~夏季休暇でやってきた~
~夏季休暇でやってきた~
元々、ユーラシア王国の人たちを受け入れるイベントはある。ただ、ゲームと違うことはドカーケをかなり発展させたということだ。
まず、建物だ。今までは平屋が多かったけれど、マリンケ族の土魔法使いの人たちやマナナンガルに活躍してもらい、ドカーケの街は区画整理がかなり進んだのだ。
メインストリートはレンガを思わせる赤色の石畳に統一をしている。2車線で道路を作っているのだ。横には歩道もある。歩道と馬車が通る道を分けたのだ。これは安全のために実施をしている。ちなみに、メイン通りの横断は地下道を作っている。歩道橋は高位なる人を上から見下ろすことになるので却下を受けた。
メインストリートには中央分離帯として木を植えている。山の中に桜っぽい木があったので移植したのだ。もちろん桜はメインストリートの歩道側にも等間隔に植えてある。来年の春が楽しみだ。
多分どの街も春になるとピンクに染まるのだ。これだけでテンションがあがる。そして、排水にも力を入れた。
元々下水道は地下に整備されていたのだが、ネームル教がいつだって根城にするから根本的に変えてみたのだ。おかげでドカーケ領にいたネムール教は一層できたのだ。やったね。
でも、なんかマナナンガルが「酷使しすぎじゃ」とか言っていたけれどかなり思い描いていた街が出来上がっている。
建物に関してもこだわっている。といっても、似たような建物が並ぶと気持ち悪いので色んな建物がある。そして、観光用にタワーのようなものも作ったのだ。名前はドカーケタワーという。どの町にも一つ作った。
「物見櫓ですね。監視に丁度いいです」
うん、ユーフィリアにはそう言われた。確かに城壁近くに高いタワーを作ったけれどね。円柱の高いもの。屋上から見える景色がきれいなのだ。といっても、そこにバリスタが設置されているが。城壁にもあるのにと伝えたがこの絶対にユーフィリアは譲ってくれなかった。
街から少し離れた所に神社も作った。マナナンガルが激務を受け入れてくれたのはこの神社を作りたいと言ってからだ。1000年前は神への信仰が深かったのかな?ってか、1000年も生きていたらマナナンガル自体が神に近いような存在だと思うのだが。
なので、マナナンガルの石像も神社に飾ろうかといったら力いっぱい拒否された。
川近くにキャンプができる場所も作ったし、道路も整備されているし、結界石もあるためモンスターも寄ってこない。川魚は取りすぎないように調整しているし、川エビは外敵を排除して養殖できるようにもしている。
環境保護は大切ですからね。木の伐採についても間伐をメインにして木材を伐採しているし、植林も進めている。だが、杉とヒノキは花粉症になる恐れもあるので花粉の刈り取りも進めている。前世では花粉症だったし。つらかったからな~
人も増えていたのでドカーケは辺境というより王都のように栄えているように見えるのだ。学園からくる人たちを驚かせたい。それに久しぶりに帰ってくるナッカを驚かせたい。
そういう思いから急ピッチで街の改革を進めたのだ。
「な、なにこれ?」
「お城があるって。もうここは独立国なのか?」
「ってか、これって絶対にそうだ」
ユーラシア王国の一団がセントラルドカーケに入ってきた。様子をすごく見ていた。中央に私は作ったのだ、シンデレラ城をモチーフにした建物を。
といってもあんなに無駄に塔を作ると使い勝手がわるいので塔のかずは3つだ。白い壁に青い屋根。
周囲を水で囲うことはできないけれどエントランス部分の広場は再現した。そう、私はアンネが転生者かどうかを知るためにシンデレラ城に似たものを作ったのだ。まあ、こういうお城に住んでみたいという願望もあったけれどね。作りたいといったら反対されるかと思ったが結構マナナンガルもユーフィリアもノリノリだった。建設も申請したしね。
