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あとがき
― ゆる飯シリーズ完結に寄せて ―
「ひとりで食べるご飯も、誰かを思えば、少しあたたかくなる。」
そんな小さな想いから、この“ゆる飯シリーズ”は生まれました。
毎日の食卓に並ぶのは、
特別な料理でも、洒落たレストランの味でもなく――
ただのトースト、カップラーメン、インスタント味噌汁。
けれど、そこに思い出や誰かの声が重なるだけで、
なぜだか心が少しだけ救われる。
誠という男の“静かな再生”の物語は、
きっとどこにでもある「日常の奇跡」なのかもしれません。
そして、ゆかりという存在は、
その日常の中で“心の灯り”をともすような優しさをくれました。
最後に描かれた、
スコーンを囲む四人の午後――
あれは、“失うこと”の先にも続く人生の姿です。
人は、食卓を通してまた誰かとつながり、
過去と未来を行き来しながら、少しずつ前を向いていく。
この物語を読んでくださった皆さまの心にも、
そんな“静かなぬくもり”が、
ほんのひと口でも届いていたら嬉しいです。
どうかあなたの明日の食卓にも、
誰かの笑顔と、やさしい香りがあふれますように。
―― 赤虎




