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婚約破棄のあとで辺境(魔境)行きになった王子  作者: 美雪
第三章

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27 魔ウサギ捕獲大会



 アーネストとレイディンは次々と各村、施設を訪れ、都市計画について説明した。


 文句をつけたのは猫族の村長――親しくなったことで、プリメーラと判明した。


「何匹いるかわからない魔物全部を他の放牧地に移動させる? 馬鹿言ってんじゃないよ!」


 プリメーラは大激怒。


「ウサギ族が協力する。ウサギの姿になって、草原中の巣穴をチェックする」

「どんだけ広いのかわかっているのかい? とてつもなく大変だよ!」

「すまない。何も考えずに放牧した私の責任だ」


 アーネストは謝罪した。


「新しい放牧地については、魔ウサギが穴を掘らなくてもいいように最初から巣箱を地中に埋める」


 そうすれば、魔ウサギの住処がどこにあるのかを把握できる。


 自分で巣穴を掘って作るよりも、すでにある穴を利用して巣を作る魔ウサギの習性を活用することにした。


「少しずつ魔ウサギを囲い込み、移していく。エルフも協力してくれる」

「あの高慢で口うるさくて面倒極まりない種族が?」


 プリメーラは驚いた。


「もちろん、人間も協力する。ヴィラージュの力を結集して、魔ウサギを残さず現在の放牧地から移動せる。猫族にも協力してほしい。正直、俊敏さに優れた猫族の協力がなければ、魔ウサギを捕獲するのも移すのも難しい」


 プリメーラはアーネスト見たあと、ため息をついた。


「仕方がないねえ。猫族じゃないと、魔ウサギを生け捕りにするのは難しいだろうし」


 魔ウサギは俊敏。聴覚も鋭い。


 狩るのと生け捕りにするのでは難易度が各段に違った。


「わかったよ。協力してやるよ」

「感謝する。この計画は徐々に行う」


 新しい放牧地の整備状況を見ながら、魔ウサギを移していく。


「楽しく作業を行えるよう魔ウサギ捕獲大会を主催しようと思っている。成績が優秀なチームには賞品として魔ウサギの肉が贈られるというのはどうだろうか?」


 プリメーラだけでなく、その周囲で話を聞いていた猫族の耳がぴくぴくと動き、目がギラギラとした輝きを宿した。


「面白そうじゃないか! 賞品もいい。あたいも参加する。絶対に優勝してやるよ!」

「村長が参加するなら、猫族もたくさん参加してくれそうだ。では、詳しく決めたらまた話をしよう」

「楽しみだねえ」


 ということで、猫族も快諾してくれた。





 そして、魔ウサギ捕獲大会が実施された。



 

