1話 ギルド「ワンダー」
出てくる単語の意味を記したものになります!一度目を通して下さると、本編がより分かりやすくなると思います。
怪物…人々の怨念から生まれた存在。人や動物などの生きている生物を残酷に食い殺している化け物。怪物の中にもC〜Sのランクがある。
ランカー…怪物を討伐する為に出来た存在。C〜Sのランカー達が存在する。
ガイド…負傷したランカーや力を使ったランカーを癒す人。
エスパー…不思議な力を使う事が出来る人達の事を指す。
ギルド…ランカー達が集まって結成する組織の事。大体同じレベルのランカー同士が集まるが、稀に様々なレベルのランカーが集まっているギルドも存在する。
パートナー… ランカー同士が番を結ぶ契約。番を結ぶとお互いの力を貸し借りする事が出来る為、主に相性の良いランカー同士が番契約を結ぶ事が多い。
今までどんな壁にもぶつかった事がない俺は今、面接という最難関の壁にぶつかっている。
俺は昔から覚えた事をすぐ忘れてしまう体質だ。面接をする前に暗記しておいた、「どんな面接にも対応!これ一冊で貴方も面接マスター!」という本を面接が始まる直前に無くしてしまって、本を探している内に覚えた事を全部忘れてしまったのだ。
「志望動機を教えて欲しいだけなんだけど、もしかして無い感じ? 志望動機が無いなんて怪しさ満点過ぎるなー」
それはごもっともです…!もし面接官が俺でも志望動機が無い奴を、例えS級ランカーだとしても採用したいとは思わない!
だけど、本当の志望動機を言えば絶対不採用にされてしまう事は目に見えている。
俺が考え事をしている間にも面接官の顔はどんどん険しくなっていた。
この面接を落ちたら俺にはもう後がない!
(一か八か…!)
「志望動機が無いなら面接はこれで…」
そのまま立ち上がろうとする面接官の腕をグッと掴んで、手を掴んだまま俺は勇気を出して言った。
「パートナーから逃げている最中だからです!」
きっと今の俺の顔は、茹でたこのように真っ赤に染まっていると思う。
ポカーンと口を開けている面接官としばらく目が合って気まずい空気が流れる。
(絶対落ちた…! てか何この空気…。気まず過ぎだろ!早く家に帰りたい…)
俺はいつも肝心な所でヘマをしてしまう。だから、こうなる事は薄々分かっていた。
(あいつがここまで追いかけてこなれば、絶対ギルドの面接なんて受けなかった…)
頭の中で沢山の言い訳を並べるが、現実は変わらない。
「アヌビスくんと言ったかな…。」
「は、はい!」
(怖い怖い!この人、めっちゃ顔怖い!)
「君、合格だ!」
「え?」
予想していなかった言葉に思わず、沢山の疑問が浮かび上がる。
「我々『ワンダー』は面白い人を常に歓迎しているのだ!」
「へ、へぇ」
何故、合格出来たのか未だにわからないが一先ず試練を乗り越える事が出来た。
「それじゃあ改めて、ようこそギルド『ワンダー』へ!」