表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/71

4, 手紙

アイリッシュが去った家の中は酷く静かだ。師匠が亡くなってから前世ぶりに感じた静けさ。私はこの静けさが嫌いだ。


『仕事の依頼って聞いたけど、危険じゃないのよね?危ないのなら断りなさいよ?』


帰り際にアイリッシュが、言った言葉を思い出して苦笑し、クロエは再び手紙へと目を向けた。


『森の魔女殿

相談したいことがある。下記の日付に指定の場所へ


                       』


書かれていない日付に指定の場所。そして不自然な空白。魔力の痕跡。


「途中で見られることを恐れているのなら何でわざわざ第三者に頼むのよ。」


痕を辿るように魔力を流し込めば、ふわりと空白に文字が浮かび上がる。


『新月の夜 領主邸へ』


はぁ、森から出たくない。人と関わりたくない。しかも場所が領主邸⋯貴族が絡む依頼は面倒くさくて厄介なものと相場が決まっているから受けたくはない。だが⋯


「このためのアイリッシュね。」


指定の場所へ来なかったらアイリッシュやその家族がどうなっても知らないぞという言外の脅し。


「別に彼は私にとって何でもないのに。逆もそう。」


それは、自らに刷り込むために発せられた言葉。また裏切られるかもしれないから、どんなに友好的な態度をしても警戒を解くな。気を許すな。アイリッシュも昔からの知り合いで一人でこの家に住む私が可哀想で彼の性格ゆえわざわざここに来てくれているだけだから甘えるな。一人で生きていかないといけない。


「やっぱり人は嫌いだ。」


貴族は一度標的にされると面倒だ。周りの人が迷惑を被る。そういう陰湿で汚いやり方をしてくるから。

窓から空を見上げる。昼間は晴れていたが月は見えない。今日が新月の夜だからだ。クロエはすぐに部屋を照らす明かりを消し、家を出た。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