取っちゃダメ 2
メイ:ただいま!AIの話になってたんだっけ。
ホウ:そうそう。AIエンジンの可能性に前のめりな行政官や国会議員が、比重を勝手にフリーライド側に寄せようとするのも困るね。AIは知的財産を搾取する装置だってことをもっと認識して欲しい。
メイ:資本主義の新しい形態ね。AIエンジンという資本を抱える者が、インターネットから共有や有償の知的財産まで勝手に囲い込みして、デジタル資本家として太る。大きな利益が発生するから、放っておくと政府はデジタル資本家に有利なように動きかねない。
ユナ:知的財産は、誰かが使っても他の人が使うことが阻害されないから分かりにくいけど、勝手に使われた側は価値が棄損されているよね。
メイ:非営利のだれでも百科事典なんかは、知識とお金を出し合って共有するマルクス主義でやっていたところにAIエンジンという強面の資本家が押し寄せてきて、経済構造がひっくり返りかねないかも。まぁ、あそこが本当に非営利なのか、どこかの政府の補助金がコッソリ入っているのか、本当のところは分からないけど。
ホウ:どうなんだろうね。マルクス主義に見える構造は、なぜか国が太るから、共有に見せかけた事実上の国有化、みたいな仕組みもあり得るのかもね。共有に見えるうちは、自発的に寄付している人達も、共有化で得をしている気になれるから、評価が難しいね。知的寄付をしているのが学者や学者志望者だったりすると、本業の使命と似通っているから、本業の一部なのか、特別な寄付なのか、伝統的知識が国際的に搾取されている現実に気づいていないだけなのか、これまた評価が難しい。
メイ:共有物にフリーライドされているだけかもよ。共有それ自体は、知見を高め合う可能性もあるし、必ずしも残念なものではないはず。フリーライドを防ぐ仕組みを確立できないところに残念さがある。利用許可を出していないものについてはフリーライドじゃなくて端的に泥棒だから、きっちり取り締まってほしいけど。
ユナ:学者や学者志望者の場合は、共有知を乗っ取る荒技が出来てしまうケースもあるから、少し注意が必要ね。まあ、企業なんかも宣伝のためや市場占有率拡大のために、そうしたい欲はあるだろうけど。だれでも百科事典の側でも、場が乗っ取られないように、アカウント制にしたりIPアドレスを記録したりして自己防衛してはいるみたいだけど、機能しきれていないことが発覚するケースもある。
ホウ:論文を過度に引用して、自説を共有知として広く流布させる技ね。本当に学術論文で査読されたものであれば、研究者が少ない分野だという言い訳もできるかもしれないけど、学者や学者志望者が書いただけの、査読付き論文ではない単なる小説なんかを、さも査読付き論文であるかのように引用するのは、詐欺的だから止めて欲しい。
メイ:自分で書いた小説を、査読付き論文であるかのように自説に引用して、論文の根拠を自己補強する手法もあるらしいよね。別の言語で書かれていると、語学的な能力の問題で査読者がチェックできない問題も発生しかねない。
ホウ:いつか発覚して、学者や学者志望者があまり寄付していない分野でも、消費者や読者による、だれでも百科事典の編集合戦が起きたりする。でも、小説の読者が、小説に書かれていることが学術的真実だと信じていたりすると、さらに厄介なことになる。
ユナ:そうなると、共有知の乗っ取り合戦というか、布教活動というか、意見のぶつけ合いというか、収拾がつかない事態になるね。
ホウ:だれでも百科事典は集合知だから、トライアンドエラーがもともと予定されているし、仕方のない側面もあるかもね。消費者や読者や利害関係者が気まぐれに査読しているようなものだから、査読の品質が一定水準にあるとは限らない。だから学術の世界では、だれでも百科事典を論文に引用するとひんしゅくを買う。
メイ:でも、ビジネスの世界では、だれでも百科事典を一応の典拠として許容するケースもあるよね。情報が少ない分野では、だれでも百科事典を裏取りの参考資料として用いることもある。それどころか、個人のブログ記事やSNS投稿だって参考資料になる。「個人の意見です」って示して引用すれば問題ない。
ホウ:アンケート調査をした結果を学術論文に使う分野もあるから、個人のブログ記事やSNS投稿も、人間が真摯に投稿したものであればそれなりに価値はあるとも言えるよ。
メイ:AIが投稿できてしまう時代だからね。企てて一斉に特定の意見や見解を流布されてしまったら、量的計測による調査は成り立たなくなる。同じ意見や見解の多さを数える定量データとして分析する人達は、よくよく注意しなければならないね。