「これはフォローできない」
背後にガラがいた。このシンデレラ城が出来た時にそう言われた。
「え?良い感じじゃない?ちゃんと申請したでしょ。ちょっとだけデザイン変わったけれど」
謁見の間モドキもある。というか、かなり厳かな作りになった。会議室もあるし、ダンスホールもある。小規模、中規模なお茶会ができるスペースもあれば、中庭もある。完成度の高いお城だ。
「領主館をつくると聞いていた。これは城ではないか?」
「違うわよ。領主館よ」
うん、程度は違うが大きな建物は多くあった。今回は見た目重視で頑張ったのだ。見た目は城っぽいけれど、書類上ここは領主館なのだ。ここで生活もするしね。私の部屋だけじゃない。弟たちの部屋もあるし、家族の部屋も用意してある。来賓用の部屋も用意してある。
しかも結構な量の人を受け入れられるのだ。ホテルみたな感じだね。地下には兵士の訓練施設も作ってある。
少し離れた所に社宅尞も作ってある。独身者はそこに住んでもらっている。ダリアは家があるので辞退したが、ユーフィリアはこの城の中に部屋がある。侍女用ではなく、ちゃんとした部屋だ。
アイルの部屋も作ろうとしたが、独身寮に入ると言われた。理由は屋台村が遠いと言われた。独身寮の食事は結構屋台で済ます人が多い。きちんとしたレストランやカフェも増えたけれど、屋台というかフードコートも人気だ。
特にホットドッグやドカーゲ焼き、クレープが人気だ。カフェではプリンを出す店が増えた。発展したドカーケを見に来る観光客も増えてきた。
だが、工事中の所もまだまだ多い。人が増え、生活に余裕が出来ると人々は娯楽を求めるようになった。
そこで私はいくつかの娯楽施設を作ってある。まず一つはビリアード場だ。ボーリングも考えたのだが、ピンを並べる。スコアを書き記すが面倒なので諦めたのだ。次に劇場だ。これはなぜかユーフィリアとスティーブの評判がよかった。
「潜入するのに演技は必要です。練習に良いですね」
「多くの視線を受けてもやり遂げる能力は必須です」
追及したら負けなのです。そう思った。
けれど、劇場人気は広まっている。王都でも劇場はなかったので徐々にこの劇場はこのドカーケの目玉になるだろう。出演者についてはオーディションをしている所だ。
ちなみに演目についてはランベル英雄譚になった。悪を倒す話しはわかりやすいんだろうな。でも、なんか流れがヒーローもののようにも感じる。登場シーンとかポーズ決めているし。まあ、わかりやすいのが一番か。
後は剣術大会というものを行うようになった。何かの流れで剣闘士やコロシアムのことを話したら色んな人の目が輝いたのだ。
「これは賭けはありですか?」
メリアンネが笑顔でそう言ってきてびっくりした。よこにいるスティーブは首を横に振っている。
「多分止めたとしても、賭けをするものは出てきます。それならばオフィシャルで行った方が絶対いいです」
確かにそうなんだよね。というわけで、押し切られて1年に1回オフィシャルの剣術大会が行われることになった。そう、この夏にだ。
気が付いたら謁見の間に11人がそろったと言われた。今日は第二王子のレイフォンス王子もいるため私は段上ではなく、同じ高さの場所であいさつをするのだ。カーテンを引けば段上の椅子は隠せるようになっている。そうすれば謁見の場は椅子を並べたフラットな状態になる。
「これは皆さまドカーケにお越しいただきありがとうございます。特にレイフォンス王子。母上のカグーイ王妃から手紙も預かっております。後でご確認ください」
ってか、少し前までカグーイ王妃は温泉につかってマッサージを受けられていたのだ。ガラが連れてきたらしい。ガラは今この部屋の片隅にいる。
「ユーラシア王国のミストランテ王女殿下。此度は辺境の地であるドカーケに用こそお越しくださいました。皆さまとの親睦を深めるため本日はこの領主館にて歓迎会を行いたく思います。それでは皆様のお部屋に案内いたします」
