1, 悪夢
まだまだ拙い文面かもしれませんがこの作品を楽しんでいただけたら幸いです。
『やつを探せ』
昨日まで私の作る傷を癒す薬を求めていた兵士たちが、私を殺すために剣を手に取った。
『あっちへ行ったぞ』
昨日まで私の作る草を殺す薬を求めていた農民が、私を殺すために鎌を手に取った。
『捕まえろ』
昨日まで私の作る家畜の調教魔具を求めていた牧人が、私を殺すために大きなくわを手に取った。
『『殺せ』』
初老の男性が、若い青年が、騎士見習いの男の子が
『『『殺せ』』』
パン屋のおばさんが、宿のおかみさんが、友達だと自称していた女の子が、私を捕まえるために追いかけてくる。
『邪悪な魔女』
『漆黒の魔女め』
結局、1日も逃げ切れなかった。
翌日の午後3時、私は広場に設置された簡易の柱に縛りつけられた。私を捕まえた兵士が述べたのは、全く身に覚えのない罪⋯。
『魔女なんか滅びろ!!』
『さっさと刑を執行しろ!』
私の死を望む声と、好奇や、憎悪の、醜い視線。
そんなのは、どうでもよかった。
『何で、あなたが、ウソよね、違うでしょ、〇〇』
『その穢らわしい口で俺の名を呼ぶな』
『ウソ、何で⋯』
何より辛かったのは、私を処刑した人が、誰よりも信頼していたたった一人の私の本当の友達、幼なじみだったこと。そして私の意識が消える直前、彼が唇を震わせ、涙を流していたことだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。