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~食べ過ぎが原因でしょ~

~食べ過ぎが原因でしょ~


 カチュアがやってきた。貴族向けに商品を販売しているクルル商会はここ最近ダンデ茶以上にチョコレートの売り上げがすごいらしい。


 しかも、このチョコレートはレイリアのいるカルディア領近くで加工されているらしい。


 この前の回転足踏み擦り器がかなり重宝しているみたいだ。まあ、カカオをすり潰すのも結構大変だったしね。アイルがなんか変な方向に行きそうだったのを思い出した。


 なんかドカーケの人たちって勝手に修行に変えたがるのよね。そういう国民性なのかしら。修行したら必殺技を覚える流れなのかな?カカオすり潰しアタックとかそんな感じなのかな?いやすぎる。


 閑話休題。話しが脱線してしまいました。


 チョコレートの売り上げがすごくて、それでお茶会や夜会ではチョコレートを使ったお菓子が大人気らしい。


 まあ、私が提供したレシピもある。それもお礼はいただいたが、ドカーケの道路工事代に消えていきそうです。


 こういう人手がかかる仕事ってお金がどんどんなくなるのよね。人件費ってバカにならない。だから道路工事や修繕に手を入れない領主が多いんだろうな。


 でも、道がガタガタなのは私が困る。私のHPが削られるからだ。まあ、レベルは上がったけれど、それでもHPが削られるのはいい感じがしない。なんでほかの人は大丈夫なんだろう?それが疑問だ。


 そうそう、チョコレートを作った私を糾弾したいと言っている人がいるのだ。カチュアがお茶会に来てくれたので私はクレープを提供した。


 中は生クリームにリンゴのコンポート、バナナにチョコを少しだけトッピングした。


「ちょっと、このクレープっておいしいじゃない。今度これ夜会で提供するわ」

「よろしくお願いね」


 そう、カチュアが夜会で提供し、評判があがるとそのレシピ代金をもらうようにしている。今回も結構いい感じの費用になりそうだ。


 といっても、お金が動くわけじゃない。道路工事の人を手配してもらっているのだ。ドカーケの人にお願いをしようと思ったのだけれど、専門職が工事したほうが、完成度は高いと言われたのでお願いをした。そこでけちっても仕方がない。


 ドカーケで工事を行っているものはその手伝いとして参加をしている。今後はドカーケ内で完結できるようにするためだ。


「ってか、土魔法で固めるだけじゃだめなのね。キールは注文が多いから」


 そう、私は排水と下水もお願いしている。そして街道については防衛するために周囲の木を減らし、視界を広くする、道路脇は砂利を引いて音がするようにしてもらっている。これは奇襲防止なんだよね。


 盗賊だけじゃなく、モンスターだって砂利の上を歩くと音がする。その音で危険を察知したいのだ。この意見はスティーブとアイルから出たんだけれどね。武闘派は考えることが違う。


「そうじゃなくて、チョコレートよ。あれを食べた人の中で顔になんか吹き出物ができたという人がいるの。あのチョコレートの呪いだっていうの。一人だけだったらよかったんだけれど、ここ最近は何人か言ってくる人が出てきたのよ」


 それって多分、チョコ関係ないんだよね。よくチョコレートを食べ過ぎるとニキビになると言われるけれど、実はチョコレートは関係ない。


 だって、普通に考えたらお茶会して、夜会してって明らかにエネルギー摂取過多なのよね。それに、この世界ってどうしてか小麦が多いからパンとかケーキとか糖質が多めなのよ。


 しかも、ここ最近はやっているのってチョコレートケーキらしい。まあ、私が考えたから仕方ないのよね。


 卵を使わないケーキを提供したおかげで卵アレルギーである第三王子だって夜会に呼べる。かといって、今日カチュアが気に入ったクレープに変えた所で糖質が多めなのか変わらない。


「ちょっと、糖質の低いケーキを提供してみて様子を見てほしいの。それでもダメだったら夏以降にちょっとドカーケで温泉、サウナ、マッサージのコースで健康にしてみせるわ」


 春から工事を開始すれば夏にはとりあえず温泉宿場がオープンできるはずだ。というわけでお菓子の試作をしましょう。


「キール。私も手伝うから安心してくれ」


 いや、アイル。あなたは護衛として私の後ろにいましたよね。知っています。新作お菓子は絶対に食べるということを。


「アイル。あなたはまだまだです。私がいることを忘れないでください」


 そこでラスボス感を出しているユーフィリア。確かにダンデ茶を入れてくれたのはユーフィリアだけれど、どうして参戦するのかしら?


