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~ユーラシア王国の変革物語03 ベストーニャ~

~ユーラシア王国の変革物語03 ベストーニャ~


 事前にギュスタ辺境伯には魔法鳥で先触れを送ったが、どうやら色々と立て込んでいるみたいだ。


 私としてもギュスターブ領はポリシティ商会よりラスティア商会が強いエリアなのでその調査を行うよう父親からも指示が出ている。


 後はキールのメモでこのギュスターブ領について記載がないか確認すると結構な情報の記載があった。


 というか、このメモを見るとキールはどこまで未来が見えているのだろう。というか、これだけの情報をまとめているということは、それ以上に色々な未来を見ているのだろう。


 私なら脳が焼き切れそうだ。


 キールのメモからだとギュスターブ領にはダンジョンがあるらしい。


 低層に出て来るゴブリンなどのモンスターからはポーションなどの回復薬をドロップするらしいが、中層からはモンスターの質が変わる変わったダンジョンだという。


 ただ、中層のモンスターはミノタウロスで固定らしく大量発生するものではないらしい。ただ、ドロップ品が牛肉をドロップするらしい。かなりおいしいお肉らしいので食べてっみたいと思った。


 最下層ではミノタウロスキングが出て来る。ドロップは『覇者の剣』らしい。片手剣としては上位クラスの剣だ。おそらくシーフヤとか、フィリップは欲しがるアイテムだろう。私はいらないが。


 辺境と呼ばれる場所は商会が定期的に商品を送り届けるには一定レベルの護衛が必要になる。だからこそ、ある程度の利益が見込めないと赤字になるのだ。だからこそ、ラスティア商会がギュスターブ領でうまくやっている理由を探る必要がある。それに、私たちはラスティア商会との距離を近づけたいのだ。


「シーフヤから魔法鳥が来ました。今シーフヤとフィリップの二人は山岳国家『アストリア』にあるモンストリ領のある地下砦に捕えられているみたいなの。ただ、様子を見ているので早期救出は不要らしいわ」


 ミストランテ王女に連絡が行ったみたいだ。ただ、聞くと暗号で送ってきたみたいなのであまり長文は送れないのだろう。まあ、捕えられているのだから当たり前か。


「ロッテンマイヤ家がギュスタ辺境伯に依頼をしたのだよな。だが、二人が捕えられているということは何か背景があるかもな」


 カシムーンがそう言うとミストランテ王女殿下はこう言って来た。


「そうですね。この情報は私からロッテンマイヤ侯爵に連絡しておきましょう。おそらくそれだけでギュスタ辺境伯への追い込みになるでしょう。ロッテンマイヤ侯爵がシーフヤに対して親子の情があるとはあまり思えませんが、交渉材料にはなるからうまく使うでしょう」


 ミストランテ王女殿下は楽しそうに笑っている。ギュスタ辺境伯は会ったことはないがこの状態のミストランテ王女殿下を相手にするのはかわいそうだと思った。


 何やら何度かミストランテ王女殿下はロッテンマイヤ侯爵とやり取りをしていたみたいだ。



 ギュスターブ領は緑がある山と緑もあるが岩も多い丘陵の先に山岳国家アストリアに面している城塞都市ギュスタがそこにある。


 城壁はかなり高く、整備もかなりされているのが解る。辺境だが、お金があるのがわかる。城門で受付をして、城内に入るが、街の中に物乞いもいないため、かなり裕福な領地運営ができているのだろう。


 それに、辺境故か装備が整っているものが多い。傭兵もある程度の装備をしているため領主がいい仕事をまわしているのだろう。


「これは確実だな。申告していない収益があるのは間違いないが、領地運営にうまくまわしているのか、領主が私腹も肥やしているのかはわからないな」


 レイフォンス王子が周囲をくまなくみている。横にいるミストランテ王女殿下も楽しそうだ。なんだか悪巧みをしている顔なのがわかる。


 ラウリが先触れとして領主館に向かっていく。その間に露店に並んでいる商品を見ている。正直並んでいる商品は肉をただくしに刺して焼いただけのものや、何に使うのかわからない小物や出来の悪いアクセサリーが並んでいる。


 こういう路上市場はドカーケで見ていたのでどうしても見劣りするのだ。


「この路上市場はにぎわっていないですね。ということはここではない所で買い物をしている人が多いのでしょう」


「そうですね。人の流れも不自然です。何か違和感がありますね。そうですね、東側に行かない様に誘導しているみたいなので少し、東側に向かって歩いてみますか」


 レイフォンス王子は冷静に人の流れを見て動き出した。歩いていくと少し大きな建物がある。看板はラスティア商会のものだ。そして、少し離れた所にポリシティ商会の看板もかかっている。


「ベストーニャ。お願いがあるのですが、ポリシティ商会に入りますので先触れとして行ってもらえませんか?」

「かしこまりました」


 まあ、ここの商店の番頭からすれば私が来るだけでもびっくりするだろうけれど、いきなりミストランテ王女殿下が行くよりはましか。


 私はポリシティ商会の扉を開ける。受付に若い女性が一人、奥に少し歳がいったふっくらした男性が座っている。男性がいきなり立ち上がり私の方にやってくる。


「ベストーニャお嬢様!こちらにどのような御用で来られたのでしょうか?」


 顔を見る。2回だけ会ったことがある。名前は確か『フックリー』だったような気がする。体形がふっくらしているから、似た名前だと言うことで覚えたのだ。


「お久しぶりね、フックリー。これからすぐにここにミストランテ王女殿下、その夫であり、ロンベルト王国第二王子のレイフォンス王子、またロンベルト王国のボルドー侯爵子息次男であり、私の夫であるカシムーンがここに来るから宜しくね」


 私がそういうとフックリーが絶望したような顔になった。


「おもてなしできるようなものがここにはありません」

「仕方が無いわね。私が持っているダンデ茶を使うといいわ。お茶請けは流石にないけれど何かあるでしょう?そこのあなた何もないのなら買ってきてちょうだい」


 そう言って少し多めにお金を渡す。


「は、はい!」


 ものすごい勢いで女性は走って出て行った。


「それで、知りたいことがあるの。まず、1つ目はラスティア商会の躍進の理由。2つ目はこの近くにダンジョンがあるかどうかの情報。3つ目は少し前にやってきたロッテンマイヤ家子女のシーフヤとロンベルト王国のリオン侯爵子息であるフィリップの情報。4つ目は山岳国家『アストリア』のモンストリ領に関する情報。最後にここの領主であるギュスタ辺境伯についての情報。特にこのギュスターブ領のお金の流れについて教えて欲しいわ」


 そう伝えるとフックリーの表情は明らかに困った表情にかわり汗を拭きはじめた。


「どうかしたのかしら?」

「その中の質問については答えられないものがあります」


 なるほど。それが何かによるけれど圧力がかかっているということか。


「あら?それはどういうことかしら?ユーラシア王国の王族に言えないことがあるということは、このユーラシア王国に反意ありということでしょうか?」


 いつの間にか扉を開けてミストランテ王女殿下達が建物の中に入っていた。


「・・・いえ、そういうわけではありません」

「ならば教えてくれますかしら。まずは答えられないといったものがどれなのかを。それを言えないのであれば一つずつ質問していくだけですわ?」


 ミストランテ王女殿下の笑顔が怖いと思ってしまう。タイミング悪く先ほどお茶請けを買いに行った女性が戻ってきた。


 後ろに人を人相の悪い男性3人を連れて。私たちが弱そうに見えたのだろうな。残念だよ。


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