 参加できるのはヴィラージュ領民や居住者。


 一チームは六人まで、同じ種族は二人まで。


 制限時間内に何匹捕獲できるかを競い、十位内のチームには順位に応じた魔ウサギの肉が贈られる。


 十一位以下でも、参加者は一人につき一本の串焼きが配られ、関係者や見学者を含めた全員に焼いたパオンの実かバタータの実が昼食として配られる。


 優勝賞品だけでなく参加賞や昼食目当ての人々が多く集まっていた。





「そろそろ順番だ」


 アーネストもチームを作った。


 メンバーはアーネストの他にキティ、リオン、エアリス、ニンウィー、ミントの合計六名。


 レイディンとセレスティーナは審判を務めているため、一緒ではない。


 小道具は使ってもいいが、魔法は厳禁。


 あくまでも捕獲のため、魔ウサギを傷つけるような行為は減点。


 制限時間内に何匹捕獲できるかを競う。


「どう考えても猫族が有利ですよね」


 すでに参加を終えたチームを見ると、猫族が大活躍していた。


 見つけてしまえば逃げられても追いつき、耳を掴んで簡単に捕まえてしまう。


 エルフやウサギ族も同じようにできるが、普段は弓矢や罠で狩りをしている分の差があった。


「狩りって弓矢や罠のイメージがあったのに、猫族は手掴みだなんて意外です」

「キティの役目も重要だから頑張ってほしい」

「にゃ!」


 キティもやる気満々だった。


「小手を装備しよう」


 魔ウサギが暴れることを想定して、参加者は怪我を防止するための防具をつけていいことになっていた。


「ニンウィーのだ」


 大会に参加するのは面倒だと言いつつ、エアリスは錬金術で魔法金属製の手袋を全員分用意した。


「ドワーフの作った小手とは全然違う! 軽い!」


 ニンウィーはエルフの高度な技術を実感した。


「エルフの技術の方が優れているに決まっているだろう? リオン」

「ピッタリだ。でも、素手の方が掴みやすい」

「手の保護は必須だ。アーネスト」

「ありがたい。本当に軽いな」


 アーネストもエアリス特製の魔法金属小手を装備した。


「動かした時の違和感もない。手袋のような小手だ」

「エルフの作る魔法金属は軽い。そのせいで革のような金属だと言われるが、上級者が作れば布のような金属になる」


 エアリスは得意げだった。


「ミントとキティは怪我をしないことを優先しろ。無理に近づかなくていい」

「はい!」

「にゃ!」


 二人も念のために小手をつけた。


「では、作戦を確認する」


 魔ウサギを捕獲するのはリオン、エアリス、ニンウィーの三人。


 アーネストとミントは魔ウサギを入れる檻を運ぶ。


 キティはバケツを叩いて音を出し、魔ウサギを反応させて発見しやすくしたり、捕獲役の方へ誘導する。


「魔ウサギを入れた後の檻の扱いは丁寧にしてほしい。雑に扱うと扉が開いてしまい、逃げてしまう」

「わかっている」

「結構、逃げられていた」

「留め金が甘い。大会が終わったら、改良した方がいいんじゃないか?」

「よし、行こう!」


 アーネストのチームが参戦した。





「檻を運ぶのを手伝ってくれ!」


 アーネストが叫んだ。


 かなりの数を捕獲して檻に入れていたものの、それを審判団がいる決められた場所まで運ぶ必要がある。


 アーネストとミントで運んでいたが、リオン、エアリス、ニンウィーの三人による捕獲スピードに追い付けていなかった。


「運ばないと、カウントされない!」

「捕まえた檻を回収してください!」


 捕獲に専念していた三人も、捕獲したあとに置きっぱなしだった檻を回収する方に回った。


 キティも一つずつ両手で抱え、一生懸命運ぶ。


「あと、五分!」


 最後にもう少しとばかりにリオン、ニンウィー、エアリスが空の檻を持って走り出した。


 キティもバケツを持って走り出す。


「音は出さなくていい! 近くにいるのが遠くに逃げてしまう!」


 アーネストに止められたキティだったが、


「にゃ!」


 キティはそれでもバケツと棒を持ったまま走っていく。


 魔ウサギに飛び掛かられたら危ないと思ったアーネストとミントも走り出した。


 バコ。


 キティは地面にバケツを置いた。


「ウサギにゃ!」

「捕まえたのか?」

「逆ですよ?」


 バケツを被せたのではなく、置いただけ。


 だが、アーネストはすぐにわかった。


「巣穴だ!」


 バケツを少しだけ持ち上げ、素早く小手を装備した手を入れる。


「いた。小さい」


 ミントが檻の扉を開けた。


 捕まえたのは小さな魔ウサギ三匹。


「時間がない……」


 審判団のところまで距離があった。


 アーネストは全力疾走するが、すでに審判による秒カウントが始まっていた。


「あと二十秒!」


 加速魔法になれているアーネストは、いかに自分が魔法に慣れきっていたかを感じた。


 キティが見つけた分をなんとかして間に合わせたい。でも、厳しい。


「アーネスト!」


 エアリスが叫んだ。


「リオンに渡せ!」


 リオンが受け取りに向かっていた。


 アーネストから檻を受け取ったリオンは一気にダッシュ。最後は三段飛びのように跳躍した。


「一秒!」

「追加だ!」


 リオンが檻を置いた。


「間に合いましたーーーーー!」

「にゃーーーーー!」

「ゼロ、そこまで!」


 ミントとキティの万歳と制限時間終了のコールは同じタイミング。


 見守っていた人々も驚きと喜びの叫び声を上げた。







「では、発表します。優勝は……プリメーラチーム!」


 絶対に優勝すると宣言していた通り、猫族の村長プリメーラが率いるチームが最多捕獲数で優勝した。


「優勝候補筆頭と呼ばれただけあって、素晴らしい成績でした!」

「当たり前だよ。猫族のすごさを思い知っただろう? 魔ウサギを捕まえるなら、猫族が最強さ!」

「村長ーーー!」

「かっこいいーーー!」

「素敵ーーー!」

「尊敬していますーーーー!」

「ニャーーーーー!」

「ニャニャーーー!」


 多くの声と拍手が飛び交った。


「だけど、猫族だけのチームだけじゃない。メンバーには、エルフもウサギ族もいる。全員の力を合わせたからだよ!」


 より強い拍手が響き渡った。


「だけど、注目すべきはアーネストのチームさ!」


 アーネストのチームは十一位。


 惜しくも入賞を逃してしまった。


 だが、十位までのチームは優勝を狙うため、猫族とエルフとウサギ族が二名ずつのメンバー構成だった。


 それは人間がいると不利になると思い、メンバーに加えなかったということ。


 人間がいるメンバーで最上位だったのは、アーネストのチームだった。


「アーネストのチームには人間がいる。子どももいる。普通に考えれば不利だ。でも、アーネストは家族や友人と参加した。大切なのは勝つことだけじゃない。信頼する相手と一緒に力を合わせて頑張ることだ。アーネストのチームはヴィラージュをあらわすチームだよ! あたいはアーネストのチームを心から賞賛する!」

「その通りだ!」

「素晴らしかったですわ!」

「最後は間一髪だった!」

「ギリギリ間に合った!」

「連携プレーの勝利だ!」


 アーネストチームを称える声と拍手が上がった。


「ありがとう。だが、私たちのチームが十一位になれたのは、キティのおかげだ。バケツを持って勇ましく走り、三匹捕まえたキティに拍手を頼みたい!」

「キティー!」

「すごいぞ!」

「よくやった!」

「偉いわー!」

「見事だったー!」


 大勢がキティを讃えて拍手した。


「頑張ったな!」


 アーネストに抱え上げられたキティは満面の笑みを浮かべ、左の拳を空へ向かって掲げた。


「にゃあーーー!」


 キティの声に続き、


「にゃーーー!」

「にゃーーー!」

「にゃーーー!」

「にゃーーー!」

 

 猫族も人間もウサギ族もエルフも笑顔。


 一緒に声を上げ、拳を掲げた。


 第三章はここまで。


 みんなが仲良くなってきたヴィラージュ。

 でも、心の中に秘めた野望を叶えていない人もいるわけで。


 また短くまとめられなかった……と思っている作者ですが、第四章もよろしくお願いいたします。


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