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プロローグ

~プロローグ~


 私はCSR担当として会社で勤務していた。


 確かに入社時に「社会貢献ができる仕事がしたいです」と言った。言ってしまった。過去は変えられない。理由はなんとなくだった。経済学部に入り、経理とか簿記を学んでこういう仕事もいいかなって思っていたらライバルが人じゃなくRPAというロボットだと知って諦めた。


 だって、相手は24時間365日働けて、間違えないのだ。そんなのに勝てるわけがない。だから、就職活動の時に社会に貢献できる仕事がしたいとふと思い、そういう事を言ったのだ。それは事実。


 でも、まさか森林保全活動という森の中にいきなり連れて行かれるとは思っていなかった。

 オフィスで働くことを夢見ていた。内定をもらった時に願いはかなったと思った。

 大きな会社。そこそこ知られている会社。家族にも友達にも自慢した。


「加奈がそんな会社で働けるなんてすごいね。しかもCSR部門に配属なんでしょう。私は営業だからノルマがあってきつそうだからうらやましいなぁ」


 そう大学の友達に言われた。確かに営業でノルマに追われるのは嫌だし、クレームとかで怒鳴られるのも嫌だ。研修で一通り行ったけれど向いていないと思った。

 でも、これは違う。


 確かにずっと森林保全活動をしているわけじゃない。楽しい仕事もある。学校への訪問授業とかの準備も楽しい。まだ入社して数年。だから授業のサポートしかできないけれど、来年は私一人で学校もまわらないといけないらしい。


 たまに農村とかで農業の手伝いや壊れた器具の修理なんかもしていた。初めて手押しポンプを見た時に今の時代はいつなのだろうとか真剣に悩んだ。まだまだ手押しポンプも現役なのだ。こういう作業をしていると私は何をしているのだろうって悩む。


 でも、小学生とか中学生相手に話すのは楽しい。たまに幼稚園や保育園にも行く。最近は国連が提唱したSDGsというものもある。誰一人取り残さないらしい。


「加奈の仕事っていいよね」


 ラインでそう友達からもらった。でも、なんだか私だけ取り残されている気がする。気のせいだろうか。

でも、疲れた時はゲームに限る。私が嵌っているゲームは「剣と魔法のストーレンラブ」だ。


 もうシリーズで何作品も出ている。一番のお気に入りは最初のシーズン1だ。


 この「剣と魔法のストーレンラブ」は簡単に言うと乙女ゲームだ。主人公は辺境地の貴族の女の子。学園で色々なイケメンを落としていくゲームだ。


 ただ、このゲームの違う所は落とす相手には全員婚約者がいるのだ。


 略奪愛。


 それが、このゲームの基本。主人公はステータスを上げながら攻略相手の信愛度を上げないといけない。


 ただ、略奪するにはお馴染みの「断罪イベント」がある。この断罪イベントで晴れて婚約者から相手を略奪できるのだ。


 でも「断罪イベント」を行う時に攻略対象との信愛度が足りない、また他の女性を味方につけていないと失敗するのだ。


 相手側が「それは私じゃなくこの子が勝手にやったのよ」と言って責任をなすりつけるのだ。


 トカゲのしっぽ切り。


 その時にだけ出て来る女の子。名前は「キール・テル・ドカーケ」


 テルはしっぽのテールから取っているのだろう。


 ドカーケはトカゲ。キールなんて「切る」だし、もうそれだけの存在。


「もう、またトカゲが出てきちゃったよ。失敗だ」


 なんて何度もリセットをした記憶がある。そう、なんでこんな事を思い出したかと言うとちょっと前の私の記憶は森林保全活動の時に倒れてきた木の下敷きになった所で止まっていたはずだ。


 そして、気が付いたら「断罪イベント」真っ最中。そして、私はその「キール・テル・ドカーケ」に転生していたのだ。


 乙女ゲームに転生するのは夢だったし、最近よくある悪役令嬢に転生とかもいいかなって思っていたのに、転生したのは悪役令嬢のとかげのしっぽ切り要員だった。


 そして、今まさに「断罪イベント」の失敗。私に責任がなすりつけられているのだ。


 これって、私にどうしろってぇ!!


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