46 スパイシーな夕食
ジスからさまざまなものを入手したミントは、絶対にアレを作ると決めていた。
「バタータ、ニンジン、玉ねぎははずせません。肉も入れないとですね」
具材は問題ない。
とろみは小麦粉でいい。
辛みがない部分は、アレンジする余地がある。
ミントは試行錯誤しながら、結局は全部煮込めばなんとかなるだろうと思った。
「できましたーーーーーーー!!!!」
真っ黄色のドロドロ状態。
恐らく、この世界においては非常に怪しい見た目。
しかし、毒性がないのは確認済。
見た目も非常にアレっぽい。
味見もした。
絶対に完璧だとミントは思っていた。
そして、夕食の時間になった。
キッチンに来た者はもれなく驚いた。
「うわっ!」
「くんくんにゃ!」
「この匂いは……」
「とても良い香りですわ!」
「これは……特別なシチューだな?」
「美味しそうだ」
「取引している商人から手に入れたスパイスを使って、特別なシチューを作りました! カレースパイスというものらしいので、カレーと名付けました!」
そのまんま。前世の知識と関係なく。
「美味しそう」
「ふぅふぅにゃ」
「食欲をそそるね!」
「パンにつけて食べればいいのよね?」
「それはご自由に。シチューなのでそのまま食べてもいいですし、パンと一緒でもいいと思います」
「食べよう!」
レイディンが目を輝かせ、食べたくて仕方がないといった様子で言った。
「いただきます!」
全員の声が唱和。
カレーの夕食が始まった。
「美味しい! すごい! 完璧だよ!」
これはカレー、間違いなくカレーだよ!
レイディンは泣きそうな勢いで叫んだ。
「美味ですわ。食べ過ぎてしまいますわね」
まさかこの世界でカレーを食べれるなんて! ご飯がほしいですわ!
普段はドレスのサイズを気にしながら食べるセレスティーナでも、おかわりをためらわなかった。
「おかわり」
「にゃ!」
リオンとキティもバクバク食べた。
「パンも食べてくださいね」
ミントはそう言いながら、おかわりをよそった。
「アーネスト様もおかわりしませんか?」
おかわりしていないのはアーネストだけだった。
「もしかして、お口に合いませんか?」
「非常に美味しい。だが、私がおかわりをすると、その分、他の者がおかわりをできなくなる」
「誰が何と言おうと、世界で一番兄上は優しい!」
「これほどの誘惑にも負けないなんて驚きですわ!」
「アーネスト、すごい!」
「すごいにゃ!」
賞賛の声が上がった。
「やせ我慢する必要はないが、いらないなら別にいい」
そう言ったのはエアリス。
「おかわりしたい」
「またですか? 食べるのが早すぎます!」
香草好きなエアリスが好みそうだとミントは思っていた。
「エアリスはパンを食べてください!」
「カレーが食べたい」
「私の分をエアリスにあげてくれないか?」
アーネストが言った。
「兄上の分は僕に!」
「レディファーストでは?」
「僕はアーネストの子どもだ」
「子どもにゃ! 小さいにゃ!!」
「では、私の分を五人で分ければいい。公平だ」
「公平なら六人です」
ミントは自分の分もしっかりと入れた。
「でも、さすがに減ってきましたね……薄めてスープにしてもいいですか?」
「ええっ!」
「量が増えますわね」
「それでいい」
「ふぅふぅにゃ」
「変わらない」
「では、スープに変更します。アーネスト様はおかわりをしていないので、次に作ったのを優先です」
「そうだね」
「それで公平な気がします」
「わかった」
「にゃ」
「好きにしていい」
「では、ちょっと準備を」
ミントは大鍋に水を足し入れ、ぐるぐるとかき混ぜた。
「手伝う」
リオンが席を立った。
「では、私の代わりにかき混ぜてください。お鍋についているのをしっかり溶かしてほしいのですが」
「わかった」
ミントはそう言うと、貯蔵庫の方へ向かう。
持って来たのは、
「じゃーん! パスタです!」
うどんっぽい感じの太いパスタを作ってみました!
ミントは心の中で追加説明をした。
「おおおーーーーー!!!」
「まあ!!!」
「それをいれるのか」
「つるつるにゃ」
「だったらパンを食べなくていいな」
「エアリスはパンをもう一個食べてからです! ノルマですよ!」
エアリスは不満そうな顔をしたが、パンを一つ手に取った。
「先にゆでてあるので、すぐにできます。でも、パスタはこれだけです。作るのが大変だったので」
カレーのあとは、全員がカレースープパスタ。
隠れ転生者にとってはカレーうどんのようなものを食べた。
「すごい! あまりにも美味しい!」
「別腹ですわね」
「美味しい」
「うまにゃ!」
「太いパスタも美味しく食べられる」
「アーネスト様はどうですか? おわかりの優先権がありますよ?」
「非常に美味しい。皆には悪いが、おかわりしたい」
アーネストは恥ずかしそうにそう言った。
「当然の権利です」
「遠慮しなくて結構ですわ」
「美味しい証拠だ」
「アーネストもうまにゃ」
「残ったらおかわりしたい」
「残りのパスタは子ども優先です!」
「にゃーーー!!!」
「嬉しい!!!」
子ども二名は大いに喜んだ。
「スープだけでもほしいひと?」
エアリス、レイディン、セレスティーナは誰よりも早くと思いながら手を上げた。
「頑張って作った甲斐がありました!」
みんなの笑顔。綺麗にからっぽになった大鍋。キッチンに残るカレーの香り。
全てが幸せの証だと思いながら、ミントは大満足の笑顔を浮かべた。
また、カレースパイスを手に入れないとですね!
ミントはジスから依頼された仕事を頑張ろうと思った。




