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第6話 可愛いを待ち侘びて〜発情したらどうしてくれるんだ〜

 まさかまた海を渡ることになるとは思ってもいなかったな。


 フレディーの本体は今、ベルギーにある病院の一室のベットでスヤスヤ中らしい。


 ベルギーに向かう為、イギリスから船で移動し、陸に降り立った後は鉄道でまた移動。早く会いたい一心で急スケジュールにしてしまったので大分忙しい。


 まあこれくらい、サブマシンガンのプレス重労働と比べれば対したことはない。


 それに今は。


『エリンさんとても美味しそうに食べますね、可愛いですよ』

「むももう!」


 私の傍でフレディーが居るからへっちゃらなのだ。


 今私達は蒸気機関車の中。

 機関車の席で私は両手で骨付き鶏肉とフレンチフライを貪っていた。


「もうみょむもむもう」

『何言ってるか分かりませんよ、ゆっくり食べてください』


 生霊状態のフレディーには申し訳ないが、三年間美味しい物にありつけなかった私は食欲が爆発してしまっているのだ。


 ああフレディー、肉とフレンチフライを目の前で美味しそうに食って腹を満たす私を許してくれ。


 それにこのベルギーのフレンチフライが最高なんだ。串に刺さったじゃがいもがホクホクでさ、三本購入したが全然足りないくらいだ。あと五本欲しい。


 やっぱりイギリスと違ってどの国の料理もずば抜けて美味いなあ、芋切って揚げるだけでこんな美味いなんて感動だ。


 私は口にパンパンになった幸せを飲み込んでから言う。


「フレディー、私の顔をジッと見続けられるのは恥ずかしいんだ。それに凄い近いし」


 モグモグする私をまじかで観察されるのは困る。機関車の中で私が発情したらどうしてくれるんだ。ブレーキが効かない発情機関車を誰かが止めてくれる保証はないんだぞ?


 未だにまじかで私の顔を見るフレディーは、いつもの爽やか笑顔爽やかボイス、さらに照れまで加えて。


『へへっエリンさんが可愛いくてつい』

「だから可愛いって言うなあ!」


 怒りの私は鶏肉をフレディーに突きつける。もちろん鶏肉は生霊状態なフレディーの身体を貫通して当たることは無い。


 もうこれ以上私を発情させないでくれ!


 タダでさえ周りから不審な目で見られている独り言な私が、息を荒らげて一人おっぱじめたら問題になっちゃうんだぞ!

 警察にお世話になっちゃうんだぞ!


 フレディーがニヤニヤしながらさらに私に近づき。


『そんなこと言われたら余計に言いたくなってしまいますよ?』

「何!?」


 フレディーの爽やか笑顔に悪魔属性までついちゃうのか!?

 ダメだって、既にフレディーは負傷軍人爽やか青年生霊優しい属性で渋滞してるんだ。これ以上増やしたら回収がつかない。


 もうフレディーに辞めさせなければ。


 顔を蒸気させた蒸気機関女は息を荒らげながら。


「はあ、はあ、う、せめて耳元で言われたら一発だから絶対に言うなよ?」


 何注文してるんだ私は!?

 どうなっても知らないぞ!?

 限界突破したら蒸気じゃ済まされないぞ!?


『耳元ですか?』

「そうだそうだフレディー、私の耳元で可愛いと囁くんだ」


 あ、もう私ダメだ。ブレーキ壊れてるわ。

 念の為私は、鶏肉とフレンチフライをケースに入れて袋にしまう。


 これで手からポロッと離して落とすことは防げたな。


 両手を空にして準備万端な私に、要望通りにフレディーは耳元に近づく。


『こうですか?』

「はうッ……よ、よろしく頼む」


 とうとう来ちゃう!

 身体が疼く、もう待ちきれないぞフレディー!!!


 フレディーは、顔を赤らめ悶える私の耳元で最後の呪文を唱える───


 手遅れな私はフレディーから会心の一撃を耳元でくらった。おみみ、しあわせ。


 ふぅ。

 問題は起きたが警察沙汰には発展しなかったので結果オーライだな!


 良い子も悪い子も変態も真似するなよ!

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