこぎながら隣の父を見る。

ブランコに乗っています。父が。

普通なら子持ちの親父がブランコに乗ってる姿は哀愁漂うはずなのに、美形にはそれがない。

幼児用ブランコに乗る父、半端ねーです。


「っ………うぇっ……うっ、ひっく………」


時刻は21時を過ぎ、公園の街灯では公園全てを照らすことがない暗闇の中、白いワンピースを着た小学生未満の女の子が泣きながら何かを探すように地面に視線をさ迷わせていた。


幽霊だ。モノホンの幽霊だ。

目を擦るも、そこには消えることなく啜り泣く美幼女幽霊がいた。

……………とうとう霊感に目覚めてしまったか。


私だけ見えるのか疑問に思い父を見る。


「眠いなら帰ろうか?」


違う。

今日何度目になる台詞であろう。

眠くて目を擦ったわけではない。むしろ、現在の私は二つの意味で覚醒している。

精神疲労と霊感が。


父はけして美幼女幽霊に視線を向けない。

現実(リアル)なら泣いてる幼女に視線くらい向ける。心配もするだろう、普通はっ!?

しかし悲しかな、父は私の睡眠不足の心配しかしていないよね!出来ればその心配は、今までの常識を覆す遊びスポットに案内されて精神疲労が半端なかった過去の私にして欲しかったよ。


徐々に近付いて来る美幼女にマジで怯える私は、精神年齢オバチャン。←(混乱中)


美幼女見ては父を見るを繰り返す。

美幼女は泣いて、父は私と視線が合うとニコリと笑う。


ま、マジか…………えっ、ちょっ、マジで見えないの!?泣き声まで聞こえるんですけど、私っ!!


「…っく………っ!……しさま………」


うわっ、目合った!どうする!?

幽霊が見えても見えないふりしないといけないんだよね。じゃないとあの世に連れていかれるんだったよね。心霊番組の霊能力者、目が合っちゃった場合はどうすればいいんですか!?


はっ、そうだ。こんな時こそ使えない御守りの出番だろ。今まで役立たずな君を身に付けてやってたんだ。今効果を発揮しないで何時殺る!?今でしょう!!


鞄から御守りを外し投げつ……けないで恐る恐る美幼女に近付き美幼女の頭に御守りを乗せる。

すいません。幽霊と分かっていても美幼女に「悪霊退散」の掛け声と共に投げ付けるなど、変態紳士代表である私には出来ません。そして幽霊恐い。


美幼女は頭に乗った御守りを手で掴み、それを認識すると可愛らしい笑顔を浮かべた。

幽霊でなければ、幽霊でなければ、抱き締めてお持ち帰りするのにっ!!!


いや、待て、私!!


美幼女=幽霊。

幽霊=not人間。

美幼女誘拐=犯罪。

美幼女幽霊誘拐=無罪。


拐っても問題なし、だとっ!!!


そんな煩悩が伝わってしまったのか美幼女は逃げるように公園から姿を消した。

最後に『ありがとう』の言葉を残して…………




父は幼女が見えてますが、娘に害がなければ泣いてようが興味ありません。

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