てんねん?
リン:塾講師のバイトで、ちょっとした出来事があった。
アン:なになに?楽しそう。
リン:傍目からだと楽しいかも。女子高校生が、教室で他の生徒達とおしゃべりしながらちょっとお茶目なことをしていたら、男性講師が声掛けしたらしいの。
アン:かわいいね、とか?セクハラにならないと良いけど。
リン:いや、どうやら、それって天然?それとも天然を装っているの?って聞いたらしいの。
アン:天然ってなに?髪の毛の色とか巻き癖とか?
リン:そうきたか。とりあえず、その子は、天然を装っている、かな?って答えたらしいの。
アン:そうなんだ。ギリギリ攻めたおしゃれでもしているのかな。
リン:答えを聞いた男性講師は、講師控え室で、女子高生って油断ならない!天然を装っているなんて、あざとかわいい路線なのかな?って言ってたの。
アン:あざとかわいい、もちょっとよく分からないけど、やっぱり、何となく髪型の話っぽい気がする。
リン:確かに、髪型の話でも筋が通ってそうに聞こえるかもしれないけど、始めに言ったでしょう、お茶目なことをしていたって。つまり、行動や仕草についての表現なの。
アン:そうなんだ。どんな意味だろう?
リン:その子も気になったらしくて、私のところに聞きに来たの。天然ってなに?って。
アン:省略されすぎていて、何のことか全く分からなくなっているね!
リン:そうなのよ。だから、どんな文脈で使われていた表現なのか聞いたら、さっき言ったような話の流れだったの。
アン:それで?
リン:天然を装う、とは、相手に好印象を持ってもらうためにわざとするうっかり言動のことで、天然というのはその反対で、意識せずにうっかり言動をしているってことだって説明したの。
アン:だったらそれ、質問が成り立ってないんじゃない?本当に天然の人は、自分がなぜ天然かどうか聞かれているのか分かってないんじゃないの?
リン:やっぱりそう思うよね。これは、意図して天然を装っている人なら、正直に答えるにしてもごまかすにしても正しく応対できるんだけど、本当に天然の人には聞きたいことが伝わらない質問なのよ。
アン:それで、質問の内容が分からなかった女子高生は、背伸びしてかテキトウかで、天然を装っている、かな?って答えたのね。
リン:そういうことみたい。内容を知って、私の仕草って、そんな風に疑われてたんだ!って驚いていたよ。
アン:背伸びにしてもテキトウにしても、思わぬところで思わぬ波紋を呼ぶことがあるのね。怖いな。
リン:塾講師をしていると、逆に、この子は分かっていない部分をごまかしていないかな?って気にするようになるよ。どんな人でも、分かっていないことに気付いていなかったり、勘違いしていることに気付いていなかったりすることはありうるし、それなのによく知っているかのような言動をしていることもありうるから、話を始めから最後までよく聞いて、不思議に思ったことがあれば細かく質問して、相手の理解度を正確に把握する努力をすることが大事だと思う。相手の実際の理解度に合わせて話をしないと、話がいつの間にかこじれてしまう原因になるからね。
アン:普段、相手が正しく話している前提で話を進めがちだけど、言葉の使い方とか事実認識とか、不正確になっている危険性があるのね。逆に、気をつけていても結果的に私が不正確な危険性もある。すごく、ためになった!