「なんかキールの所っていつも楽しそうよね」


 カチュアがちょっと引き笑いで私の事を見ていた。まあ、そうなるよね。



 というわけでやってきました。厨房です。


 今回作るのは、小麦粉というかドカーケだとどんぐり粉になるんだけれど、その小麦粉の代わりにおからを使ったバウンドケーキを作ります。


 いや~おからあってよかったわ。これでかなり糖質がカットできます。


 使うものはりんごがメイン。まずリンゴを煮立てます。


 リンゴのコンポートっておいしいよね。


 生地は、どんぐり粉とおからを同じくらいの量を用意。

 後は、砂糖、バター、はちみつ、牛乳にシナモンパウダーを使います。


 今の主流は卵を使わない料理だからね。第三王子が卵アレルギーだから卵を使わない料理やスイーツが好まれる。まあ、私が、第三王子は卵アレルギーだって広めちゃったからね。おかげで、その秘密を抱えてちょっと暗い性格だったはずが改善されているらしい。


 うん、知らない所で原作改変しちゃったよ。てへ。


 というわけで、鍋で砂糖と水を入れて茶色になってからりんごを入れます。


 生地は混ぜるだけなので簡単。


「とうりゃ~師匠見てください。この私の境地を」


 アイルがおかしいテンションで生地を混ぜている。


「まだまだだ。雑念が多い。無になれ。無に」


 ユーフィリア。無にならなくても大丈夫だよ。あ、そろそろはちみつ、バターと牛乳を入れて混ぜてね。


「見るがいい。奥義。無我の境地」


 それ、絶対にだれかに怒られるやつだからね。アイルさん。しかもほのかに魔力使って体を光らせないで。


 アイルの魔力が他の人より大目なのは知っているけれど、体を光らせるとか意味ないし魔力の無駄だからね、それ。


「まだだ。それは無我の境地ではない。自我へのとらわれから解放され、悩みや悪心など生じるはずもない悟りの状態になっておらぬぞ」


 ユーフィリア。そっちは仏教の方の無我の境地だからね。アイルは多分そっちを意識してやっていないから。ってか、もうあんたら誰かえらい人に怒られろ。


 というわけで、生地が完成したので、型に生地を入れて表面をならします。


「こういう繊細な作業は苦手だ」

「アイルもまだまだね」

「師匠、お願いします」


 ユーフィリアが手際よく型に生地を入れていく。さらにりんごを上に並べてからシナモンパウダーをかけてオーブンで焼き上げます。


「ねえ、ちょっと質問いいかしら?」


 カチュアが聞いてきた。


「何かしら?」

「この寸劇は何なの?私は一体何を見せられているのかしら。あなたたちって本当に非効率ね」


 ですよね~言いたいことはわかります。けれど、なぜかこれをやらないとこの人たち落ち着かないのよね。


「よい修行でした」

「これからも精進するように」


 ってか、まだこの修行モード続いていたし。というわけで、できたバウンドケーキはおいしくいただきました。


 まあ、糖質カットをしたからといっても大量に食べてしまったら意味ないんですけれどね。しばらくしてカチュアから問題は落ち着いてきたと連絡があった。本当に良かった。ちなみに、おからバウンドケーキは結構な人気だそうだ。それはよかった。


 というわけで、冬になりました。


「姉上、お久しぶりです」


 誰だお前。なんかキラキラでスマートな男の子が館にいました。ステータスを見てびっくり。あの愚弟のナッカが大変身をしていた。


「これなら及第点ですね。うふふ」


 アイルの妹のスウが笑顔で笑っていた。あれ?スウっておしとやかでかわいらしい印象だったんだけれど、なんか計算高い女に見える。


「だって、私の婚約者なんですからちょっとくらい頑張ってくれないと私困っちゃいますもの」


 ナッカを見て思い出した。そういえば、『剣と魔法のストーレンラブ2』の流れを思い出していたんだ。

 


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