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3.初ガチャ

ミッション 主人公の職業を決めよう 達成!

ミッション 動物を1頭従えてみよう 達成!

ミッション 仲間のパーソナルデータを見てみよう 達成!

ミッション Sランクキャラクターを仲間にしよう 達成!

ミッション アビリティアシスタントと仲間をリンクさせてみよう 達成!


 これらのミッションをすべて受け取ると、俺の持っているガチャコインはちょうど10枚になり、10+1連ガチャを回せるようになっていた。

「じゃあ……行くぞ?」


 一角獣サイレンスアローが頷いて、俺はようやくガチャを回した。

 もし、ヤバいモンスターが現れて襲ってきても、アビリティアシスタントになったサイレンスアローなら返り討ちにしてくれるはずだ。


 10+1連ガチャを回すと、スマートフォンから光が一直線状に伸びていき、周囲に11の光が円陣を組んだ状態でクルクルと回っていた。

 光の中からは、次々とアイテムやチケットが姿を現していく。


 1つ目は、しっかりした体格の猟犬を出すチケットだった。グレードはレア。どことなくドーベルマンに似ている。

 2つ目は、少しボロめのログハウス小屋を出すチケットだ。グレードはアンコモン。

 3つ目は、大きなシャベル。グレードはコモン。

 4つ目は、ロウソク付きのガラスランプ。グレードはコモン。

 5つ目は、使い勝手の良さそうな鞭。グレードはアンコモン。

 6つ目は、家畜のオス羊。グレードはアンコモン。

 7つ目は、家畜のメスのニワトリ。グレードはコモン。

 8つ目は、牧場や畑を守る柵を召喚するチケット。グレードはアンコモン。

 9つ目は、よく耕された畑を召喚するチケット。広さは一反……だいたい50メートルプールくらいの面積。グレードはアンコモン。

 10こ目は、家畜のオスヤギ。グレードはアンコモン。


 そして、最後の1つが光を放った。

 11こ目……井戸召喚チケット。グレードはレア。


「…………」

『…………』

 俺とサイレンスアローはお互いを見合った。

「何だか、いかにも農家って感じのモノばかりが出てきたな」

『うん。家や井戸が出てきたのは大きいね。それに……ミッション達成報酬が新たに配られたよ?』


 スマートフォンに目をやると、そこには達成報酬が送られていた。


ミッション 10+1連ガチャを回そう 達成!


「……10連ガチャをまわして、石が10個か……すげーな」

『凄くユーザーフレンドリーだね』

「ゲームもやったことない奴に言われてもな……」

 そうつぶやくと、サイレンスアローは不満そうに嘶いた。

『ひどいな……わかりやすく言ってるのに……』


 サイレンスアローって本当に表情豊かだ。

 こうしてふざけあっていると、弟ができたような気分になる。

「とりあえず、俺はブリーダーだから牧場を作らないとな」

『牧場か……どうせならユニコーンがいっぱいなマキバがいいな〜』

「牝馬がいっぱいの間違いだろ?」


 そう茶化すと、サイレンスアローはワルガキになったかのような表情をした。

『そんなことはないよ〜。男同士でスケベ話もしたいじゃないか〜』

「調子に乗んな、このリア充ウマ!」


 そう言いながらおどけたが、実は俺には小学生の頃に妙な体験をしていた。誰に言っても信じてもらえなかったが、サイレンスアローなら信じてくれるのではないだろうか。


 いや、ここではやめておくか。突然深刻な話をしてもコイツも困るだけだろうし、今はガチャを回して牧場を作る方が先決だ。

「じゃあ、さっそく生活拠点というやつを作らないとな!」


 そう言うとサイレンスアローも笑った。

『牧場を作るのに向く場所なら心当たりがあるよ』

 それはまさに渡りに船だ。早速、サイレンスアローに案内してもらうことにした。



 サイレンスアローは、森の獣道をひたすら進んでいった。

 これはどう見ても、コイツがいなければ迷子になると思いながらついていくと、やがて森を抜けて湖のほとりへと出た。

 ここって……


『どうだろう?』

 そう話しかけられると、俺はここがダンジョンの中だということを思い出した。

 よく似た場所なんて、いくらでもあるよな。デジャブだデジャブ!


