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9歳 vs 7歳(25歳)。4




「……ゴッホンっ。

エリオット様、先程までと今からのお話を不問にするとお約束して頂けるのでしたら、正直な気持ちをお伝え致しますわ」



お前は顔だけの男だ!と捉えかねられない発言を(というか100%そう)してしまった。

7歳で良かった。25歳だったら確実にアウトだ。



「―――約束しよう。もし理由が納得出来れば、再考してもいい。

納得出来なければ、明日からお勉強しようか」



やっぱエリオット(コイツ)は産まれた時から腹黒に違いない。

ピュア王子?

はん!出来るわけないじゃない!



「ありがとう存じます。

では、まず公爵家のバランスでございます。

宰相様のローレヌ公爵家を筆頭に、

我がヴェルトハイム、メディス公爵家、ダージル公爵家と続きますが、派閥に問題があります」



ローレヌ公爵家、ヴェルトハイムは王族派。

メディス公爵家、ダージル公爵家は貴族派。

権力的にいくと王族派が強いけど、実情は違ってくる。


ヴェルトハイムは2番手でありながら、政治に口出ししないのだ。

建国の時より、その特殊な能力ゆえに王族でさえ手が出せない有力者であるにもかかわらずだ。

お役目があるからとお父様は言っていた。


シルヴィアが断罪されても、ヴェルトハイムが公爵家のままだったのはそのせいだと思わ()

ゲームシナリオにそんなくだり、なかったけどね。


そのおかげで、バランスが保たれていたが、

エリオットとシルヴィアの婚約によって、崩れてしまう。

お父様が口出しをする気がなかったとしても、周りはそう思わない。

宰相だけでなく、王妃までとなれば貴族派が疑心暗鬼になるのも無理はないだろう。


学園でシルヴィアの取り巻き達が王族派ばかりだったのは、このせいだ。

シルヴィアを目の敵にしてたエリザベス(貴族派)は、断罪の時、積極的に証言・証拠を集めてヒロインを助けるのよね。

素晴らしい働きだったけど、転生してしまった私としては迷惑極まりない。

会ったらゴマすっとこ。大事よね、ゴマすり。



「と、いうと?」



「私が婚約者になれば、当然貴族派が黙っていないでしょう。

もちろん、家柄や年齢で言えば妥当ですから、

表立って非難する事はしないはずです」



「だろうね。シルヴィアが選ばれるのは適当だ」



「ええ、ですが……沈黙を守っていたヴェルトハイムが、いきなり天辺をとりにいくのです。

次期王妃という最大級の発言力を持って」



「なるほど。それは貴族派にとって気が気じゃない、か」



これはイケてる?

うふふっ、自分の饒舌さが怖いわっ!



「そうです。ですから、熟慮が必要かと思われます」



「ふーん、一応筋は通ってるね。

で、それで?」



え、ダメなの?

じゃ、ここはやっぱり単語を乱発しますか。



「ご理解頂けて何よりです。

しかし、最大の理由は別にありますの!」



「何だい?」



「私まず、お料理がしたいですわ」



「は?」



公爵令嬢が料理だなんて、あり得ないのでしょう?

良いじゃない。食べたい物を自分で作ったって。



「そうですね…手始めにカレー。いえ、ガトーショコラなんかも良いですわね」



パンケーキ食べたら、本格スイーツ食べたくなっちゃった。



「かれー?がとうしょこら?」



「ガトーショコラですわ、エリオット様。

あとこれだけお花があるんですもの、スワッグ やアロマオイルなんかも作りたいですわっ」



自作のアロマオイルだと、大量に植物が必要だけど、

幸いこの家にはわんさかある。

やってみたかったのよねー!



「すわっぐ、あろまおいる……?」



「んー、ペンも欲しいですわ!

書きにくいったらありゃしない」



羽ペン憧れてたけど、実際使ったら5分で飽きた。

毎回インクをつけるのも面倒だし、細過ぎて持ちにくい。

せめてガラスペンだったらなー。



「ペン?羽ペンの事か?それなら職人を呼んで作らせるが」



「羽ペンが嫌なんですの。私インクを持ち歩かなくて良いペンが欲しいんです」



「インクを持ち歩かない……それは実現すれば画期的だが、無理だろう」



「いいえ、出来ますわ!」



かつてジョン・ラウドが着想し、ラディスラオ・ピオによって実現されたボールペン。

構造は分かってるから問題なし。

技術と精度があるかは問題だけど。



「そ、そうか」



ボールペンは時間かかりそうだけど、ガラスペンなら作れそう。



「あとは……」



「シルヴィアは創造力豊か…博識だね」



「これは私の考えでは―――

いえ、ありがとう存じます。

私、これらを作ってみたいのです!」



「つまり、王妃教育が始まると出来ないから、

婚約者になりたくないって事で良いのかな?」



やっと優しい笑顔に戻ったわ。



「そうなんですっ!」



()()()、問題ないよね?」



「え?(デジャブ)」



「安心して。好きな事が出来る様にサポートしてあげる。王妃教育も徐々に始めよう、一緒に調整するから」



「え゛」



どうしてそうなった。

どこの王室に厨房に立つ王妃がいる。

周りに止められて出来るわけないでしょ。

どこに工房通って物作りしようとする王妃がいる。

許可が下りないでしょうが!



「そうだね、少し調節する必要があるから、

発表は2〜3週間後でどうかな」



わー、ステキナエガオデスコト。

どなたかカメラ(キャメラ)持って来て下さる?

あ、ない?

そう、仕方ないわね。



「・・・・・」



「あ、このケーキ美味しいね」



パンケーキを上品に口に運ぶ王子。尊い。



「oh〜、ジーザス‼︎」



頭抱えながら変な事叫んでるのに、何にも言ってこない。

むしろ小さい子に対する生暖かい目で見ないで。






その後、放心状態の私が覚醒すると

王子はもう居なかった。



「あれ、エリオット様は?」



「まあまあ、お嬢様!殿下をもうお名前で?

素敵ですわ〜〜///

もうっ、先程ご自分で見送られたばっかりじゃないですか」



「そうだったかしら」



「そうでございますよ〜。

次にお会いする約束までされてましたよ♪」



記憶にございません。



「そう、だったかしら゛?」



「はい、かれーとがとーしょこらをお作りになるんですよね?」



「誰が?」



「お嬢様がです」



「そう。



………………ええぇーーーーっ‼︎‼︎ 」


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