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4 動き出す復讐の刃

鍛冶場を後にしたルルは、険しい山道を一人進んでいた。

振り返ることはなかった。

ハンのもとで鍛え上げた技術と、この一年間で培った戦士としての力――それらを胸に、復讐の旅を本格的に始める時が来たのだ。


「待っていろ…あいつら全員に報いを受けさせてやる」


ルルの最初の標的は、ギルドの幹部「バキム」

彼はギルドの秘密に深く関わり、幹部たちの中心的な存在としてルルを追放しようとした人物だった。

ルルは彼の情報を集めるうちに、山間の鉱山跡を拠点にしていることを突き止めていた。


険しい道を進む中、復讐の決意がルルを突き動かしていた。


日が傾き、空が赤く染まる頃、ルルはついに目的地の鉱山跡にたどり着いた。

そこは荒れ果てた廃墟だったが、地面には人が活動した跡がはっきりと残っている。


「ここにいるはずだ」


慎重に足を進め、中に入ると薄暗い通路が続いていた。

壁にはランプが掛けられており、誰かがつい最近通った形跡があった。


奥へ進むと、広い空間にたどり着く。

そこにはバキムと、その護衛たちの姿があった。

バキムは大剣を片手に、不敵な笑みを浮かべながらルルを見つめている。


「ルルか。しぶとく生き延びたな」


「久しぶりだな、バキム。俺の人生を狂わせた張本人がまだのうのうと生きているとはな」

バキムは嘲るように笑った。

「お前の人生がどうなろうと知ったことか。だがここで終わるのは間違いない」


「お前の言葉など聞き飽きた。ここで清算する」

バキムが大剣を振り上げると、護衛たちが一斉にルルに襲いかかった。


ルルは冷静に剣を構え、迎え撃つ。

一撃一撃に込めた怒りと技術で、護衛たちを次々と倒していく。


「…鍛冶職人だったはずだろうに、一年で…」


バキムが呟きながら大剣を振り下ろしてくる。

その一撃は凄まじく、地面を割るほどの力が込められていた。

ルルはわずかに後退してその攻撃をかわし、素早く反撃に移る。


剣が交わるたびに金属音が響き渡り、火花が散る。

その激闘は互いに疲労を蓄積させていった。


「どうした、もう終わりか?」

バキムが再び突進してきた瞬間、ルルは低く身を沈め、大剣を受け流す形で隙を突いた。

その剣がバキムの腕を掠め、血が飛び散る。


「くそっ…!」

バキムは苦痛に顔を歪めながらも、隠し持っていた魔道具を取り出し、地面に叩きつけた。

瞬間、濃い煙が辺りを覆い、視界が奪われる。



ルルは煙の中を必死に追いかけるが、足音は次第に遠ざかっていく。

煙が晴れる頃には、バキムの姿は跡形もなかった。


「逃げたか…どこへ逃げても無駄だ」


その場に残されたのは、バキムが使った魔道具の破片と、わずかな血痕だった。

ルルはそれを拾い上げ、拳を握りしめた。


「必ず仕留める…俺の人生を狂わせた報いを」


復讐の刃はまだその標的を捉えられなかったが、ルルの決意は揺らぐことはなかった。


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