06 悪役令嬢セレスティーナ
私、セレスティーナは転生者ですの。
前世は日本という国に住んでいたこと、ここは乙女ゲームの世界と同じであること、私は悪役令嬢であることを認識しておりますわ。
ふふ、重要なことですのでもう一度言いますわ。
悪・役・令・嬢!!!
ヒロインよりも断然主人公ですわ!!!
ということで、全力で破滅フラグを回避すべく、幼馴染のアーネスト様と親しくなり、勉強に励み、もしもヒロインが転生者でも返り討ちにしてざまあすればいいと思っていたのですけれど、ふと気づいてしまいましたの。
私、アーネスト様と結婚するのも回避したいかも。
なぜなら、王宮には人間の皮を被った魔物のような方々がうじゃうじゃですし、アーネスト様の立場も性格も弱いですし。
もちろん、アーネスト様を婚約者や妻として支えながら頑張るという選択肢は王道でしょうけれど、私は苦労たっぷりの妃になるより、自分の才能をもっと自由に活かしたい人生を過ごしたいと思ってしまいましたの。
悪役令嬢って、ほぼチートかもって思うぐらい、何でも揃っているでしょう?
さすがに全種類の魔法を使えるほどではなかったけれど、氷魔法においては無双かもしれないほど。魔力も豊富。
子どもの頃から氷魔法を駆使。シャーベットやアイスクリームといった氷菓を開発して事業にしたので個人財産もたっぷり。
でも、私がしたいのは王宮で勝ち残ることでもなければ、ヒロインを返り討ちにしてざまあすることでもなければ、お金を稼ぐことでもなくて……氷魔法無双かもしれないって気づきましたの。
これはもう……魔境へ行くしかないですわ!
でも、私の父は公爵で宰相。しかも、私を溺愛しているので、魔境へ行くのを許すわけがないのです。
魔法の訓練として領地に出没する魔物を氷漬けにしていましたけれど、全然物足りないのですわ!
仕方がないのでやはり持って生まれたチート能力、知っている乙女ゲームのシナリオを活用して魔境追放を狙うしかないと思いましたのよ。
でも、愛情たっぷりの両親のことを思うと非情になりきれず……その結果、私への処分はとても甘甘、その実、王都から出られない私には精神的に厳しい処罰になってしまったのですわ。
こんなことなら、アーネスト様と一緒に婚約旅行で魔境へゴー!プランでも良かったのかもしれないと後悔するばかり。
アーネスト様はとても優しくて、腹黒ぶりっ子ヒロインにコロッと騙されてしまうほどの良い人っぷり。
ただ、私がアーネスト様の面倒をがっつり見るのは遠慮したいので、そこは弟のレイディン様にお任せしたいのですけれど。
ああ、魔境が遠い……氷魔法無双をしたいのに……。
誰か、私を魔境に連れてって!!!
他の転生者でも、異世界の誰かでもいいのですわ!!!