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~アンネ・ロードスタの独白~

~アンネ・ロードスタの独白~


 気が付いたらベッドに横たわっていた。私は車に跳ねられたはずだ。だが、周りをみると病院ではない。


「お嬢様が気付かれました。よかったです」


 誰だこの女性は。なんかクラシックなメイドの服装をした女性がそこに立っていた。ん?なんかうっすらと記憶がある。自分の記憶じゃない、緩やかな記憶だ。


「ふん、目が醒めたか。まあ、ロードスタ家のためにもっと働くがいい」


 扉から半身だけこっちを見た男性がそう言って来た。あれ?私はこの男性を知っている。


 ドーソン・ロードスタ。


 ロードスタ家の二男だ。あれ?これってひょっとして『剣と魔法のストーレンラブ2』の世界じゃないの?


 ひょっとして異世界転生したのかしら?ちょっとテンション上がるんですけれど。


 私こと、上坂ひなたは『剣と魔法のストーレンラブ』のマニアだ。というか、やりこみすぎて動画をアップしている。もう、この世界では伝説と言われているのだ。


 まあ、ちょっと煽ったりけなしたりしたから、公式イベントに出禁受けたけれどね。だって、システムのバグを利用した攻略とかしたくなるじゃない。


 立ち上がり鏡で顔を見る。やっぱり思った通りだ。 金色のショートヘアーに猫の様なアーモンド型のくりっとした瞳。色は青。『剣と魔法のストーレンラブ2』の主人公であるアンネ・ロードスタだ。


 ここが乙女ゲームならば狙うは玉の輿だ。ロードスタ領は領地も狭く、収穫量も少ない。まあ、大きな領に囲まれているから戦争などに巻き込まれることはない。


 シーズン2はユーラシア王国との戦いもあるしね。まあ、私にとってすればどうでもいいことだ。狙うは玉の輿だ。


 だが、このシーズン2は攻略が楽なのだが、いい相手がなかなかいないのだ。まず、王子役であるレイフォンス・ディ・カリオニア・ファー・ロンベルトだ。


 第二王子であるが、このレイフォンス王子はユーラシア王国で摂政をすることが決まっている。そして、婚約者であるミストランテ・ド・ラ・ユーラシアはかなり性格が悪い。こいつと接点はできれば持ちたくない。


 ゲームだから耐えられたけれど、ミストランテのプライドの高さ、というか高慢な態度は結構相手にするのが嫌なくらいだ。


 それに、王子ではあるが、ミストランテと婚約廃棄をして私が選ばれた場合、レイフォンス王子がどういうポジションになるかだ。


 すでに、国内は第一王子と第三王子の2つの派閥に別れている。第二王子派閥と言われるものもいないことはないが、ぱっとしないのだ。


 それに、レイフォンス王子を攻略するのは結構面倒でもある。なので、現実的に王子を選ぶのはパスだ。


 では、武の男性キャラであるフィリップ・ラ・ド・リオンはどうか。このフィリップは1作目の武のレオニード・ラ・ド・リオンの弟だ。卒業後は騎士団に入るが貴族位はない。


 結婚すると、公務員、それも自衛官の妻的ポジションだ。うん、微妙だ。


 フィリップの攻略は簡単だ。模擬選で私がフィリップに勝てばいいのだ。そして、このシーズン2はバグでレベル上げが簡単に出来てしまう。


 スキル習得を行い、上限突破すればよいのだ。スキルは何でも構わない。それこそ、掃除を延々とするだけでもレベルを上げられるのだ。それに、ロードスタ家で私は妾の子。


 本宅に招かれることもなく、別宅にいる。つまり雑巾やモップを使って掃除をするだけでレベルが上がるのだ。


 それだけじゃない。一人で計算するとか、日記を書くとかでもスキルは身に着けることができる。後は庭にある岩を100回殴るというのもある。まあ、ドアノックくらいの連打でスキルが習得できるのだ。ちょろいでしょ。


