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53, 祭りへ行きましょ?

「クロエ、お祭りに行かない?」

「え?」


夕方、アイリッシュは帰るために開けた扉の向こうからこちらを振り返ってそう言った。


「祭りですか?」

「今日は1日中、風鈴祭って祭りを街でやっていたのよ。街中に風鈴を吊り下げて、皆でご先祖様の魂を迎えるの。」

「行かなくて良かったんですか?」

「えぇ。アタシね、誰も知らないキレイに街を見下ろせる穴場を知っているから、そこなら人も居ないし、クロエと一緒に行けるでしょ?行きましょ?」

「⋯、わかりました。ランタンやレジャーシートの準備をしてくるので少し待っていてください。」

「わかったわ。」


クロエは浮つきそうになる気持ちを誤魔化すように物置きへ向かった。


(お祭りなんてあったんだ。私、街のこと何も知らない。)


アイリッシュの口ぶりから考えるに、毎年行う伝統のある祭りなのだろう。


(そういえば昔、師匠に誘われたような)


あのときはどうしたんだったか。よく覚えていない。

ただ、それ以降誘われることは無かったから、多分断ったのだろう。


「おまたせしました。」

「全然よ!」


アイリッシュの先導で、森の中に入っていく。いつも通るこの森に穴場なんてあっただろうか。


「好きな人とデート、最高ね!!」

「えっ、デートなんですか?」

「2人きりでお出かけってデートじゃないの?」

「⋯⋯。」


(でーと?デート、これが?アイリッシュと?)


意識した途端顔が熱くなっていくのがわかる。

はぁ、恋するってこんなに感情の起伏が激しいものなのだろうか。前世でも、恋愛相談とかをされたことはあるが⋯。世の中の女性はこんな戦いを勝ち抜いているのか。あの頃の私はこんなに大変なものだと思わなかった。すごいな。


(春までの私がこんな私を見たら絶対鼻で笑う。なんて甘いこと考えているんだ、こんなに油断して、馬鹿馬鹿しいって。)


だって、今でさえ、騙されているのではないかとか、そんな事を考えてしまう私も心の中に居るのだから。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


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