酷く変な夢
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「た…助けてください!追われているんです!」
道を歩いていた私に対して、突然、女の人が縋り付いてきた。
見ず知らずの人間に話しかけられるのですら珍しい。
ましてや、血相を変えた血相を変えた女性に突然話しかけられたのなら、それには縋り付かれた私自身も動揺を隠せない。
「え…?えっと…一体何に?」
と相手の慌てっぷりに引っ張られてしまう。
「あの人!あの人です!」
女の人が示した先には、人影があった。
その人影は明らかに周囲にいる人から浮いた存在感を放っていた。
動きやすさに特化していて、女性らしい身体のラインがはっきりと分かる全身黒の服装。
コスプレにも似た雰囲気があるけど、作りと素材感が軽いコスプレ感覚のクオリティを超えている。
まるで高級ブランドの服のような上質さを感じさせる。
だが、何より特にその人影の存在感をフルに増加させているのは、右手に持った銃のようなものだった。
”まさか…偽物だよね?コスプレとか撮影用の道具?”
そんなことを考えたその一瞬。
その一瞬で人影は私の視界から消えた。
そして、気がつけば目の前に現れた。
だが、その視線は私を見たおらず、私に縋り付いていた女性に向けられていた。
向けられていたのは視線だけではない。
その手に持った銃もだった。
「NPC…消去」
その銃から放たれた弾は、光線のように光って、私の隣の名も知らない女性の頭部を貫いた。
だが、その女性からは飛び散るはずの血が吹き出さなかった。
貫かれた頭部を中心にまるで分解されるように…
いや、まさに消去されるかのように…彼女は散っていったのだ。
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目が覚める。
いつものベッドにいつもの朝。
カーテンの隙間から朝日が漏れている。
外は閑静な住宅街。少し早起きしたからスズメが鳴いている音すら聞こえる静けさ。
やっぱりいつもの朝だ。
「変な夢…」
思わず、私は呟き、再び枕に顔を埋めた。