11 ヒロインの選択
別コースについてです。
設定回収もあるのでいれますが、気に入らない人もいると思います。
読まなくても大丈夫なので、番外編にしました。
苦手かもと思ったら退避をお願いします。
アーネストとあっさり別れたイザベラは騎士によって捕縛され、王宮の地下牢に入れられた。
命をかけてアーネストとの愛を貫く覚悟があるのであれば、魔境送りで許すというのが国王の判断。
だが、イザベラの狙いは王太子妃の座。
そのために温厚で誠実な王太子アーネストを惑わし、目的が叶わないと知るとあっさり別れた。
イザベラは不敬罪以上の大重罪。王族を陥れたとして、処刑を命じられた。
しかし、イザベラは動じていなかった。
なぜなら、イザベラはこの先がどうなるのかを夢で知っているつもりだった。
一つは処刑され、もう一度人生をやり直す。
別の相手と結婚してハッピーエンドを目指すゲームの始まりだ。
もう一つは隠しルートに入る。
闇の処刑人がイザベラの処刑を偽装。イザベラを連れ出し、隠れ家で溺愛するルートになる。
「どっちかしら?」
予想では隠しルートになる。
悪役令嬢が人気になった頃に作られたゲームのため、ヒロインモードに力が入っている。
ヒロインに何の非もなければ無罪放免。処刑エンドになっても神の慈悲でもう一度人生をやり直しになる。いわゆるループコース。
しかし、悪役令嬢にやり返す、攻略者に知られないよう策を練り、悪役令嬢の罪を偽装、陥れるようにすると、罪深さに応じて選択が増える。
隠しルートの闇の処刑人ルートも複数ある。
闇の処刑人は仮面を被っているため、誰なのかわからない。
ヒロインの行動次第で正体が変わり、あんな人やこんな人と判明する。
全くの新キャラ、人間以外の種族も登場する。
闇の処刑人は誰かしら?
イザベラは楽しみで仕方がなかった。
ギイィィ……。
鉄扉が開く音が聞こえ、全身が黒装束、顔でさえ見えないようにマスクを被った者が来た。
「闇の処刑人?」
隠しルートに入ったようだとイザベラは思った。
「これを飲め」
「これって何か入っているのよね?」
「薬が入っている」
ああ、わかったわ! 眠っている間に私を外に連れ出すのね!
イザベラはグラスの中身を一気に飲んだ。
「不味いわ……ジュースに混ぜるとかしてくれればいいのに」
バタン。
イザベラは倒れた。
「あっさりだな」
処刑人はイザベラを担いだ。
「闇の処刑人から、この世界がゲームだと思っている変人だという報告があったが……まあ、どうでもいいか。強欲でかなりの悪女だったらしいからな」
処刑人がイザベラを連れていく。
「毒による処刑は王の慈悲だ。神の慈悲を期待するな……と言っても無駄か」
処刑人が向かったのは墓地だった。