 自分を落ち着かせて客観的に見てみることにした。

 確かにここなら飲み水も確保できるし、それなりの高さがあるので水害の時もすぐに被害を受けるということはなさそうだ。

「いい場所だな……ここに早速、さっき引いたチケットを使ってみるか」


 俺はスマートフォンを出すと、まずはプレゼントボックスから小屋のチケットを選択した。

 それを使用すると選択すると撮影画面へと切り替わり、画面を見ると小屋が映り込んでいる。


『撮影ボタンを押してから、設置完了を選択すると小屋を配置できるよ』

「この辺りかな……?」


 そう呟きながら撮影ボタンを押し、更に設置完了を選択すると、俺たちの前には画像データで見た通りの古めかしいログハウスが現れていた。

「早速、中を覗いてみるか」

『うん!』


 ドアを開いてみると、中はとても質素な造りだった。

 小屋だけあり、中は6畳くらいの部屋が1つあるだけ。それも地面は土間であり、人が住む場所というよりも物置小屋だと普通の人は思うだろう。

 だけど、このログハウスには雨戸付きの窓ガラスがあるし、丈夫な木でできているから野外でキャンプするよりも、圧倒的に安全に過ごすことができる。


 それに、今までは安アパート暮らしだった俺にとって、これは生まれて初めて手に入れたマイホームだ。確かに、風呂もトイレも、寝具さえもないけれど……それでも雨風をしのげるのだから、やはりありがたいものだ。


「どうだ? アローから見て、住み心地は良さそうか?」

 そう質問すると、彼は当然と言いたそうに笑顔になった。

『野宿しかしてない小生にとっては、天国のような空間だよ!』

「じゃあ、一緒に住むか。俺も1人でここで寝るんじゃ……少しばかり広いからな」


 そのように提案すると、サイレンスアローは子供のように喜んでいた。本当はコイツを枕代わりにしようと思っていたんだが、ここまで喜んでくれるのなら嬉しいモノだと思う。


「ほかにも柵とか、畑とかのカードを使ってみるか」

『そうだね。確か、畑には苗も一緒に植えてあるはずだから……よくテキストを読んでね』

「メシ食ってからでもいいよな。デイリーミッションってのをクリアしたら出てきた弁当でも食おうぜ」

『うん、小生も小生も♪』


 俺はサイレンスアローと、1人と1頭だけの生活を満喫するつもりでいたが、実はこの湖には、あと一人……住んでいる者がいるということを、まだ知る由もなかった。

朝比奈あさひなれん

固有特殊能力ユニークアビリティ

ガチャ&ミッション  AA ★★★★★★★★★★


 条件を達成することによって、ガチャコインや特殊ガチャチケットを入手し、様々なアイテムを召喚する能力。難しい条件を達成するほど、より強いアイテムやチケットを出現させることができる。



近距離戦      C  ★★

魔法戦       D  ★

飛び道具戦     D  ★

マジックシールド  C  ★★★

防御力       C  ★★ 

作戦・技量     C  ★★★★

索敵能力      C  ★★★

行動速度      C  ★★★★

勝利への執念    C  ★★

経験        D  ★

主人公との友好度  ≪測定不能≫



好きなモノ:エッチな本や画像を見ること、高カロリーな食品、自分だけの時間、スマホゲーム、昼寝

嫌いなモノ:働くこと、学校に行くこと、努力、我慢、ぎっくり腰の痛み、コツコツ貯金すること、予防注射



一言:

 半年の家賃滞納。スマートフォンの料金滞納。ぎっくり腰持ち。友人の数はサイレンスアロー1頭と、まるで、欠点のデパートのような人物。

 アビリティであるガチャ&ミッションが無ければ、一般人にしか見えないだろう。


 ちなみに、意外と偏食することはなく、他の人が作ってさえくれれば野菜だろうが魚だろうが、普通に食べることができる。

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