だが、ここでアンネは別行動になる。この場にアンネの兄であるドーソンとその婚約者のメイサもいるためだ。
「おや、アンネは別行動なのか?」
ミストランデがアンネに話しかける。そう言えば、この二人は『翡翠の石』以降結構接点が多いと聞く。実際にユーラシア王国の離反イベントの鍵はこのミストランデだから近い場所で情報を得ながら色々と物資を提供するのがイベントを進める定石だ。
このアンネは確実にプレーヤーだと思う。それも、レアアイテムごり押しで進めてくるタイプの。ならば、お金や物資を融通できるくらいの物量は確保しているだろう。フィーバルからの報告でもユーラシア王国の動きは把握できている。
といっても、ユーラシア王国も一枚岩ではない。それに、私やレイリアの動きから慎重派の発言が重く取られてきている。そういう動きになるようフィーバルとウルグ商会に動いてもらっているからだ。
それにポリシティ商会がドカーケに支店を出したことも大きい。このドカーケの変貌を見て思う事も多かったようだ。弱いと思っていたドカーケルートは使えないことがわかったみたいだ。そして、クロービア領も防衛に力を入れている。
ドカーケで農具に付与魔法をかけるという事を見てポリシティ商会はユーラシア王国内でもその動きを取り始めている。後は、土地がやせているため収穫量がすくないユーラシア王国内でノーフォーク農法を進めるように働きかけている。
もちろん、その技術はウルグ商会から有償での提供だ。といっても、その費用の大半はドカーケに納められているのだよね。そのお金はドカーケの発展に使っている。いい流れでしょ。
産業革命ほどではないけれど、風車や工場生産のように集中管理することで人手のムラ、ムダ、ムリをなくしていっている。すぐに労働力として受け入れているユーラシア王国民を戻すことは出来なくても、徐々にロンベルト王国内の労働状況の改善は進んでいるのだ。
そして、その情報をあえてユーラシア王国に流してもらっている。そのためにフィーバルがユーラシア王国にいるのだから。
アンネも気が付いているはずだ。今ユーラシア王国が反意する可能性が高くないことを。かなりの事が出来た。絶対に避けないといけないのは英雄ランベルの死。それと、モカグリーンが行うロンベルト王国への呪詛。後は工作員による食糧庫の放火の阻止だ。
まあ、ユーラシア王国からの人の流入は陸路ならクロービア領経由か砂漠、岩山を越えてドカーケ経由の二つしかない。
海路はサシュル領が監視をしている。クロービア領にも何名かドカーケから使者を送り、その都度何名かユーラシア王国の工作員を捕縛している。ドカーケ領でも同じことをしている。捕縛したものは北の要所で再教育をしてもらっている。気が付くと北の要所も1,000名を超えるようになってきた。
元は50名しかいなかった場所だ。すでにあの北の要所も街と呼んでもおかしくないくらい変貌してきている。
砦の手前に街が形成されているからだ。あそこは国公認の秘密の場所でもある。ちょっと拡大して街になっていたとしても怒られないよね。
というか、ユーラシア王国って人余っているのかな?結構な人数捕まえているんだよね。1000名も私設兵を持っている貴族もいないからこれはどうしようか悩みどころではある。知られたら絶対にクーデターを起こすと勘違いされそうだ。困ったことだ。
考えても悩んでも解決できないものは後回しだ。今はそれよりも夏を楽しみたい。ナッカとスウにも久々に会えるからだ。別室で待っているナッカたちに会いにいったらそこに武の令嬢と攻略対象であるシーフヤとフィリップもいたのだ。
「姉上、少し話しがあります」
ナッカとスウが懇願してきた。これは姉としての懐の深さを見せる場面か?




