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9.攻めに転じる怜

 翌朝になると、俺は仲間たちを見た。

 一角獣のサイレンスアローとグランパレード。牝馬のグランパレードの母。そしてキツネ耳の巫女涼花。


 これだけの戦力が整っているのなら、俺、サイレンスアロー、涼花の3人で攻めに転じる。つまりゴブリンたちの巣穴を討伐するということも可能なのではないかと思える。


 一角獣やウマの3頭に飼い葉を振舞うと、さっそくその提案をしてみた。

『奇遇だね。実は小生もゴブリンの巣穴を叩くチャンスだから勧めようと思っていたよ』


 良い返事を貰えてよかった。

 さて、涼花はどうだろう。視線を向けると彼女は錫杖を出した。

「ゴブリンの巣穴ということは、私の力が役に立つと思う……ぜひ参加させて!」


 確かに彼女の言う通りかもしれない。ゴブリンの巣と言うことは洞窟か何かだろう。あそこは錫杖の音があちこちに反射して効果を高めそうだ。


 サイレンスアローは言った。

『ゴブリンの居場所なら小生がにおいを辿っていくから、なるべく早く向かおう』



 サイレンスアローに案内してもらうこと15分。

 彼はゴブリンたちの臭いを辿りながら、見事に巣穴を見つけ出した。


 巣穴の前には見張り役のゴブリンがいたが、俺はマジックハンターライフルを構えると、なるべく音を立てないように念じながら弾丸を放った。


 すると、ほとんど狙撃音がしないままゴブリンを撃破し、サイレンスアローは素早く駆けよると、ジェル状の水をかけてゴブリンの血の臭いを覆い隠した。


『行くよ!』


 サイレンスアローが、まずゴブリンの巣穴に突入すると、次に涼花が入り、俺は外の見張り役となった。

 間もなくサイレンスアローから指示があったらしく、涼花は一定のリズムで錫杖を鳴らしはじめた。


「…………」

「…………」

『…………』


 およそ5分ほど経つと、涼花は錫杖を鳴らすことを止めて、表で見張りをしていた俺をゴブリンの巣穴へと呼んだ。


 その後、3人でゴブリンの巣穴を捜索してみたが、すでにゴブリンは残らず浄化されたと見え、洞窟の奥にまで踏み込んでもボスらしいゴブリンの姿もなかった。


『どうやら、完全に退治したみたいだね』

「囚われた村人とかはいるか?」

 サイレンスアローに聞くと、彼は目を細めながら言った。

『いないと思うよ。連中は同族以外は全部が肉だからね。捕まりでもしたらすぐに解体されてしまう』


 そうなのか……と考えていると、涼花はじっと俺を眺めてきた。

「一体、なにを想像していたの?」

「あ、いや……ライトノベルの見過ぎかと思ったくらいだよ」


 涼花は俺から視線を戻すと、洞窟を見ながら言った。

「とにかく、このままにしていたら新しい魔物が使うことは目に見えてるね。入り口くらいは大地系の魔法で塞いでおいた方がいいかな?」

 サイレンスアローは頷いた。

『それがいいだろうね』


 涼花は洞窟の入り口を大地魔法で塞ぐと、俺たちは牧場へと帰ることにした。

 ついでにスマートフォンで撃破数を確認してみると、敵のトータル撃破数が183体まで増えていた。つまり……あの洞窟の中だけでも80体近いゴブリンが住み着いていたことがわかる。


「涼花にアロー……パーティーのトータル撃破数が183だってよ」

 そう伝えてみると涼花は驚いていたが、サイレンスアローは特に表情も変えずに答えた。

『あの規模の洞窟だと、それくらい潜んでいたとしてもおかしくはないかな。むしろ涼花を連れて行かなければ、物陰とかから奇襲攻撃を受けて面倒なことになっていたかもしれない』


 そこまで言うとサイレンスアローは、ニヤニヤと笑いながら囁いてきた。

『良い幼馴染だね。他のオスに取られないように、しっかりと獲得しておいた方がいいよ』

「言われなくてもわかってるよ」



ミッション 連動召喚をしよう 達成!

ミッション ゴブリンの巣を討伐しよう 達成!


 いまクリアしているのは、この2つのミッションだ。

 まだまだ受け取るのは先だなと思いながら歩いていると、サイレンスアローが表情を変え、低い声で言った。

『どうやら、まだ話は終わらないようだ……』

「というと?」


 聞き返すと、彼は背後に視線を向けた。

『親玉の気配が……ゆっくりと近づいてきている』

【作者からのお願い】

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