19, 魔女の再会
魔法使いと魔女の違いは、ひとことでいうと伝統だ。
魔法使いは魔法の才があれば誰でもなれる。才があってやろうとする意思があればなれるもの。
対して魔女は、魔女の血が通って、なおかつ魔法の才があるものにしかなれない。魔女とはただの呼び名で、男でもなる人はなる。(滅多にいないが。)
魔女の家系には代々受け継がれたオリジナルの魔法があり、そのことに誇りを持ち、魔法を行使する。そして、何より魔女は総じて寿命が長い。全員が全員寿命を全うできたかというとそうではないが、今世の師匠も150歳は確実に過ぎていた。
「お師匠様、私が死んでから何年経ちました?というかお師匠様って何歳なんですか?」
「取り敢えず君の代わりにあの国は滅ぼしたし国民も一人残らず根絶やしにしたから安心してね。」
「「⋯え?」」
すごく物騒な単語が詰め込まれていたのは気のせいだろうか。
「え?お師匠様、あの国を滅ぼしたんですか?私なんかのために?」
「当たり前だよ。可愛がっていた愛弟子が殺されたんだ。あの事件は当時の魔女総会でもかなり持ち上げられたよ。だって願いを叶えたのに魔女が殺されたんだから。」
師匠は笑って言った。
「クローナの家の血が途絶え、魔法が1つ失われた。
もう愛弟子と会うことができなくなってしまった。当時の僕は自分で言うのもアレだけどかなり荒れたね。あんなに荒れたの何百年ぶりかって思ったよ。」
「⋯。」
お師匠様が自分のことをこんなに大切にしてくださっていたとは思わなかった。
驚きに開いた口がふさがらないでいるとガラザザは今度は自分ねと言った。
「何で君がここにいるの?僕としては愛弟子に会えて嬉しいけど、僕は君の死体も確認した。君は死んでいた。何があったんだい?君の姿はクローナそっくり、いや、クローナそのままだ。」
「⋯詳しくは話せないですが、何故か転生させてもらえたんです。名前はクロエと言います。この森に住んでいた魔女に助けていただき今まで生きながらえてきました。」
「じゃあ、森の魔女が言っていた弟子って君?」
「?」
「僕、魔女を探しに来たんだ。」
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