9歳 vs 7歳(25歳)。3
王子のあまりの可愛さに動悸がっ。
落ち着けー、私。
闘う前からノックアウトされてしまったわ。
「私のために、全て選んで下さったのですか?」
顔の下で手を組んでぶりっこポーズ。
どう?完全に感激している乙女の図でしょ?
――――ガシッ
へっ?
「僕の気持ち分かってくれた?
喜んでもらいたかったんだ!」
ここで何故手をにぎる必要がある・・・
ポテンシャルのせい?
一歩間違えばプレイボーイまっしぐらでしてよ。
「も、もちろんですわ!ありがとう存じます。
こんなに良くして頂けるなんて…
なんだかバチが当たってしまいそう」
どうやって片付けるべきか。
あとこのやり取りのせいで、
王族を玄関ホールで立たせたまま喋らせるという、あまり良くない状態が続いてしまっている。
そろそろ移動したい。
お母様は楽しそうだから良いけど、
スチュワートは動けずに焦り顔だし、
マルニーさんは呆れている。
この呆れはエリオットに対するものだと願う。
「クスっ、大袈裟だなぁ。
次の参考にするから、今度感想聞かせてね?」
次は来ないから、感想レポートもなしで宜しいでしょうか。
「かしこまりました。開けるのが楽しみですわぁ。
そうだ!お茶の準備をしておりますの。
せっかくですからいかがでしょうか?」
やんわり握られた手を解きつつ、お伺いを立てた結果…―――――
「バラ庭園も素晴らしかったが、ココも落ち着いた景色で良いね。穏やかな気分になれるよ」
マルニーさん、ミルラ様、ライアン様に許可をもらってお庭でお茶会する事になりました。
お母様は室内で楽しむそうです。
室内もせっかく用意したもんね。
ガゼボの中はこじんまりとしているから、
他の皆さんは、すぐ真横にガーデンパラソルを立てて、一緒に楽しめるようにしてもらった。
「そうなんです!少し休みたい時や、考え事をする時なんかに最適ですの。
今日みたいに緩やかな風がある日は、特にオススメですわ」
「たしかに良さそうだ。
…このお花も綺麗だね」
「嬉しいですわっ!実は私が生けましたの。
昨日は私のせいでバラをお渡し出来なかったので、
このテーブルブーケと同じ物を色違いで、3つご用意しておりますわ。
ぜひ、お持ち帰り下さいね」
今飾ってるピンク系と、
ホワイト系には白バラ、ホワイトレースフラワー、フリージア、アルストロメリアを。
イエロー系には黄系バラ、ジニア、トルコギキョウ。
大学の春休みに短期でフラワーアレンジメントを習ったかいがあった。
ヴェルトハイムのお庭には、季節問わず欲しいお花がいっぱい咲いている!
まさに宝の山だわ。
どんな仕組みなのかしら?
「へえ、楽しみだ。ありがとう、シルヴィア」
うひゃー///
あま〜い笑顔頂きました!
尊い。
「ごちそうさまデス
(とんでもありませんわ)」
・・・・・。
逆だぞ、シルヴィア。はーと(棒)
「いえ、間違えました。お気になさらず。おほほ」
「ふふっ。どうしてだろう、昨日初めて会ったばかりなのに、もう君が別人に見える。
シルヴィアはすごく魅力的だね」
ぎくっ。
お父様といい、エリオットといい、
この世界の住民は皆鋭いの?
「その、殿下の仰っている事が難しくてよく……」
「ああ、ごめん。可笑しな事を言ったね。忘れてくれ。
それと、エリオットと呼んでくれないの?」
忘れちゃった?と苦笑いしながら変化球投げてきました。
「忘れてなどいませんっ。少し、気恥ずかしさを感じてしまいまして?」
脳内では呼び捨てだけどね。
「ふ〜ん、そうなんだ。
じゃ、問題ないよね?はい、呼んで」
「え?」
「エリオット、でしょ?」
はて。
チラッと意地悪な顔が見え隠れしたような、、
「エリオット様……?」
「うーん、ま、いっか。おいおいね」
全く意味が分からん。
まだゲームスタート前だからキャラが定まってない?
で、あれば
もしかしなくても今のうちに修正かければ、腹黒王子じゃなくて、ピュア王子にする事も可能?
やだ、私ってば天才っ。
「ところで、エリオット様。婚約の件は進んでますの?」
「もちろん。あんまり早く決まったからビックリされたけど、、2〜3日後にヴェルトハイム公と君には登城してもらって、1週間後くらいに発表、かな」
仕事が早すぎやしませんか。
「……恐れ入りますが、少し待って頂く事は可能ですか?」
「どうして?」
目を細める表情も絵になる!………けど、
何故か恐いぞ。
「エリオット様は、次期 王となられるお方です。
もう少し慎重に進められても良いのではないかと。
何より、この先ずっとエリオット様をお支えするのですから、熟考……いえ、熟慮が必要ですわ」
「それはーー君では務まらないという意味かな、シルヴィア?」
こえー。
9歳の目力じゃないよ。
「分かりません。ですが、私以外にも候補者がいらっしゃるのでしょう?」
「いたよ。でも婚約者は君に決まった。
それとも僕との婚約は嫌?
それはヴェルトハイムとしての意見と捉えて良いのかな」
あっれぇー⁈
まさかの押し負けてるぅ?
「いいえ!私個人の意見です」
「そう、シルヴィア嬢は僕が嫌いだと。
困ったなあ、どう報告すべきか…」
1mmも困った顔してないわよっ!
「嫌ってなど!」
「じゃあ、好き?」
「もちろん!そのキラキラしたお顔が嫌いな女性がいるわけないじゃないですかっ⁈」
「・・・・・、顔?」
あ゛。