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いち国の女子大生達と女子留学生達の対話集  作者: 星埜梓


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ゴースト商圏

スイ:アンさん、何の写真データを整理しているの?どこかの住宅地みたいな感じの物が多いみたいだけど、何となくだけど、寂れている気がするよ?気のせいかもしれないけど。


アン:よく分かったね。そうなの。これは、寂れた街並みなの。予定では、こんなはずじゃなかったのだけど。


スイ:どこに行ったの?というか、何の調査をしたの?


アン:まず、課題で、GISっていうか、地図分析システムを使って人口と地図を組み合わせた分析をしていたの。


スイ:それで?


アン:最新の人口調査がまだ集計中で、今入手できる、五年前の人口がベースになっているマップセットを使って、商圏の調査を行ってみたの。それで、念のためと思って現地を調査しに行ったら、様子が変だったの。


スイ:もう店があったとか?じゃないよね、その雰囲気だと。


アン:そう、もう人が住んでいない住宅があまりにもたくさんあって、街がゴーストタウンになりかけていたの。


スイ:何か、人が出ていくような事態があったの?大規模な工場が閉鎖して労働者やその家族が出ていった、みたいな。あるいは、大学が別の地域に移転してしまって、若者や教職員がそこには住まなくなってしまった、とか。


アン:いや、そういった外部的な事情ではなくて、街の人に聞いた感じだと、どうやら、住民の高齢化が進んで独力では住めなくなって、家を処分して老人施設に行ったり、都会にいる子ども世代のところへ引っ越して行ったりしているみたい。


スイ:そうなんだ。そういった変化が急速に進むってことは、そこはもともとニュータウンだったの?


アン:そうね、ある時代に開発されて、子育て世代が一斉に入居したみたい。それで、子ども世代が残らずに都会に出てしまって、世代交代が生じないでそのまま人口が高齢化して、そろそろ減ってきた、という感じみたい。


スイ:ちょうど後期高齢者になってしばらくして、寿命がきたり、病気になったり、老衰したりしているのね。統計調査の5年の幅に重みがある時期なのね。


アン:まだ残っている人にとっては、採算の取れなくなった店が撤退してしまったせいで、買い物できる場所が減ってきているようなの。店が来ること自体は求められているのだけど、そこで採算が取れるかというと、かなり工夫が必要な感じなのよね。


スイ:配達中心の店にするとかなのかなぁ。人が少ないというか、人口密度が低くなりつつあるとなると、店の商圏を広めに取らないといけないような気がするけど、高齢者だとあまり遠くまで買い物には行けないよね。


アン:そうかもね。あるいは、商品を積んだトラックを毎週決まった時刻に巡回させるとか。


スイ:人口が多かった時代には店も幾つかあって競争していて、安く色々な物が買えただろうに、年金生活の高齢者になってから買い物に苦労するのね。


アン:そうね。高齢者になったときにも街が老化していないところを予め選べたら良かったのだろうけど、人口に勢いがあった時代には、いろいろなところに人が住むようになっていたからね。都会から少し離れた街は、世代交代できずに、ただ老化していくみたい。


スイ:街が老化するのか。これからの時代、人口が減る一方だから、どんどん街が淘汰されていくのだろうね。

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