 そう、モンスターなんか倒さなくてもレベルもステータスも上げられるのだ。まあ、フィリップは最終手段と思っておきましょう。


 次は智の男性キャラであるカシムーン・ダイン・ボルドーだ。カシムーンはボルドー家の二男だ。


 だが、長男と仲が良くない。長男は凡才、カシムーンが天才という設定だ。


 実際は長男も凡才ではないのだが、この二人の仲を取り持たないとカシムーンの攻略が進まない。それと珍しくボルドー家は第二王子派閥なのだ。


 後は、智の令嬢が結構かわった相手なのだ。ベスト―ニャ・リーン・ポリシティ。こいつは奴隷狩りをしているのだ。そして、仮面の男が護衛でついている。この仮面の男を倒さないといけない。


 どっちにしても、まずは速攻でレベル上げをしないと行けない。


 というか、すでにメモを書きながらまとめているだけでスキルが習得できている。本当にぶっ壊れシステムだよね。確かにスキル習得で経験値が入るとはどこにも書いていなかったし、経験値が入ったというアラートも出ない。バグだからね。利用をしない手はない。


 まあ、カシムーンもストックかな。フィリップとカシムーンはそこまで攻略が難しくないから楽なのだ。


 魔の男性キャラはメリド・ラ・ド・ザッカスだ。ザッカス家の二男で、妾の子だけれど、能力が非常に高い。卒業後は魔導省のエリートコースなのだ。安全に玉の輿を狙うのならばメリド一択だと私は思っている。


 メリドの攻略は、婚約者であるモカグリーン・フォン・ガルガンチュアの動きに左右される。タイミングが難しいのだ。このモカグリーンは呪いに特化しているスキル持ちだ。


 このシーズン2はなぜか知らないけれど隣国であるユーラシア王国が戦いを挑んでくるのだ。モカグリーンはロンベルト王国内の川や池、後は畑なんかに呪いをかけているのだ。


 そこを抑えないといけないのだが、この呪いをかける場所がランダムなのだ。対応はリセットだったのだが、この世界にリセットがあるのかわからない。


 だから、確実なのはモカグリーンと仲良くなるか、尾行するかだ。尾行は誰かで練習をすればスキルを習得できたはずだ、後はこのモカグリーンとメリドの決定的な決別イベントがある。


 呪いをかけていることをメリドが知った後に、メリドが片思いをしている相手を教えてもらえる。相手は不老の呪いをかけられている魔女だ。不老だけじゃなく、図書館の一角から出ることも許されていない。


 その魔女にメリドは恋をしている。モカグリーンがこの魔女の呪いを解くというイベントがある。呪いを解くとこの魔女は塵となって消えるのだ。


 このイベント後にモカグリーンとの婚約は破棄され、モカグリーンはユーラシア王国に強制送還されるのだ。


 その後に落ち込むメリドを支えるイベントを5回クリアすれば結ばれるのだ。攻略方法がわかっていれば楽な相手だ。


 まずは、尾行できるスキルとモカグリーンが尾行に気が付いた時にかけてくる呪いをレジストできるだけのレベルが必要だ。


 もうすでにレベルは10になった。メモを取り、思考するだけで経験値が入るのだ。チョロすぎる。


 最後の速の男性キャラはヴァイス・ユニ・クルルだ。こいつは不要だ。クルル商会の長男だが、クルル商会はカチュアが実権を持っているし、このヴァイスは正直商才がないと言われている。


 小間使いしかクルル商会ではさせてもらえないはずだ。後は傭兵のロイか商人のフィーバルあたりも候補だと思う。


 ロイはフィリップの下位互換だ。だから不要だが、傭兵は鍛えておけば何かあった時に助けてくれる。


 まあ、鍛えるのならロイじゃない、最安値の傭兵であるアルベルトが一番だと私は思っている。安いのが売りだからね。


 フィーバルは相手のロッテンが怖いから避けておこう。後もサブキャラはいるけれど、幼馴染はこのロードスタ領に戻ってくるから却下だ。


 地下に封印されている魔王であるエンデュミオンは落としたとしても養えるだけの財力がないので却下だ。


 こう考えると転生したにも関わらずおいしいキャラが少なすぎる。


「そんなところで何をしているんだ。さっさと作業に入れ」


 そう言われて私は外に連れ出された。ものすごいチョコレート臭がする。この世界のこの時期にチョコレートなんてあったっけ?


「レイリア様に感謝だな。ロードスタ領でチョコレートの原料の加工が任されているのだからな」


 レイリアが居る鬼モードか。これは注意しないといけない。でも、まだ季節は冬だ。3か月もあれば私は対策できる。絶対に玉の輿に乗ってやるんだから。


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